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第二章

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 私はそう提案した。シルクもドレグも少し考えたのち、私の意見に同意する。
「では、それで決まりですな」
 それだけ言って、ドレグがもと居た位置に戻っていく。
「まぁ、私が頑張って、戦えばいいんだよね」
 そう私が言うと、シルクが付け加えるように言った。
「もう一回、夜営をするという選択肢もあります」
「そうだね、危険だけど」
 一応、私の中では、すぐに決着をつけられるのではないか、と思っている。自惚れというわけではないけど、三体同時に、一瞬で影の魔物を倒せた。私自身が、影の魔物の上をいっている証拠だと思う。あとは木天蓼の力に溺れて、自滅しない様に気をつける事。
「兵士三人は気合が入ってるので、言わないようにしていましたが」
 シルクが少し声を低めて続けた。
「影の魔物のボスが、本当にこちらに、いるかもわかりません」
 私は苦笑をして「まぁね」と応えた。
 馬車で進んでいくうちに、少しづつ、日が低くなってきた。夕方と昼の間ぐらい。おやつの時間帯である。
「そろそろ、おやつの時間か」
 私が呟くも、シルクは無反応だった。そんなんでは、メイドとして、たるんでいると、私は思う。ただ、私は寛大である。もう一度、チャンスをあげようと思う。
「そろそろ、おやつの時間か」
 シルクは無反応だった。なんて事だ。メイドがティータイムを忘れるとは。これはいけない。これはいけないよ。
「シルク、おーやーつー」
 私はシルクを諫める様に言葉を発する。
「ありません」
 冷たい低さの声で、シルクが返してきた。ティータイムを準備していないメイドがいるとは。タワーみたいなやつに、ケーキとかパンみたいなやつを、乗せてる物を準備していないとは。
「なーんーでー」
「は?」
 シルクの眉間にしわが寄って、ビックリするぐらい低い声を出す。私はちょっと、ふざけ過ぎたかと反省して、その場で正座をして言った。
「あっ、いや、小腹がすいたなと思って」
「我慢してください」
「何かちょっとくらい、用意してないの?」
「余計な物はありません、必要最低限の物だけです」
 旅をするのに、荷物を多くする訳にいかない。それはわかるけど。私は納得できないけど、なんとか納得する様に唸り声をあげる。
「ふふふ、リコ様、子供みたい」
 話を聞いていたらしいエネリーが、口をはさむ。
「え!」
 私は一気に恥ずかしくなった。顔が熱くなるのを感じる。ちょっと、いろんなものが緩んでいるのだろうか。自分のキャラってこんなんだっけ。
「私はそういうリコ様、好きですよ」
 エネリーが少し嬉しそうな声で続ける。
「親しみやすいと思うんです、強くて影の魔物を一瞬で倒せるくらいだけど、普段は子供みたいで可愛い、ふふっ、私達みたいに弱い人間と同じなんだなって」
「可愛いって」
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