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第二章

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 ニールがエネリーの背中をバンッと叩く。
「ふえっ」
 エネリーが変な声を出した。そして、休憩が終わったドレグが近づいてきて、ドレグもまた、エネリーの背中をバンッと叩く。
「ふえぇぇっ」
 私は少し笑ってしまった。エネリーは表情が少し変わる。嬉しそうというか、気力に満ちた顔。そして、エネリーはもう一度言う。
「そんな事、ないですよ!」



 休憩を一時間くらい取った私たちは、そろそろ出発をしようか、という話になっていた。
「馬は回復したか?」
 ドレグがエネリーに問う。エネリーは馬を撫でながら、目を見たりしてから、答えた。
「はい、疲労は、完全にはとれていないでしょうが、落ち着いたみたいです、回復しました」
「では、さっそく出発しますかな」
 ドレグのその言葉で、みんなが動き始める。しかし。
「さっそくか」
 私の言葉でみんなが反応した。影の魔物が現れたのだ。本当に突然、現れた。いつの間にかいた、という言い方もできるくらい。
「囲まれていないから、よかった」
 影の魔物は一方向から、五体来ている。知能は、あまり高くないのか、すぐさま、馬車を囲むような事はしてこない。
「みんな、そのまま進んで、私が相手するから」
「なんと、一人ですかな」
 ドレグが驚いたように聞き返してくる。
「うん、どれぐらい通用するか、試しておきたい、お願い」
 低めの唸り声をあげたドレグが「気を付けてくだされ」と言い、さがる。さすがに、私を置いていくような事は、したくないのか、結局みんな馬車を、進めようとはしない。
「待たせる訳にいかないし、さっさと片付けますか」
 猫爪流居合術には八個の技がある。壱から参の技は基本の技だ。この三つは、普通の刀でもできる。だけど、それ以降の技が木天蓼なしでは、はっきり言って、理解不能だった。しかも、口伝で伝わってるものだから、実演なしでは、余計に意味がわからなかった。
 私は影の魔物に対しながら、木天蓼を少し抜いた状態にする。エネルギー、妖力が全身に行きわたる感覚。こういう事だったんだ。四から六の技は、少し刀を抜いたままにして、無心になる、という言葉が基本の技につく。おそらく、より濃い妖力を、使用するためなんだと思う。
「ようやく意味がわかったよ」
 少し、ふわふわして気持ちがいい。その気持ちよさに、身をゆだねそうになる。私はいけないと、気持ちを強く持つ。ただ、これ以上、妖力にさらされては、ダメだと思い、駆けだした。想像以上に素早く動けて、驚く。
 どれくらいの技が使えるか、想像もつかないけど、一番前にいる、影の魔物に狙いを定め、技を放った。
「猫爪流居合術、四の爪」
 横薙ぎの技。しかし、自分でも、びっくりするほどの力で放たれた技は、影の魔物を、三体同時に真っ二つにした。
「うわ」
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