異世界に召喚されたのは居合を駆使する女の子!

高岩唯丑

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第二章

01

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 出発の日の朝はとても早かった。まだ暗い時間に、叩き起こされて、ボーッとしているうちに、シルクに着替えさせられて、朝ごはんを食べさせられて、馬車が待機している場所まで、意外と力持ちなシルクに、お姫様抱っこで、連れてこられた。さすがに、お姫様抱っこの恥ずかしさで、目が冴えて、途中から自分で歩こうとしたけど、シルクが「ボーッとしてた罰です」と言って、降ろしてくれなかった。おかげで、何人かとすれ違って、クスクスと笑われた。さすがに、城主が影の魔物討伐に出発する日だから、人がいっぱいいる様だ。
「気を張りすぎないのは良い事だ」
 クロエが微笑んでそう言うと、私の頭を、グシャグシャと、撫でる。
「すみません」
 私はなんだか、申し訳ない気持ちになって、謝った。
「みんな、こんな朝早くに集まってくれて、ありがとう」
 クロエが良く通る声で、城の出入り口前の広場に集まった、兵士や偉い感じの装いの人達に言った。
「この作戦は、ここにいる英雄の子孫、リコが我々のもとに、現れてくれたおかげで実行できる!」
 クロエが私の背中にそっと手を添える。
「このチャンスに、なんとしても影の魔物を打ち倒す」
 少し間をあけて、クロエが拳を空に突き上げる。
「我々は勝利する!」
 そのクロエの言葉に、その場にいた人たちが声をあげた。地響きがするのでは、と思うほどに。希望の光が見えた歓喜。この絶望的な状況を打破できるかもしれない、という、期待。私は身が引き締まる思いがした。頑張らなければ。
「リコ、ありがとう、頼む」
 頭を少しだけ下げたクロエがそう言う。私もそれに対して、少し頭を下げて、はいと返事をする。
「さぁ、行こう」
 クロエがそう言って、馬車に乗り込んだ。私たちも、もう一つの方の馬車に乗り込む。外からは、みんなの送り出す声が聞こえてくる。
「リコお姫様、シルク騎士様、頑張って!」
 そういう声も聞こえてきて、私は、両手で顔を覆う。意外と、みんな、余裕あるな。



 城下町をゴトゴト馬車が進む。馬車は布の天井に、椅子などない平らな木の荷台で、布団のような、柔らかめな敷き物がひいてある。想像していた馬車とは違っていたけど、荷物が載せやすいし、横になって寝れるし、こっちの方がいいかもしれない。
「もう少しで、街の門っす、リコお姫様」
 外で歩いている兵士が、馬車を覗き込みながらそう言う。
「それやめて」
 恥ずかしさが込み上げてきた。
「いいじゃないですか、リコお姫様」
 シルクも少し嬉しそうに、そんな事を言ってくる。
「もうっ、気合入れるよ」
 もう外に出る。いつ襲われてもおかしくない状態だ。
 その時、馬車がガタンッと大きく揺れた。
「うわっ」
 私は驚いて、声をあげる。まぁまぁの揺れだった。
「何?! 影の魔物?!」
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