39 / 239
Don't believe in never ⑦
しおりを挟む
「お前……なんで……」
「それはこっちのセリフなんだけど」
黒埼は黒のジーンズと体のラインに程よく沿った白の無地のTシャツを身に着け、その上からライトグレーの半袖のシャツを羽織っていた。以前会ったときのよれよれのスウェット上下ではなく、ちゃんとした服を身に纏っていた。今日は眼鏡も外している。こうしてそれなりの格好をしていると、黒埼はかなりの男前だった。モデルのようなスタイルの良さ。アイドルのような色白の顔。
「……あいつは?」
「丁重にお帰りいただいた」
丁重に、に語気を強めて黒埼が答えた。そこでようやく晃良に闘志が戻ってきた。黒埼をぐっと睨んで抗議する。
「どういうつもりだ」
「だって、アキちゃんが浮気しようとするから」
「浮気じゃねーだろ!! お前と俺はそもそも付き合ってないし、なんの関係もないだろーが!!」
「そう思ってんのはアキちゃんだけだって。俺とアキちゃんは運命の糸で結ばれてんの」
「バカ言うなっ! そんな勝手な言い草あるかっ。俺の恋路を邪魔すんな!!」
「邪魔するに決まってんじゃん!! アキちゃんと俺の間に入って来る奴は許さないし、どんな手使ってでも邪魔するからなっ!! アキちゃんは俺のもんだしっ」
「俺はお前のもんじゃねぇ!!」
睨み合いながらもそこで一旦、沈黙が生まれた。すると、黒埼が出し抜けに立ち上がって、ずんずんと晃良の方へ向かってきた。晃良が一瞬怯んだ隙に、腕を掴まれて引っ張られる。とっさにその反動を利用して黒埼を逆に投げ落とそうとしたが、その動きは読まれており簡単にかわされた。晃良の心に火が点いた。
ラブホテルの一室に、格闘技大会でも行われているかのような緊張した空気が漂う。その中で相手を組み伏せようともみ合いが暫く続いた。しかし、バスローブ姿だった晃良は、いつものように機敏に体が動かせず不利だった。一瞬の隙をつかれて、足をすくわれた。あっ、と思ったときには、うつ伏せにベッドの上に抑え付けられていた。
「何すんだよっ!!」
抗議する晃良の声を無視して、黒埼は晃良のバスローブを足元から捲り上げた。晃良の下着だけを付けた下半身が露わになる。黒埼の右手が乱暴に晃良の下着を掴むと、一気に下までずり下げた。
抵抗しようとジタバタ足を動かそうとするが、黒埼に体重をかけられてがっちりと押さえられおり、どうしようもなかった。黒埼がポツリと呟いた。
「……なんで」
「…………」
「なんで……他の奴なわけ」
その言葉の意味を晃良が考えるより前に、黒埼の指が、晃良の後ろを這った。思わず晃良の体がビクリと反応する。孔の周りをただ、ゆっくりとなぞり続ける。
「それはこっちのセリフなんだけど」
黒埼は黒のジーンズと体のラインに程よく沿った白の無地のTシャツを身に着け、その上からライトグレーの半袖のシャツを羽織っていた。以前会ったときのよれよれのスウェット上下ではなく、ちゃんとした服を身に纏っていた。今日は眼鏡も外している。こうしてそれなりの格好をしていると、黒埼はかなりの男前だった。モデルのようなスタイルの良さ。アイドルのような色白の顔。
「……あいつは?」
「丁重にお帰りいただいた」
丁重に、に語気を強めて黒埼が答えた。そこでようやく晃良に闘志が戻ってきた。黒埼をぐっと睨んで抗議する。
「どういうつもりだ」
「だって、アキちゃんが浮気しようとするから」
「浮気じゃねーだろ!! お前と俺はそもそも付き合ってないし、なんの関係もないだろーが!!」
「そう思ってんのはアキちゃんだけだって。俺とアキちゃんは運命の糸で結ばれてんの」
「バカ言うなっ! そんな勝手な言い草あるかっ。俺の恋路を邪魔すんな!!」
「邪魔するに決まってんじゃん!! アキちゃんと俺の間に入って来る奴は許さないし、どんな手使ってでも邪魔するからなっ!! アキちゃんは俺のもんだしっ」
「俺はお前のもんじゃねぇ!!」
睨み合いながらもそこで一旦、沈黙が生まれた。すると、黒埼が出し抜けに立ち上がって、ずんずんと晃良の方へ向かってきた。晃良が一瞬怯んだ隙に、腕を掴まれて引っ張られる。とっさにその反動を利用して黒埼を逆に投げ落とそうとしたが、その動きは読まれており簡単にかわされた。晃良の心に火が点いた。
ラブホテルの一室に、格闘技大会でも行われているかのような緊張した空気が漂う。その中で相手を組み伏せようともみ合いが暫く続いた。しかし、バスローブ姿だった晃良は、いつものように機敏に体が動かせず不利だった。一瞬の隙をつかれて、足をすくわれた。あっ、と思ったときには、うつ伏せにベッドの上に抑え付けられていた。
「何すんだよっ!!」
抗議する晃良の声を無視して、黒埼は晃良のバスローブを足元から捲り上げた。晃良の下着だけを付けた下半身が露わになる。黒埼の右手が乱暴に晃良の下着を掴むと、一気に下までずり下げた。
抵抗しようとジタバタ足を動かそうとするが、黒埼に体重をかけられてがっちりと押さえられおり、どうしようもなかった。黒埼がポツリと呟いた。
「……なんで」
「…………」
「なんで……他の奴なわけ」
その言葉の意味を晃良が考えるより前に、黒埼の指が、晃良の後ろを這った。思わず晃良の体がビクリと反応する。孔の周りをただ、ゆっくりとなぞり続ける。
5
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
sugar sugar honey! 甘くとろける恋をしよう
乃木のき
BL
母親の再婚によってあまーい名前になってしまった「佐藤蜜」は入学式の日、担任に「おいしそうだね」と言われてしまった。
周防獅子という負けず劣らずの名前を持つ担任は、ガタイに似合わず甘党でおっとりしていて、そばにいると心地がいい。
初恋もまだな蜜だけど周防と初めての経験を通して恋を知っていく。
(これが恋っていうものなのか?)
人を好きになる苦しさを知った時、蜜は大人の階段を上り始める。
ピュアな男子高生と先生の甘々ラブストーリー。
※エブリスタにて『sugar sugar honey』のタイトルで掲載されていた作品です。
小児科医の恋は不器用と依存でできてます
神雛ジュン@元かびなん
BL
小児科医:東宮和臣(先輩)
小児科医:西条頼人(後輩)
患者にも同僚にも厳しい小児科医の東宮和臣と、優しく朗らかで患者や同僚から好かれている西条頼人は指導医と後輩医師という関係だが、その裏で身体を繋げる関係を結んでいた。
二人が関係を持ったきっかけは、頼人のとある「弱点」が原因で、頼人は自分の弱点を一刻も早く克服したいと思っているが、和臣の願いは少し違って……?
【完結】スーツ男子の歩き方
SAI
BL
イベント会社勤務の羽山は接待が続いて胃を壊しながらも働いていた。そんな中、4年付き合っていた彼女にも振られてしまう。
胃は痛い、彼女にも振られた。そんな羽山の家に通って会社の後輩である高見がご飯を作ってくれるようになり……。
ノンケ社会人羽山が恋愛と性欲の迷路に迷い込みます。そして辿り着いた答えは。
後半から性描写が増えます。
本編 スーツ男子の歩き方 30話
サイドストーリー 7話
順次投稿していきます。
※サイドストーリーはリバカップルの話になります。
※性描写が入る部分には☆をつけてあります。
10/18 サイドストーリー2 亨の場合の投稿を開始しました。全5話の予定です。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
溺愛執事と誓いのキスを
水無瀬雨音
BL
日本有数の大企業の社長の息子である周防。大学進学を機に、一般人の生活を勉強するため一人暮らしを始めるがそれは建前で、実際は惹かれていることに気づいた世話係の流伽から距離をおくためだった。それなのに一人暮らしのアパートに流伽が押し掛けてきたことで二人での生活が始まり……。
ふじょっしーのコンテストに参加しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる