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目覚めない病気

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「さて、これから聞き込みをしますよ」
 オルリヌの館を見上げながら私がそう言うと、サイラスは「わかりました」と何の疑問も挟まず返事をしてくれる。いつも私を全面的に信頼してくれて、余計な事を聞かない。サイラスはそういう人間だ。私の中にパートナーという言葉が浮かぶ。
「パートナーって、別にそんにゃのじゃにゃいですから!」
 自分で考えた事に恥ずかしくなって、訳の分からない事を口走ってしまう。パートナーというのは確かに妥当かもしれないけど、違う意味合いも出てきてしまうからいけない。そう、相棒だ。サイラスは良い相棒である。
 私はチラリと、サイラスの様子を伺う。案の定サイラスは特に変わらず、私の指示を待っていた。私が口走った事に、特に疑問を持っていない様だった。というより、興味がないという事だろうか。それはそれで悔しいけど。
 コホンと咳払いした後、口を開く。
「館の人間に話を聞きます、七日前のオルリヌ様が起きなくなったという日の前後、誰がどのような動きをしていたのか、それから、この館の人間関係などなど」
 犯人はわかっている。オルリヌに何をしたのかも。それに爺さんの所で聞いた話から、犯人が嘘をついていた事もわかった。ただそれでも現時点では、予想とかそんな曖昧な物だった。人間関係が分かっていないから、動機が不明瞭だし、そもそも七日前に、この館にいたかどうかも確認しなければいけない。でもそのあたりを確認できれば、確信に変わる感触があった。
「聞き込みをしてみて、私の考えが正しければ、魔法陣の捜索という体で、罠を仕掛けましょう、ふふっ」
 おバカさんならば、見事にハマってくれるだろう。どんな顔を見せてくれるんだろうか。きっとバレていない、と安心しきっている。そんなタイミングで突然危機に陥る。慌てふためくのか。表情は変わらず、足だけガタガタ震わせるのか。いろいろ想像していたら、気持ちが高まってきた。体温が上がってくる。
「あは❤楽しい時間になりそうですね❤」


 私とサイラスは聞き込みを終えて、オルリヌの館の応接室に居た。私が座っているソファの対面には、この館の臨時の主になっているマリアが腰掛けていた。その後ろに、シネヴィラが使用人の様に立っている。さらにその後ろ、壁際に一人の使用人が控えている。呼んだ覚えはないけど、マリアのお付きだから仕方がない。
「遅くなりました」
 そこにオルリヌの主治医であるマークが、そんな声をあげて入ってきた。マークは部屋の中を見渡して、迷った挙句、壁際の使用人の側を立ち位置とした様だ。
 ここにいる面々は、私がオルリヌについて話があるからと集めたメンバーだ。私は犯人の方に一度視線を送ってから、声をあげる。
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