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No matter what ①

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 簡素なホテルの一室。4月にしては、冷房が効きすぎていて肌寒い。防音対策がされていないのか、隣の部屋の物音がひっきりなしに聞こえる。

 そんな部屋の中央。立ったまま距離を取って向かい合う晃良と黒崎。

 ホテル特有の乾燥した空気が2人の周りを漂う。晃良は、静かに口を開いた。

「お前が本当に必要なのは、俺じゃないだろ」

 黒崎は表情を変えない。沈黙が続く。ふと、黒崎が小さく笑って答えた。

「そうなのかもな」

 覚悟はしていたのに。黒崎が肯定した言葉に深く傷つく自分がいる。

 晃良は、その感情を黒崎に悟られないよう、拳を握り締め、必死で無表情を貫いた。
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