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No matter what ㉝

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「ん……」

 久しぶりだったせいか、少し痛みを感じた。深く入ったのを確認してから、腰を動かし始める。

「あ……はっ……あっ……」

 不思議な感覚だった。今まで、一応男との経験はあると言えるぐらいにはあった。まあまあな数の男たちと(黒崎が邪魔していたおかげで)関係を結んできた。けれど、こんなにしっくりくるというか、パズルのピースがかちりとはまったような、ピッタリとした感覚は味わったことがない。晃良が黒崎を見下ろすと、目が合った。

「…………」

 黒崎は何も言わなかった。が、晃良と同じことを感じているのはわかる。突然、黒崎が起き上がった。

「おわっ」

 つながったまま、黒崎が無理やり晃良を抱きかかえて反転した。晃良の上に乗った黒崎を見上げる。

「どした……あっ、ちょっ……あっ、あっ、んっ」

 反転して間髪入れずに黒崎が腰を打ち付けてきた。黒崎が動く度に痺れるような快感が晃良を襲う。

「はっ……あっ……あっ……」

 息が荒くなっていく。段々と意識が混濁していく中で、ふともっと、黒崎と近づきたい。そう思った。

 晃良は快感に耐えてつむっていた目をゆっくりと開けた。両腕を黒崎へと伸ばす。動きを止めずに黒崎が晃良を見た。

「アキちゃん?」
「黒崎……」

 黒崎の名前を呼ぶ。黒崎がふっと笑って晃良の両脚をぐっと曲げると、体を前に倒してきた。唇が重なる。黒崎の首に腕を回した。

 キスを繰り返しながら、つながり続ける。いつまでもこうしていたい。そう願うほど、心地のいい時間だった。もちろん、それがかなうことはないと、わかってはいるけれど。

 晃良の気持ちを読んだように、黒崎がゆっくりと抽送を続けていたが、やがて晃良の耳元でささやいた。

「アキちゃん、限界」
「ん……いいよ」

 黒崎の動きが速く、激しくなっていった。それに合わせて晃良の限界も近づいてくる。

「あっ、あっ、あっ、んっ、あっ、ああっ」

 あ、イく。

 そう思った瞬間に、晃良の自身から欲が飛び出した。一気に快感が押し寄せてくる。

「ん……っ」

 その直後、晃良の中に温かいものが広がる感触がした。初めて、黒崎の欲を受け止めた瞬間だった。

 とても温かい、幸福感みたいなものが晃良の心にじんわりと広がった。
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