ずっと、欲しかった

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 あらかじめ開錠しておいた保健室へ着くと、森本を抱えたまま引き戸に手を伸ばしてドアを開いた。中に入りベッドへ向かう。2つある内の窓側に近いベッドへそっと森本を下ろした。

 窓のカーテンを素早く閉じた。完全に隙間がなくなったのを確認してから、入り口へと向かい、ドアを閉める。誰もいないことは確認済みだったが、念のために内側から鍵をかけた。

 部屋の電気は明るすぎるし、森本が目を覚ましかねない。そう思った倉田は、養護教諭用の机の上に設置されているデスクライトを点けた。途端に暗闇だった世界がぼんやりと明るくなった。視界を確保するには十分な明るさだった。

 再びベッドへと近づく。そっと森本の顔を覗いた。昏々と眠っているようだった。口元が緩む。どうやらちゃんと薬は効いたようだ。

 倉田は履かせたままだった森本の靴を靴下と共に脱がせ、床に置いた。今日の森本の服装は紺色のカジュアルなボタンダウンシャツにライトグレーのスーツだった。ネクタイはしていない。

 森本の上半身を抱き上げてジャケットを脱がせ、皺にならぬように椅子の背へと掛けた。次に、森本のシャツへと手を伸ばす。上から1つずつゆっくりとボタンを外していった。今日はインナーを着ていないようだ。ボタンが外れるごとに、森本の肌が露わになっていく。

 ごくり、と倉田の喉が鳴いた気がした。

 初めて間近で見る森本の半裸は、想像以上に艶めかしかった。いや、喉から手が出るほど欲しかった故に、そう思えるのかもしれない。ほどよく筋肉が引き締まっていて、女の体とはまた違った色気があった。

 シャツを大きく開いて、そっと森本の肌に触れる。掌に森本の温かい体温が伝わってきた。そのままゆっくりと森本の上半身を撫でた。胸の飾りに指先で軽く触れる。すると、段々と先が硬く尖るのを感じた。熟睡中でも体は反応するのだな、と倉田は思った。

 ならばと、顔を近づけて舌先で飾りに触れて、強弱をつけて弄んでみる。

「んん……」

 森本がぴくりと体を震わせて、声を上げた。その可愛げのある声に倉田の興奮は一気に高まった。夢中でしゃぶりついて、執拗に飾りを攻めた。空いている方も同時に指先で転がす。

「は……あっ……」

 森本が体を軽く仰け反らせた。眉を寄せて、何かに耐えるような表情を見せるが、目は瞑られたままだった。寝ている間は本能の抑制が効かないためより感じやすい人もいると昔どこかで聞いたことがあるが、森本はどうなのだろう。どうやら感度は良いみたいだが。男なのにこれだけ感じるところをみると、倉田の知らない、誰か他の男の愛撫だと勘違いして声を上げているのだろうか。

 そう思うと、倉田の中の何かがチリチリと音を立てた。瞬間的に、森本の鎖骨辺りに強く吸い付いた。ゆっくりと唇を離すと、赤紫色に広がった所有印が現れる。その途端、自分のした行為に舌打ちしたくなった。証拠を残してしまった。森本が気付けば何があったのかすぐに理解するだろう。

 でもすぐに、まあ、いいか、と思い直す。どうせ、この学校にはもう来ることはない。家庭の事情か何かでしばらく有給を使って休んだ後、そのまま辞めるつもりだった。だからこそ、最後に一度だけでも森本に触れてみたかったのだ。

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