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第三章

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「おはようございます」
 イズとの戯れ中に、私はマークの声が聞こえた方向を振り向く。てっきり寝ているかと思ったら、どこかに行っていたらしい。声のした方向はテントではなかった。後ろからアルクもひょいっと顔を出す。
「おはよう……どこか行っていたの?」
「特定の場所ではなく、少し、歩き回ってみました」
「毒耐性アクセサリーで無理のない範囲でな」
 アルクはウキウキとした表情をしていた。もしかしたら楽しみで寝れなかったとか、早く起きてしまったとかでマークも付き合ったのかもしれない。あるいはマークも同類だったか。
「さぁ行こうぜ、宝探しだ」
 アルクはやっぱり待ちきれない、という感じでそう言った。まだ朝ご飯も食べていない。そう思った時にマークは荷物から包みを取り出して、渡してくる。
「移動しながら、食べようぜ」
「少年か……しょうがないわね」
 いっても聞かなそうなアルクに私はため息をつき、従う事にする。
「私はテントたてを始めますね」
「グリネアはまだ寝てるわよ」
「大丈夫ですよ、準備を進めつつ、一人でできるところはやっていきます」
 マークだったら、すべて一人で出来てしまいそうだな、と思いつつ、私はイズに体を向ける。
「準備はいいかしら?」
「あぁ、いいぞ……乗るか?」
「そうするわ」
 私はイズの背中に横乗りして、マークに手を振って出発した。アルクは先導する様に歩いて私達の前を進んでいく。私はさっそく朝食に食べる事にした。
「どこへ行くのだ」
 イズがアルクに向かって問いかける。私もどこに行くか聞いていない。
「マークさんと話したんだが、毒結晶を探すついでに、水源もあるか確認したいって事だったからな、近くの山を見る……ちなみにイズ……さんは水源知っているか?」
 イズの名前を呼ぶ時にアルクは少し戸惑った感じだった。人の名前を初めてを呼ぶ時の初々しい感じ。
「……我はずっと、ジッとしていたからな、半島の中をほとんど見た事がない、川が流れていたのをみた事はある気がするが」
「そうか」
 朝食を食べながら私はここから見える山を見つめる。水源があるとしたら、やっぱり毒で汚染されてしまっているだろうか。
「水源があっても、それをどう扱うか問題にもなってくるな」
 思いついたようにアルクがそう言う。
「どういう事かしら?」
「半島の中心に街を作る気なら、川の流れをそちらに変えないといけないな」
 そういう事か。確かに水を使うために、そうしなければいけないけど、そんな大規模工事、私達にできない。また問題が増えた。少し重い気分になって、食べていた朝食の最後の一口が少し苦しかった。
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