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エピローグ
04
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ドレグの背中には哀愁が漂う。涙を堪えているのか、ドレグに「主役がいないでどうする、もう戻りなされ」と急かされた。
私はパーティーに戻るため、歩き始める。チラリと、ドレグの背中を見ると、その老兵の背中は、とても大きく見えた。
今日の平和は守らている。この老兵によって。
※
パーティー会場に戻ると、私のもとにシルクが駆け寄ってきた。
「西門に向おうと思ったのですが、よかった」
少し焦った様子で、シルクがそう言うと、私の手を掴んで歩き出す。
「え? 何々?」
「女の子が、目を覚ましたそうです」
「そうなの?! よかった!」
私は女の子が寝ていた部屋に急ぐ。部屋に着くと、すぐに部屋の中に駆けこんだ。ベッドの中には、申し訳なさそうに、ちょこんと座る女の子がいる。
「あっ、よかった」
「誰?」
私達を見た女の子が、当然の質問を投げかけてくる。君を斬り倒した人だよ、とは当然言えない。私が言い淀むと、シルクがかわりに、上手く伝えてくれた。
「このお姉さんが、君を助けたのですよ」
間違ってはいない。嘘もついていない。私はそう思いながら、女の子に近づいて行く。
「何も覚えていない?」
私がベッドのそばにある椅子に座りながら、そう問いかけると、女の子はわからないという顔をした。
「それならそれで、いいんだよ」
私が女の子の頭を優しく撫でる。女の子は、少し顔を赤らめて、嬉しそうな表情をした。
「ところで名前は?」
私が女の子に問いかけると、ポツリと「ルファ」と答えた。
「ルファね」
私がルファに微笑みかけると、ルファは恥ずかしそうに、はにかむ。いい子じゃないか。私がニヤニヤしていると、部屋の扉が開く。
「目が覚めたのか」
そう言いながら、部屋に入ってきたのは、クロエだった。もうちょっと、おしとやかに、入ってくれないものか。
「ひっ」
ルファがびっくりして、私の腕に、しがみついているじゃないか。怯えているじゃないか。え、ちょっと怯えすぎでは。あきらかにブルブルと震えて、私に体を寄せている。隠れようとしている様にも見える。
「リクデムル……様」
「む、なぜ、現王の名前を?」
クロエが、不思議そうな顔をしながら、訂正する様に続けた。
「私はクロエ、リクデムル様とは親戚で、顔は似ていると言われるが、そもそも性別が違う、私は女だぞ」
一応、ドレスに化粧をしているクロエは、自信満々にそう言う。性格が男っぽいだけで、見た目はちゃんと女性だ。
「あっ、ちがう」
ルファの強張った体の力が、抜けるのを感じる。でも、さっきのはなんだったんだろう。明らかに様子がおかしかった。怯えていた。クロエにリクデムルという王様を見て。
「くぅー」
突然、そんな音がルファから聞こえる。ルファがお腹を押さえて、顔を真っ赤にしていた。お腹が鳴ったらしい。
「よし、シルク、その子をパーティー用に仕上げてくれ」
クロエがそうシルクに命じる。
「今日はパーティーだ、とりあえず、話はまた明日だ」
そう言って、クロエが右手の拳をグッと握って、宣言した。
「ご馳走をまだまだ……食うぞ」
私もクロエにならって、右手の拳をグッと握る。
「食うぞ」
その二人の姿を見て、ルファがこらえきれなくなって、笑いだす。シルクは、呆れたように頭を抱えた。
今日は楽しもう。キラキラしたパーティーは、危機を脱したみんなの心を映すように、笑い声にあふれていた。
私はパーティーに戻るため、歩き始める。チラリと、ドレグの背中を見ると、その老兵の背中は、とても大きく見えた。
今日の平和は守らている。この老兵によって。
※
パーティー会場に戻ると、私のもとにシルクが駆け寄ってきた。
「西門に向おうと思ったのですが、よかった」
少し焦った様子で、シルクがそう言うと、私の手を掴んで歩き出す。
「え? 何々?」
「女の子が、目を覚ましたそうです」
「そうなの?! よかった!」
私は女の子が寝ていた部屋に急ぐ。部屋に着くと、すぐに部屋の中に駆けこんだ。ベッドの中には、申し訳なさそうに、ちょこんと座る女の子がいる。
「あっ、よかった」
「誰?」
私達を見た女の子が、当然の質問を投げかけてくる。君を斬り倒した人だよ、とは当然言えない。私が言い淀むと、シルクがかわりに、上手く伝えてくれた。
「このお姉さんが、君を助けたのですよ」
間違ってはいない。嘘もついていない。私はそう思いながら、女の子に近づいて行く。
「何も覚えていない?」
私がベッドのそばにある椅子に座りながら、そう問いかけると、女の子はわからないという顔をした。
「それならそれで、いいんだよ」
私が女の子の頭を優しく撫でる。女の子は、少し顔を赤らめて、嬉しそうな表情をした。
「ところで名前は?」
私が女の子に問いかけると、ポツリと「ルファ」と答えた。
「ルファね」
私がルファに微笑みかけると、ルファは恥ずかしそうに、はにかむ。いい子じゃないか。私がニヤニヤしていると、部屋の扉が開く。
「目が覚めたのか」
そう言いながら、部屋に入ってきたのは、クロエだった。もうちょっと、おしとやかに、入ってくれないものか。
「ひっ」
ルファがびっくりして、私の腕に、しがみついているじゃないか。怯えているじゃないか。え、ちょっと怯えすぎでは。あきらかにブルブルと震えて、私に体を寄せている。隠れようとしている様にも見える。
「リクデムル……様」
「む、なぜ、現王の名前を?」
クロエが、不思議そうな顔をしながら、訂正する様に続けた。
「私はクロエ、リクデムル様とは親戚で、顔は似ていると言われるが、そもそも性別が違う、私は女だぞ」
一応、ドレスに化粧をしているクロエは、自信満々にそう言う。性格が男っぽいだけで、見た目はちゃんと女性だ。
「あっ、ちがう」
ルファの強張った体の力が、抜けるのを感じる。でも、さっきのはなんだったんだろう。明らかに様子がおかしかった。怯えていた。クロエにリクデムルという王様を見て。
「くぅー」
突然、そんな音がルファから聞こえる。ルファがお腹を押さえて、顔を真っ赤にしていた。お腹が鳴ったらしい。
「よし、シルク、その子をパーティー用に仕上げてくれ」
クロエがそうシルクに命じる。
「今日はパーティーだ、とりあえず、話はまた明日だ」
そう言って、クロエが右手の拳をグッと握って、宣言した。
「ご馳走をまだまだ……食うぞ」
私もクロエにならって、右手の拳をグッと握る。
「食うぞ」
その二人の姿を見て、ルファがこらえきれなくなって、笑いだす。シルクは、呆れたように頭を抱えた。
今日は楽しもう。キラキラしたパーティーは、危機を脱したみんなの心を映すように、笑い声にあふれていた。
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