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第一章
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「あぁ、だから、少数精鋭二隊で速攻突撃する」
なるほど、それなら、警備を減らさない。
「未知数のボスと、対峙できるだけの実力がある者がいなかった、だが、リコが戦ってくれると言ってくれたおかげで、作戦が決行できる」
状況が変えられるという事に、少し興奮しているのか、クロエの手が握り締められる。
「廃村の方にリコの部隊が、私の部隊が森に行く、森は慣れがいるからな」
「え? 城主が行くんですか?」
「あぁ、私がこの城で一番強い」
本当に捨て身の突撃だ。
「私に何かあっても、問題はない、もともと内政は苦手で、臣下に任せていた」
私は苦笑しながら、そうですかと、かえす。こんな領主だと、臣下の人たちは大変だろう。今みたいな危機に瀕している時は、頼もしいだろうけど。
「そして、重要のが一つ」
「はい」
「自分が向かった先にボスがいなかった場合だ」
「片方はおそらく、いないはずですもんね」
「あぁ、その場合、すぐに城へ戻ってくれ」
「もう片方に向かわなくていいんですか?」
「間に合わない上に、無駄な体力を使う、両方とも片道一日はかかるからな」
かなりの距離だ。少数精鋭だから本当に孤立無援状態。なかなか厳しい作戦になりそうだ。
「かなり危険だが、よろしく頼む」
クロエが頭を下げてそう言う。私も力を込めて「はい」と返した。
自室に戻ると、シルクがいそいそと準備を始めた。私も手伝えることがあるか聞くと「結構です」と断られる。
私はベッドに腰かけて、シルクを眺めていた。
「なんですか?」
私の視線が気になったのか、シルクが手を動かしながら、言う。
「いや、シルクと会ったばっかりなのに、じっくり話す機会がなくなっちゃったから」
寂しいという感情もまだない。さっき会ったばかりだ。当然といえば当然だけど。だからこそ沢山、話したかった。
「私もついていきますよ」
「え? ついてくるの? 危ないよ?」
「大丈夫です、私は戦力に数えられるくらいには戦えるので、それにまだこの世界に慣れないあなたの世話もあります」
「でも」
「うるさいです、決まった事です」
ぴしゃりとシルクが話を切る。世話をしてくれるのはありがたいけど、本当に戦えるんだろうか。
「ねぇ、シルク、気になるから聞きたいんだけど」
「なんですか?」
「シルクはどうやって戦うの?」
武器を使うのか、魔法的な物があるのか。あまり近接的な感じはしない。遠距離タイプな印象だ。
「聞いてどうするのですか?」
シルクが不審そうな顔で言う。
「いやぁ、戦えるのかなぁって」
私のその言葉を聞いた瞬間、シルクが少しムッとする。
なるほど、それなら、警備を減らさない。
「未知数のボスと、対峙できるだけの実力がある者がいなかった、だが、リコが戦ってくれると言ってくれたおかげで、作戦が決行できる」
状況が変えられるという事に、少し興奮しているのか、クロエの手が握り締められる。
「廃村の方にリコの部隊が、私の部隊が森に行く、森は慣れがいるからな」
「え? 城主が行くんですか?」
「あぁ、私がこの城で一番強い」
本当に捨て身の突撃だ。
「私に何かあっても、問題はない、もともと内政は苦手で、臣下に任せていた」
私は苦笑しながら、そうですかと、かえす。こんな領主だと、臣下の人たちは大変だろう。今みたいな危機に瀕している時は、頼もしいだろうけど。
「そして、重要のが一つ」
「はい」
「自分が向かった先にボスがいなかった場合だ」
「片方はおそらく、いないはずですもんね」
「あぁ、その場合、すぐに城へ戻ってくれ」
「もう片方に向かわなくていいんですか?」
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かなりの距離だ。少数精鋭だから本当に孤立無援状態。なかなか厳しい作戦になりそうだ。
「かなり危険だが、よろしく頼む」
クロエが頭を下げてそう言う。私も力を込めて「はい」と返した。
自室に戻ると、シルクがいそいそと準備を始めた。私も手伝えることがあるか聞くと「結構です」と断られる。
私はベッドに腰かけて、シルクを眺めていた。
「なんですか?」
私の視線が気になったのか、シルクが手を動かしながら、言う。
「いや、シルクと会ったばっかりなのに、じっくり話す機会がなくなっちゃったから」
寂しいという感情もまだない。さっき会ったばかりだ。当然といえば当然だけど。だからこそ沢山、話したかった。
「私もついていきますよ」
「え? ついてくるの? 危ないよ?」
「大丈夫です、私は戦力に数えられるくらいには戦えるので、それにまだこの世界に慣れないあなたの世話もあります」
「でも」
「うるさいです、決まった事です」
ぴしゃりとシルクが話を切る。世話をしてくれるのはありがたいけど、本当に戦えるんだろうか。
「ねぇ、シルク、気になるから聞きたいんだけど」
「なんですか?」
「シルクはどうやって戦うの?」
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「聞いてどうするのですか?」
シルクが不審そうな顔で言う。
「いやぁ、戦えるのかなぁって」
私のその言葉を聞いた瞬間、シルクが少しムッとする。
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