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第一章
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「ところで……手助けすると決めたので、いろいろ今の状況を聞いてみたいです」
「あぁ、そうだな」
頭をあげたクロエが、少し考える素振りをすると、口を開く。
「先ほど少し触れたが、もう少し詳細に話そう、ただあまり時間はかけれない、今回の件の後片付けが、すべて終わったわけではないからな」
「あっそうですよね」
やっぱり、あんな物が城に入り込んだら、倒してとしても、これからの事を考えたり、いろいろあるだろう。
「まずは……影の魔物については、わからない事が多い、対峙した君ならある程度は理解しただろう」
「……そうですね、なんとなくは」
先ほど戦った影の魔物を思い出す。モヤのような体なのに、斬った時に感触はあった。でも斬った後、霧散する様に消えた。生物としてはあり得ない現象だ。
「あれが突然現れて、この国を分断していった、街道には影の魔物が溢れていて、他の街に移動する事もできん」
「国の分断……だから援軍を出すのも、来てもらうのも出来ない状態なんですね」
「あぁ、国としては機能していない、自分の領地さえ、どういう状況か、わからない、居城と城下町はなんとか守っているが、それもいつまでもつか」
クロエの悲痛な表情から、状況はかなり、ひっ迫している事が伺える。
「今まで城にまで侵入もされた事はない……警備の疲労は目に見えている、どうすればいいか、皆目見当もつかない」
深いため息をついたクロエは、手で顔を覆うようにしてうつむく。いきなり、現れた私にさえ、助けを求めるのもうなずける。
「そういえば……私の先祖、英雄が昔、現れた影の魔物をどうにかしたのではないのですか?」
さっき少しだけクロエが話してくれた話。一度、どうにかできたなら、対処法はわかっているのでは。
「私も最初、影の魔物の報告を聞いた時、過去の話を思い出した、対処ができると安心したが、現実はそんな簡単な話ではなかった」
「難易度の高い対処法ですか?」
「あぁ……都市を防衛しながらは、かなりな」
「どういう方法ですか?」
「影の魔物は群れを成していて、群れにはボスがいるらしい、そのボスを倒すと、群れ全体が消えると言われている、英雄は各地を旅して、ボスを倒していったと伝えられている」
「……なるほど」
都市を防衛しながら、どこにいるかわからない、影の魔物のボスを探して倒すというのは難しそうだ。しかも、塀の外には、うじゃうじゃ影の魔物がいるんだろう。それを退けながら、探さないといけない。都市防衛の人員を減らす訳にいかないし、なかなか討伐の部隊も出せない状態だろう。
「……いきなり現れた、私のような存在は、ありがたいという事ですね」
「あぁ、そうだ、強い剣士で部隊の一人ではないから、防衛の人員が減らない……正直、かなり助かる」
私は少しドキドキしていた。影の魔物は刀のおかげもあるにせよ、それほど強いと思わなかった。だからこそかもだけど、戦う事に高揚感があった。自分がこんなに、好戦的な性格とは思っていなかったな。
「そろそろ、私は行かないといけない……詳細に話しができず、申し訳ないな、聞きたい事があれば、シルクに聞いてくれ、今日からリコ専属のメイドとして、働いてもらうからな」
「あぁ、そうだな」
頭をあげたクロエが、少し考える素振りをすると、口を開く。
「先ほど少し触れたが、もう少し詳細に話そう、ただあまり時間はかけれない、今回の件の後片付けが、すべて終わったわけではないからな」
「あっそうですよね」
やっぱり、あんな物が城に入り込んだら、倒してとしても、これからの事を考えたり、いろいろあるだろう。
「まずは……影の魔物については、わからない事が多い、対峙した君ならある程度は理解しただろう」
「……そうですね、なんとなくは」
先ほど戦った影の魔物を思い出す。モヤのような体なのに、斬った時に感触はあった。でも斬った後、霧散する様に消えた。生物としてはあり得ない現象だ。
「あれが突然現れて、この国を分断していった、街道には影の魔物が溢れていて、他の街に移動する事もできん」
「国の分断……だから援軍を出すのも、来てもらうのも出来ない状態なんですね」
「あぁ、国としては機能していない、自分の領地さえ、どういう状況か、わからない、居城と城下町はなんとか守っているが、それもいつまでもつか」
クロエの悲痛な表情から、状況はかなり、ひっ迫している事が伺える。
「今まで城にまで侵入もされた事はない……警備の疲労は目に見えている、どうすればいいか、皆目見当もつかない」
深いため息をついたクロエは、手で顔を覆うようにしてうつむく。いきなり、現れた私にさえ、助けを求めるのもうなずける。
「そういえば……私の先祖、英雄が昔、現れた影の魔物をどうにかしたのではないのですか?」
さっき少しだけクロエが話してくれた話。一度、どうにかできたなら、対処法はわかっているのでは。
「私も最初、影の魔物の報告を聞いた時、過去の話を思い出した、対処ができると安心したが、現実はそんな簡単な話ではなかった」
「難易度の高い対処法ですか?」
「あぁ……都市を防衛しながらは、かなりな」
「どういう方法ですか?」
「影の魔物は群れを成していて、群れにはボスがいるらしい、そのボスを倒すと、群れ全体が消えると言われている、英雄は各地を旅して、ボスを倒していったと伝えられている」
「……なるほど」
都市を防衛しながら、どこにいるかわからない、影の魔物のボスを探して倒すというのは難しそうだ。しかも、塀の外には、うじゃうじゃ影の魔物がいるんだろう。それを退けながら、探さないといけない。都市防衛の人員を減らす訳にいかないし、なかなか討伐の部隊も出せない状態だろう。
「……いきなり現れた、私のような存在は、ありがたいという事ですね」
「あぁ、そうだ、強い剣士で部隊の一人ではないから、防衛の人員が減らない……正直、かなり助かる」
私は少しドキドキしていた。影の魔物は刀のおかげもあるにせよ、それほど強いと思わなかった。だからこそかもだけど、戦う事に高揚感があった。自分がこんなに、好戦的な性格とは思っていなかったな。
「そろそろ、私は行かないといけない……詳細に話しができず、申し訳ないな、聞きたい事があれば、シルクに聞いてくれ、今日からリコ専属のメイドとして、働いてもらうからな」
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