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クリスマス中止のお知らせ
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クリスマス。それは宗教的な意味を持つイベントである。にもかかわらず、世の中はカップルが無駄にえっちをする日となっている。
僕は、そんなクリスマス一色になっている街を歩いていた。夜だというのに昼間の様に明るい。そしてさっきからカップルと何度もすれ違っている。僕が歩いてきた方に向かっているから、さっき通り過ぎたホテルへと向かっているのだろう死ねばいいのに。
「……ユゥウトォ」
「はひゃっ」
突然後ろから艶めかしい声で呼び止められて、変な声を出してしまう。すぐさま後ろを振り向くと、そこには歩き去っていくカップルの後ろ姿が見えた。二人の囁き合う声が微かに聞こえてくる。
「ユゥウトォ、我慢出来なぁい」
「アヤは本当に……」
そう呟いた男は、アヤなる女に口づけをする。僕はすぐに体を反転させて、早足で歩き始めた。
「僕は悠人であって、ユゥウトォではない」
そんな事あり得ないのに、僕の事を知っている誰かが声をかけてくれて、そこからめくるめく聖夜を過ごせるのかと、一瞬でそこまで妄想してしまった。
「くそぉう、リア充どもめ、爆発しろぉ」
僕はそんな事を呟く。こんな日に食料が無くなるとは、油断していた。毎年、クリスマス近辺は家に立てこもっている。食料を買い込んで、一切外出しなくて良いようにしていたのに。今年は最悪だ。
クリスマスなんて、一度も恋人と過ごした事がない。いやこの言い方だと語弊があるかもしれない。恋人なんて、十八年間一度もできた事がないのだ。子供の時の仲良しの延長線上の恋人さえ、できた事がない。
大学に入れば、自動的に彼女ができると思っていた。だから何もアクションを起こさなかった。行動を起こして大学デビューしていれば何かが変わったかもしれない、でもそれをしなかった。そして今さらできない。突然別人のようになっても、みんなになんだアイツって笑われるだけだろう。
周りが暗くなっている事に気付いて、立ち止まる。夢中になって考え事をしていたら、いつの間にかクリスマスムードが無い寂しい通りまで来ていた。僕は後ろを振り向いた。華やかなクリスマスムードで照らされた夜空が見える。あの空の下で、何組ものカップルが腰を振っているのだろう。クリスマスだからしておこうと、無駄にえっちをしているのだ死ねばいいのに。
「リア充爆発しろ! リア充爆発しろ! リア充爆発しろ!」
僕は家に向かって歩き始める。早く帰ってアニメを見ながらご飯を食べよう。そう思い早足になる。
「くそぉう! リア充爆発しろ!」
僕はそう叫んで走り始めた。無性に悔しくなって、何故かそうしたくなったのだ。
「見つけた……魔王様にふさわしい存在」
耳元で誰かに囁かれた気がした。周りを見回そうと走る足を止める。
「誰? 誰もいない?」
暗がりに誰かいるのかと思ったけど、そうでもない。僕はキョロキョロと周りを見渡す。やっぱり誰もいない。
「なんだったんだ、そらみみゃぁ……はれ?」
突然口が回らなくなる。視界が歪んで見える。あっ、ヤバイ。もしかして死ぬのか。そこまで考えたところで、意識が遠のいて行くのを自覚する。地面が物凄いスピードで近づいてきていた。いや、倒れているのか。次いで衝撃。
僕は、そんなクリスマス一色になっている街を歩いていた。夜だというのに昼間の様に明るい。そしてさっきからカップルと何度もすれ違っている。僕が歩いてきた方に向かっているから、さっき通り過ぎたホテルへと向かっているのだろう死ねばいいのに。
「……ユゥウトォ」
「はひゃっ」
突然後ろから艶めかしい声で呼び止められて、変な声を出してしまう。すぐさま後ろを振り向くと、そこには歩き去っていくカップルの後ろ姿が見えた。二人の囁き合う声が微かに聞こえてくる。
「ユゥウトォ、我慢出来なぁい」
「アヤは本当に……」
そう呟いた男は、アヤなる女に口づけをする。僕はすぐに体を反転させて、早足で歩き始めた。
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そんな事あり得ないのに、僕の事を知っている誰かが声をかけてくれて、そこからめくるめく聖夜を過ごせるのかと、一瞬でそこまで妄想してしまった。
「くそぉう、リア充どもめ、爆発しろぉ」
僕はそんな事を呟く。こんな日に食料が無くなるとは、油断していた。毎年、クリスマス近辺は家に立てこもっている。食料を買い込んで、一切外出しなくて良いようにしていたのに。今年は最悪だ。
クリスマスなんて、一度も恋人と過ごした事がない。いやこの言い方だと語弊があるかもしれない。恋人なんて、十八年間一度もできた事がないのだ。子供の時の仲良しの延長線上の恋人さえ、できた事がない。
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周りが暗くなっている事に気付いて、立ち止まる。夢中になって考え事をしていたら、いつの間にかクリスマスムードが無い寂しい通りまで来ていた。僕は後ろを振り向いた。華やかなクリスマスムードで照らされた夜空が見える。あの空の下で、何組ものカップルが腰を振っているのだろう。クリスマスだからしておこうと、無駄にえっちをしているのだ死ねばいいのに。
「リア充爆発しろ! リア充爆発しろ! リア充爆発しろ!」
僕は家に向かって歩き始める。早く帰ってアニメを見ながらご飯を食べよう。そう思い早足になる。
「くそぉう! リア充爆発しろ!」
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暗がりに誰かいるのかと思ったけど、そうでもない。僕はキョロキョロと周りを見渡す。やっぱり誰もいない。
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突然口が回らなくなる。視界が歪んで見える。あっ、ヤバイ。もしかして死ぬのか。そこまで考えたところで、意識が遠のいて行くのを自覚する。地面が物凄いスピードで近づいてきていた。いや、倒れているのか。次いで衝撃。
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