私を選ばなかったせいで破滅とかざまぁ、おかげで悪役令嬢だった私は改心して、素敵な恋人できちゃった

高岩唯丑

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「おーほほほっ」
 私はセンスで口を隠しながら、同級生で平民の彼女、エリィをいびっていた。と言っても、自分では手をくださいない。取り巻き達に、やらせている。今日はなんだかとても、苛立ったから、中庭でエリィが食べていたお弁当をひっくり返してやった。なんとも気分がはれる。こうしてイジメているととても。
 エリィはすこぶる優秀な生徒だった。この魔法学園で、貴族の私を差し置いて、魔法の成績はトップ。私は、二位に甘んじた。しかも、一度ではなく何度もだ。こんな事あってはならない。私はそれを思い、またイラついてくる。
「生意気なのよ」
 私はエリィの顔を扇子で思いっきり、叩いた。うずくまったエリィの鼻から血が垂れる。一瞬、胸がキュッとして。すぐに私は高笑いをする。エリィは泣いていない様だった。いつもそうだ。にらみつけるでもなく、泣くわけでもなく、ただ、感情のこもらない目で、私を見るだけ。
「何よ!」
 イラ立ちが一層、増して、エリィを扇子で何度もたたく。
「さすがにやりすぎじゃあ、ナナ様」
 エリィの顔に傷がつき、痣がつきさすがに取り巻きが慌てだす。今日は感情が止まらなかった。止められなかった。いつもは程よく痛めつけるだけが、今日は明らかにやりすぎている。私の頭にそんな事が過る。誰かに見られでもしたら。
「やめろ!」
 私の体はビクリと強張った。聞きなれた声。私の婚約者のマージルの声。見られてしまった。
 マージルはすぐさま、エリィの元に駆け寄って庇う様に、位置取る。マージルの手が愛おしそうに、エリィの肩に置かれているのを見て、怒りが沸き上がった。イラ立ちではなく、怒り。止められない怒りが、そのままマージルへと扇子で殴打させた。当たった瞬間に、怒りは恐怖へと切り替わる。やってしまった。彼は。
「無礼者! 私はこの国の王子だぞ!」
 どこからか、湧いて出たのか、マージル王子を守る兵士が現れて、私は一瞬で拘束される。地面に押し付けられ、それでも抵抗して、マージルとエリィを見やる。エリィはマージルの腕の中で、怯えるように体を震わせていた。無感情の視線をこちらに向けていた彼女が。どういう事かと、頭が混乱した。それでも待ってくれないマージルは私に向かって、宣言する様に、仰々しく、言葉を投げかける。
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