111 / 239
Just the way it is ⑮
しおりを挟む
施設の部屋は2人一部屋で共用していたが、自分の部屋はここ1年ぐらい誰も入ってこなかった。1人で寝るのが心細くて。いつの間にかヒョウちゃんが時々忍び込んで、一緒に寝てくれるようになった。
そうしている内に、自然とこんな夜が度々訪れるようになったのだ。
衣服を整えて、再び2人でベッドに潜り込む。ヒョウちゃんがいつもするように、後ろからぎゅっと抱き締めてくれた。その温もりと匂いに、自然と笑顔になった。ヒョウちゃんは自分に沢山のものをくれる。温かさ。優しさ。嬉しさ。切なさ。安心感。そして、ヒョウちゃんを大事に思う気持ち。
『ヒョウちゃん』
『何?』
『好き』
『…………』
ヒョウちゃんは返事の代わりに抱き締める腕に力を込めて、首筋に顔を埋めてきた。
『俺、早く大人になりたい。それでいつかヒョウちゃんと、ちゃんとヤりたい』
『……そんな焦らんでも、俺は今のままでもいいよ』
『俺も今、凄く嬉しいし、楽しいよ。だけど、ヒョウちゃんともっともっと近づきたい。1つになりたい』
くるりと腕の中で体を方向転換して、ヒョウちゃんと正面から向き合った。大人びたヒョウちゃんの瞳と真正面からぶつかる。
『だから。待ってて。俺、早く大人になるから』
『……うん』
『ヒョウちゃん以外の人は要らない。ずっとヒョウちゃんが1番で、ずっとヒョウちゃんと一緒だから』
『……ずっと?』
『うん』
『……そしたら、アキの最初は俺にくれる?』
『当たり前じゃん。俺、ヒョウちゃんとしかしないもん』
『ほんとに?』
『ほんとに。約束する』
『約束?』
『うん、約束』
2人でふふっと笑い合う。誓いの意味も込めて、自分からヒョウちゃんにキスをした。
『アキ。そろそろ寝よう。もう遅いし。先生に見つかったら殺される』
『うん。そうだね』
2人でベッドへと仰向けに寝る。
『ヒョウちゃん。手』
そう言うと、ヒョウちゃんの右手が僕の左手に絡まってきた。ぎゅっと握るとヒョウちゃんも握り返してきた。
『おやすみ、アキ』
『おやすみ、ヒョウちゃん』
ヒョウちゃんの温かい体温を体全体に感じながら、安心して目を閉じた。
そうしている内に、自然とこんな夜が度々訪れるようになったのだ。
衣服を整えて、再び2人でベッドに潜り込む。ヒョウちゃんがいつもするように、後ろからぎゅっと抱き締めてくれた。その温もりと匂いに、自然と笑顔になった。ヒョウちゃんは自分に沢山のものをくれる。温かさ。優しさ。嬉しさ。切なさ。安心感。そして、ヒョウちゃんを大事に思う気持ち。
『ヒョウちゃん』
『何?』
『好き』
『…………』
ヒョウちゃんは返事の代わりに抱き締める腕に力を込めて、首筋に顔を埋めてきた。
『俺、早く大人になりたい。それでいつかヒョウちゃんと、ちゃんとヤりたい』
『……そんな焦らんでも、俺は今のままでもいいよ』
『俺も今、凄く嬉しいし、楽しいよ。だけど、ヒョウちゃんともっともっと近づきたい。1つになりたい』
くるりと腕の中で体を方向転換して、ヒョウちゃんと正面から向き合った。大人びたヒョウちゃんの瞳と真正面からぶつかる。
『だから。待ってて。俺、早く大人になるから』
『……うん』
『ヒョウちゃん以外の人は要らない。ずっとヒョウちゃんが1番で、ずっとヒョウちゃんと一緒だから』
『……ずっと?』
『うん』
『……そしたら、アキの最初は俺にくれる?』
『当たり前じゃん。俺、ヒョウちゃんとしかしないもん』
『ほんとに?』
『ほんとに。約束する』
『約束?』
『うん、約束』
2人でふふっと笑い合う。誓いの意味も込めて、自分からヒョウちゃんにキスをした。
『アキ。そろそろ寝よう。もう遅いし。先生に見つかったら殺される』
『うん。そうだね』
2人でベッドへと仰向けに寝る。
『ヒョウちゃん。手』
そう言うと、ヒョウちゃんの右手が僕の左手に絡まってきた。ぎゅっと握るとヒョウちゃんも握り返してきた。
『おやすみ、アキ』
『おやすみ、ヒョウちゃん』
ヒョウちゃんの温かい体温を体全体に感じながら、安心して目を閉じた。
5
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
隊長さんとボク
ばたかっぷ
BL
ボクの名前はエナ。
エドリアーリアナ国の守護神獣だけど、斑色の毛並みのボクはいつもひとりぼっち。
そんなボクの前に現れたのは優しい隊長さんだった――。
王候騎士団隊長さんが大好きな小動物が頑張る、なんちゃってファンタジーです。
きゅ~きゅ~鳴くもふもふな小動物とそのもふもふを愛でる隊長さんで構成されています。
えろ皆無らぶ成分も極小ですσ(^◇^;)本格ファンタジーをお求めの方は回れ右でお願いします~m(_ _)m

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる