変態ストーカーの専属BGにはなりません!

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No matter what ⑱

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 ざわざわとした気配に辺りを見回す。

 あれ? ここ……。

 この風景には見覚えがあった。以前、黒崎とデートした時に寄った公園。あの時と同じように、様々なテキ屋が並んでいる。沢山の人たちが店をのぞいたり、草の上に座って飲食を楽しんだりしていた。どの顔も楽しそうだ。

 なんで、俺、ここにいんの?

 晃良が疑問に思っていると。

「アキちゃん」

 後ろから呼ばれて振り返る。黒崎が笑顔で立っていた。デートした時と同じ格好で。

「黒崎? どうした?」
「アキちゃん、今までありがとう」
「は?」
「俺な、やっと成功した」
「……何に?」
「アキちゃんとアキを引き離すこと」
「……え?」
「ほら」

 そう言われて、黒崎が後ろを振り返った。その視線を追うと。

 俺?

 少年時代の晃良が黒崎の後ろに隠れるようにして立っていた。じっと晃良を伺うように見ている。

「これでアキとずっと一緒にいられる」
「…………」
「だから、ここでアキちゃんとはさよならだね」
「どういうこと?」
「え? だって。俺はアキが欲しかったから。アキちゃんはもう必要ない」
「…………」

 それだけ言うと、黒崎はしゃがみ込んで小さな晃良へと向き合った。

「そしたら、行こう、アキ」
「だけど……あのお兄ちゃんはいいの?」
「もういい。俺は、アキがいたら何も要らないから」

 ほら、と黒崎が手を差し出すと、小さな晃良はおずおずと手を握り返した。

「じゃあね、アキちゃん」

 明るくさよならを言って、黒崎が小さな晃良の手をひいて歩き出す。いつの間にか周りには人がいなくなっていた。テキ屋も消えていた。真っ直ぐな公園の並木道を黒崎と小さな晃良が背を向けて歩いていく。離れていく。

 やっぱり。お前は「アキ」が欲しかったのか。「アキ」だけが。

 黒崎を呼び止めたいのに声が出ない。どんどんと遠ざかっていく2人の影。

 待ってくれ。俺はまだ諦めたくない。まだ勝負はこれからだって。黒崎の過去に勝ってみせるって。

 そう決心したばかりなのに。

「……さき」

 声を絞り出す。黒崎の背中に向かって、力の限り叫ぶ。

「くろさき!!」
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