48 / 239
クッキー・センセーション ②
しおりを挟む
10分ほど1人で悩んでいたが、とりあえずは一般常識を信じようと、晃良は思いきって「Treat」をクリックした。
「……なんだ、これ」
それはただの写真だった。黒埼の。カメラに向かって、どっかのスーパーモデルみたいにすました顔をした、カメラ目線の写真だった。切れ長の瞳でこちらを見つめ、斜めに構えて僅かに口角を上げて微笑んでいる。
もしかして……。自分自身が甘い「Treat」とかなんとか言いたいんじゃないだろうな……。
もしそうなら、さむ過ぎる。でも、黒埼だったらやりかねない。ならば「Trick」は何だろう? 不細工な黒埼の顔とか?
見ようかどうか迷う。やっぱり止めておいた方がいいか。いや、しかし。
散々迷った挙げ句に。
ええいっ。
晃良は誘惑に負けた。いや、不細工な黒埼が見たかったわけではなくて。このメールのオチは一体なんなのか、どうしても知りたかったのだ。晃良は「Trick」ファイルをクリックした。
……なんだ、そういうことか。
そこには、黒埼は写っていなかった。写っていたのは有栖だった。舌を思いっきり突き出して、ヘビメタのポーズでカメラに向かって睨みをきかせている写真だった。普段、可愛らしさで売っている有栖が精一杯「怖さ」を演出しているらしかった。つまりは、「Trick」を選んだら怖いですよ、と言いたかったのだろう。
このなんの捻りもオチもないメールに、晃良は心底がっかりした。前のやすきよの件から薄々感じていたが。この2人の笑いの感覚はどうもずれていて、晃良には何が面白いのかどうしても理解ができなかった。メールを送ってくるのなら、せめて晃良が感心するような笑いのレベルだったらまだ我慢ができたのに。
時間の無駄だったと思いっきり溜息を吐いて、さっさとそのメールをゴミ箱へと移動させた。
しかし。これはほんの序幕にすぎなかったのだ。
「……なんだ、これ」
それはただの写真だった。黒埼の。カメラに向かって、どっかのスーパーモデルみたいにすました顔をした、カメラ目線の写真だった。切れ長の瞳でこちらを見つめ、斜めに構えて僅かに口角を上げて微笑んでいる。
もしかして……。自分自身が甘い「Treat」とかなんとか言いたいんじゃないだろうな……。
もしそうなら、さむ過ぎる。でも、黒埼だったらやりかねない。ならば「Trick」は何だろう? 不細工な黒埼の顔とか?
見ようかどうか迷う。やっぱり止めておいた方がいいか。いや、しかし。
散々迷った挙げ句に。
ええいっ。
晃良は誘惑に負けた。いや、不細工な黒埼が見たかったわけではなくて。このメールのオチは一体なんなのか、どうしても知りたかったのだ。晃良は「Trick」ファイルをクリックした。
……なんだ、そういうことか。
そこには、黒埼は写っていなかった。写っていたのは有栖だった。舌を思いっきり突き出して、ヘビメタのポーズでカメラに向かって睨みをきかせている写真だった。普段、可愛らしさで売っている有栖が精一杯「怖さ」を演出しているらしかった。つまりは、「Trick」を選んだら怖いですよ、と言いたかったのだろう。
このなんの捻りもオチもないメールに、晃良は心底がっかりした。前のやすきよの件から薄々感じていたが。この2人の笑いの感覚はどうもずれていて、晃良には何が面白いのかどうしても理解ができなかった。メールを送ってくるのなら、せめて晃良が感心するような笑いのレベルだったらまだ我慢ができたのに。
時間の無駄だったと思いっきり溜息を吐いて、さっさとそのメールをゴミ箱へと移動させた。
しかし。これはほんの序幕にすぎなかったのだ。
5
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる