変態ストーカーの専属BGにはなりません!

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Just the way it is ①

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 かじかむような寒さに身を震わせる。口から漏れる白い息が、頼りなさげに上に向かい、消えていくのを目で追った。

「晃良くん、来た」

 尚人のその声で、はっと駐車場の入り口へと視線を戻す。ちょうど、要人を乗せた黒塗りの車が駐車場へと搬入してくるところだった。晃良は素早く周りに目を配らせて、異常がないか確認する。

「前方異常なし」

 無線で他のBGたちへと報告する。

「後方異常なし」

 尚人の声も無線から入ってきた。

 ゆっくりと建物の出入り口に車が横付けされる。要人にエスコートしていたBGたちが降りてきて、周囲を確認後、内の1人が迅速に後部座席のドアを開けた。要人が降りてきたところで、晃良たちも要人を取り囲むようなフォーメーションを取って、中へと誘導する。

 そのまま安全な控え室へと要人を案内し、晃良と尚人は控え室を出て先ほどの持ち場へと戻った。

 今回の警護は尚人とペアを組んでの仕事だった。ある企業の重役が脅迫まがいの嫌がらせを受けているらしく、その身辺警護を依頼された。この重役はテレビ出演などしている広く顔の知れた人物でもあるのだが、金に物を言わせて必要以上のものものしい警護を付けていた。

 ここ最近、その脅迫の頻度が多くなってきたという理由もあり、脅迫者が逮捕されるまでは厳重な警護をしたい、ということではあったが。この件に関して晃良と尚人は補助的な位置におり、警護チームの一員には変わりないが、より責任あるポジションには別の担当が付いていた。だから、この仰仰しい警備に疑問があったとしても、意見の言える立場ではなかった。

 晃良たちはいつも要人を選べるわけではない。協会から指示されれば、生活のためにも渋々依頼を受けることの方が多い。要人がいつも仏のようにできた人物ならいいが、大抵はクセがあったり、仕事じゃなかったら正座させて説教してやりたかったりするような(黒埼含め)人間ばかりだった。それでも、警察時代の本当に警護を必要としている人を警護できないもどかしさに比べればマシだった。

 今回の要人も仏とはほど遠いタイプの人間だった。企業の重役にしては40代と若く、見栄えも良かったためカリスマ性のようなものがあったが、それにかこつけてプライベートは好き放題やっているとうわさのある男だった。晃良の好きではないタイプだが、仕事は仕事だし、幸いなことに要人とあまり絡むポジションではなかったので、それほどストレスもなかった。尚人もいたので、信頼できる仕事仲間が一緒という安心感もあった。

けれど。
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