変態ストーカーの専属BGにはなりません!

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Ready to fight ④

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 脳関係の研究をしているとは聞いていたが、記憶障害に関する研究だとは知らなかった。どうして黒埼がこの研究を選んだのか。そんなのは、どう見たって明らかだった。しかし、晃良としてはやはり複雑だった。それは、「アキ」のために頑張っているのであって、自分のためではない。そんな捻くれた考えが浮かんでしまう。

 ああっ!! 暗いっ、俺!!

 晃良はぶんぶんと頭を振って、そんな女々しい自分を振り払う。涼が怪訝な顔をしてこちらを見ている間にもニュースは続く。

『それでは、チーム代表のミスター・マクドナルドにお話を伺いましょう』
『アキちゃーん!! 見てるぅ??』

 画面がスタジオかどこかに切り替わり、キャスターと黒埼が向かい合わせで座っている図になった途端、黒埼がカメラに向かって手を振りながら日本語で叫んだ。

「…………」

 晃良はあまりの驚きに声が出なかった。

『あ、あの、ミスター・マクドナルド? 今回の実験についてですが、この実験で使われている物質が今後実用化されるまでになった場合、記憶障害に関してどのような期待をお持ちですか?』
『えー? そんなの、アキちゃんの記憶が戻ることに決まってんじゃん』

 と、何当たり前のこと言ってんの、という顔をしてキャスターに英語で答える黒埼を、画面越しに唖然あぜっんとして見つめる。

『あの、その「アキちゃん」とは?』

 困惑しながらもキャスターがなんとか黒埼から話を引き出そうと質問した。

『アキちゃん? アキちゃんは俺の大事な人』

 とうれしそうにキャスターに説明する。

『恋人ですか?』
『えー、まあ、そうかなぁ。恋人なんてくくりよりももっと深くて濃い関係かなぁ』
『はあ……』
『ちょっと、聞いてくれる? アキちゃんって本当、可愛くてね。目がクリクリしてて、笑うと気絶しそうになるくらいエロいし、スタイルもいいし、この前もベッドの中で一生懸命……「うわぁあ、何言ってんだっ!! こいつっ」』

 黒埼の発言を遮ろうと必死で声を出したが、止まるわけもない。その後、永遠と「アキちゃんがどれだけ可愛いか(ベッドの中でも)」を力説して、キャスターをあきれさせていた。おそらくインタビューは収録だったのだろう。途中で急にインタビューが途切れたようになり、再び戻ってきた時には注意を受けたらしい(おそらく有栖に)黒埼がむすっとした顔をして、普通にインタビューに答えていた。というか、局もなぜあんな実験と何にも関係のない箇所を中途半端に使ったのだろう(きっと面白半分に違いない)。

これが日本の民間ニュースでなく、アメリカのニュースで本当に良かったと晃良は思った。隣で一部始終を見ていた涼がぼそっとつぶやいた。

「この人……やっぱりバカだな」
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