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Out of control ④
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「ちょっと、アキちゃん、なんなの??」
突き飛ばされて、ベッドへ勢い良く仰向けに転がった黒埼が、そのまま横になりながらこちらを見た。怪訝そうな顔をしている。
晃良はなんとか体勢を立て直すと、黒埼を睨み付けた。
「それはこっちのセリフだろーが!! お前、なんでいんだよ??」
「え? いやぁ、ちょっと、サプライズ的な?」
「いやいや、だって! 今、何時だと思ってんだ! てか、どうやって家に入ってきたわけ?? お前、これ、不法侵入だぞ!!」
「えーと、今は夜中の2時頃で、家には合鍵を使って入ったから、不法侵入ではないかも?」
「合鍵……?」
「うん。あれ? 言ってなかった? 留守中だと困るし、作らせてもらったんだけど」
「そんなの、聞いてねぇ!」
「あれ、そうだった?」
「とにかく! 何の連絡もなしに勝手に家に入って、なんで俺の上にいんだよ!」
「ああ、それは、本当は起こさず帰ろうかと思ってたんだけど、白ブタ抱き締めてふふって笑うアキちゃん見たら誘われてんのかと思って」
「誘ってねぇっ!!」
「そうなの? その割には、いつもより乗り気だったように見えたけど」
そう言って、黒埼がにやりと思い出し笑いをした。
「まさかアキちゃんが奉仕してくれるとは思わなかったなぁ」
「……いや、あれは、夢かと思ったから……」
「なにそれ。そしたら夢の中でいつもアキちゃん、俺にエロいことしてくれてんの?」
「そういうわけじゃねぇけど……」
もごもごと歯切れ悪く答える晃良を、黒埼がじっと見る。その視線の居心地の悪さに、黒埼から目を反らした。黒埼が話を続ける。
「……ちょっと妬けたけどな」
「何が?」
「お口が上手くなったアキちゃん。一体どこでそんなに練習重ねたんだろうなって」
「…………」
それはもちろん、黒埼と再会するまでの間にお世話になった男たちとの情事の中で培ったものだったが。晃良は話題を変えた。
「それより、なんで来たの?」
床に落ちたままだった下着を拾い上げて履きながら尋ねた。
「だって、今日、バレンタインデーじゃん」
「は? バレンタインデー?」
そう言われて日付を思い出してみる。確かに日付が変わった今日は2月14日、バレンタインデーだった。
「だからなんなの?」
「何言ってんの。バレンタインデーは愛を確かめ合う日じゃん」
「……俺、今、初めてお前が外国人に見えたわ」
バレンタインデーというと、日本では「好きな人へチョコレートを渡して愛の告白をする日」というイメージがまだ強い。しかし、外国では「男女問わず、好きな相手へプレゼントをすることで愛を伝える、もしくは確かめ合う日」という認識が多い。晃良も詳しくは知らないが、海外のBG仲間に聞いたことがある。
「大事な日じゃん。それで、とりあえずプレゼント置いて、明日またジュンと来ようかと思ってたんだけど、アキちゃんのエロさに負けた」
「プレゼント?」
「ん。あれ」
黒埼が晃良のデスクを指差した。そこに目を向けると、高級そうな大きな手提げ袋が置いてあった。デスクへと歩み寄って袋を手に取る。
「これ……」
「開けてもいいよ」
そう促されて、袋から大きな箱を取り出した。綺麗なリボンがかけられていた。ブランド名と箱の大きさでまさかと思いながらも開けてみると。
「スーツ……」
予想通り、それは結構な値段がしそうな新調された黒のスーツだった。
「アキちゃん、この前スーツ駄目にしたじゃん? だから、もう1着要るだろうなと思って」
「覚えててくれたのか?」
「うん」
確かに、先月不審者ともみ合いになった際に、ナイフでスーツが破れてしまい、1着駄目にしていた。
「だけど、この前、誕生日プレゼントもらったばかりなのに……」
「いいの。贈りたいんだから、もらっといて」
「……ありがとう」
「うん」
突き飛ばされて、ベッドへ勢い良く仰向けに転がった黒埼が、そのまま横になりながらこちらを見た。怪訝そうな顔をしている。
晃良はなんとか体勢を立て直すと、黒埼を睨み付けた。
「それはこっちのセリフだろーが!! お前、なんでいんだよ??」
「え? いやぁ、ちょっと、サプライズ的な?」
「いやいや、だって! 今、何時だと思ってんだ! てか、どうやって家に入ってきたわけ?? お前、これ、不法侵入だぞ!!」
「えーと、今は夜中の2時頃で、家には合鍵を使って入ったから、不法侵入ではないかも?」
「合鍵……?」
「うん。あれ? 言ってなかった? 留守中だと困るし、作らせてもらったんだけど」
「そんなの、聞いてねぇ!」
「あれ、そうだった?」
「とにかく! 何の連絡もなしに勝手に家に入って、なんで俺の上にいんだよ!」
「ああ、それは、本当は起こさず帰ろうかと思ってたんだけど、白ブタ抱き締めてふふって笑うアキちゃん見たら誘われてんのかと思って」
「誘ってねぇっ!!」
「そうなの? その割には、いつもより乗り気だったように見えたけど」
そう言って、黒埼がにやりと思い出し笑いをした。
「まさかアキちゃんが奉仕してくれるとは思わなかったなぁ」
「……いや、あれは、夢かと思ったから……」
「なにそれ。そしたら夢の中でいつもアキちゃん、俺にエロいことしてくれてんの?」
「そういうわけじゃねぇけど……」
もごもごと歯切れ悪く答える晃良を、黒埼がじっと見る。その視線の居心地の悪さに、黒埼から目を反らした。黒埼が話を続ける。
「……ちょっと妬けたけどな」
「何が?」
「お口が上手くなったアキちゃん。一体どこでそんなに練習重ねたんだろうなって」
「…………」
それはもちろん、黒埼と再会するまでの間にお世話になった男たちとの情事の中で培ったものだったが。晃良は話題を変えた。
「それより、なんで来たの?」
床に落ちたままだった下着を拾い上げて履きながら尋ねた。
「だって、今日、バレンタインデーじゃん」
「は? バレンタインデー?」
そう言われて日付を思い出してみる。確かに日付が変わった今日は2月14日、バレンタインデーだった。
「だからなんなの?」
「何言ってんの。バレンタインデーは愛を確かめ合う日じゃん」
「……俺、今、初めてお前が外国人に見えたわ」
バレンタインデーというと、日本では「好きな人へチョコレートを渡して愛の告白をする日」というイメージがまだ強い。しかし、外国では「男女問わず、好きな相手へプレゼントをすることで愛を伝える、もしくは確かめ合う日」という認識が多い。晃良も詳しくは知らないが、海外のBG仲間に聞いたことがある。
「大事な日じゃん。それで、とりあえずプレゼント置いて、明日またジュンと来ようかと思ってたんだけど、アキちゃんのエロさに負けた」
「プレゼント?」
「ん。あれ」
黒埼が晃良のデスクを指差した。そこに目を向けると、高級そうな大きな手提げ袋が置いてあった。デスクへと歩み寄って袋を手に取る。
「これ……」
「開けてもいいよ」
そう促されて、袋から大きな箱を取り出した。綺麗なリボンがかけられていた。ブランド名と箱の大きさでまさかと思いながらも開けてみると。
「スーツ……」
予想通り、それは結構な値段がしそうな新調された黒のスーツだった。
「アキちゃん、この前スーツ駄目にしたじゃん? だから、もう1着要るだろうなと思って」
「覚えててくれたのか?」
「うん」
確かに、先月不審者ともみ合いになった際に、ナイフでスーツが破れてしまい、1着駄目にしていた。
「だけど、この前、誕生日プレゼントもらったばかりなのに……」
「いいの。贈りたいんだから、もらっといて」
「……ありがとう」
「うん」
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