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「あっ」
私は自然と声をあげてしまった。ファーリスが私の方を見て不思議そうな顔をする。
「ナナさん、どうしました?」
「いえ、大丈夫です」
隠す必要もないのになぜか私は隠してしまう。かなり日数が経過して、やっと図鑑で課題に出された花を見つけた。やっと見つけた。でもそれを隠す理由があった。たまたま花言葉の詩集を見ていた時、この花の花言葉を読んでいた。本当に偶然の出来事。その時は花の名前しか書かれていない詩集だったから、課題の花という事に気付いていなかったけど、今花の名前が分かって、繋がった。この花の名前と花言葉が。
「ふぅ」
私は落ち着くために一度大きく息を吐く。ファーリスは相変わらず、不審そうにこちらをチラチラと見ていた。私は何気ないしぐさで、図鑑を置いて、詩集に手を伸ばす。もしかしたら勘違いの可能性もある。確かめないといけない。確か載っていたと思われる詩集をパラパラとめくっていくと、該当する花の名前が目に飛び込んできた。やっぱり花言葉はこれだ。
「ッ!」
私は途端に体がびっくりするぐらいに熱くなった。そういう事なんだよね、そういう事で良いんだよね。私は自分に問いかける。課題の花の花言葉はそう言う類のものだ。
「本当にどうしました?」
ファーリスが心配する様に声をかけてくる。
「あ、ぁの~、課題の件で」
声が裏返ってしまう。とりあえず無理やりにでも言葉を続けた。
「課題の答えが、わかりました」
私がしどろもどろに伝えると、それを受けてファーリスの顔が真っ赤になる。この反応は本当に。
「き、聞きま、しょう」
ファーリスが私の前に立つと、そう言った。なんて伝えよう。いや、答えを言えばいい。ただそれだけの事。
「花の名前は……」
少し自信が揺らいで声が小さくなった私の言葉にファーリスは少し震える。ちゃんと当たっているらしかった。私も継ぐ言葉を躊躇してしまう。恥ずかしすぎる。
「……花言葉は」
ファーリスが急かすようにそう問いかけてきた。私は頭が爆発しそうになる。苦し紛れに訳の分からない事を口走ってしまった。
「こ、こういう言葉を! 女性から言わせるなんて卑怯ですわ!」
「そ、それは……」
面食らったようにたじろぐファーリス。取り繕う様に反論してくる。
「そういう事を言うのが苦手だから、こういう……形に、したんですよ」
「わからなくもないですが、殿方はもっとシャキッとしてくださいませ!」
もう何が何だかわからず、言葉使いもおかしくなっている。それでも私の言葉でファーリスの目に決意が灯る。
「ナナさん! 僕は」
言葉が一度途切れる。逡巡するファーリス。でもすぐに言葉の続きを言った。
「僕は、ナナさんが好きです、付き合ってください」
私は待ちに待った言葉を受け取った。同じ思いだった。私は天にも昇る思いだ。
「私もファーリスさんが、好き……です」
とんでもなく体が熱い。火がついてるのかと思うほどに。ファーリスは私の言葉を受け取って、そのまま顔を近づけてくる。私はいきなりなの、と思いつつ、不器用なこの人をとても愛おしく思った。
渡された花の名前はリナリア。花言葉は、この恋に、気付いて。
私は自然と声をあげてしまった。ファーリスが私の方を見て不思議そうな顔をする。
「ナナさん、どうしました?」
「いえ、大丈夫です」
隠す必要もないのになぜか私は隠してしまう。かなり日数が経過して、やっと図鑑で課題に出された花を見つけた。やっと見つけた。でもそれを隠す理由があった。たまたま花言葉の詩集を見ていた時、この花の花言葉を読んでいた。本当に偶然の出来事。その時は花の名前しか書かれていない詩集だったから、課題の花という事に気付いていなかったけど、今花の名前が分かって、繋がった。この花の名前と花言葉が。
「ふぅ」
私は落ち着くために一度大きく息を吐く。ファーリスは相変わらず、不審そうにこちらをチラチラと見ていた。私は何気ないしぐさで、図鑑を置いて、詩集に手を伸ばす。もしかしたら勘違いの可能性もある。確かめないといけない。確か載っていたと思われる詩集をパラパラとめくっていくと、該当する花の名前が目に飛び込んできた。やっぱり花言葉はこれだ。
「ッ!」
私は途端に体がびっくりするぐらいに熱くなった。そういう事なんだよね、そういう事で良いんだよね。私は自分に問いかける。課題の花の花言葉はそう言う類のものだ。
「本当にどうしました?」
ファーリスが心配する様に声をかけてくる。
「あ、ぁの~、課題の件で」
声が裏返ってしまう。とりあえず無理やりにでも言葉を続けた。
「課題の答えが、わかりました」
私がしどろもどろに伝えると、それを受けてファーリスの顔が真っ赤になる。この反応は本当に。
「き、聞きま、しょう」
ファーリスが私の前に立つと、そう言った。なんて伝えよう。いや、答えを言えばいい。ただそれだけの事。
「花の名前は……」
少し自信が揺らいで声が小さくなった私の言葉にファーリスは少し震える。ちゃんと当たっているらしかった。私も継ぐ言葉を躊躇してしまう。恥ずかしすぎる。
「……花言葉は」
ファーリスが急かすようにそう問いかけてきた。私は頭が爆発しそうになる。苦し紛れに訳の分からない事を口走ってしまった。
「こ、こういう言葉を! 女性から言わせるなんて卑怯ですわ!」
「そ、それは……」
面食らったようにたじろぐファーリス。取り繕う様に反論してくる。
「そういう事を言うのが苦手だから、こういう……形に、したんですよ」
「わからなくもないですが、殿方はもっとシャキッとしてくださいませ!」
もう何が何だかわからず、言葉使いもおかしくなっている。それでも私の言葉でファーリスの目に決意が灯る。
「ナナさん! 僕は」
言葉が一度途切れる。逡巡するファーリス。でもすぐに言葉の続きを言った。
「僕は、ナナさんが好きです、付き合ってください」
私は待ちに待った言葉を受け取った。同じ思いだった。私は天にも昇る思いだ。
「私もファーリスさんが、好き……です」
とんでもなく体が熱い。火がついてるのかと思うほどに。ファーリスは私の言葉を受け取って、そのまま顔を近づけてくる。私はいきなりなの、と思いつつ、不器用なこの人をとても愛おしく思った。
渡された花の名前はリナリア。花言葉は、この恋に、気付いて。
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読ませていただきました。
他の令嬢モノの作品にくらべて日常的な描写が多いおかげで、追放のショックから主人公が立ち直っていく場面の情景が思い浮かべやすいのが良かったです。
今後も更新を楽しみにしています。
ありがとうございます(*´ω`*)
ネタバレになるので控えますが、他の方の感想にもある様にザマーサイドはかなりエグ目ですね。反面。花言葉でときめく日常系のぽやぽや加減は糖度たかめでした。
そんなにエグいですかね(´⊙ω⊙`)!
ありがとうございます(*´ω`*)
一気に読ませて頂きました!
操られたことに気がついた王子が気に手遅れ、そして黒幕の目的…
この先どうなるかめちゃめちゃ気になります!
ありがとうございます(*´ω`*)