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Just the beginning ㉗
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「はい」
『あ、こんばんは。夜分に失礼致します。あの、先日、警護の依頼をした黒崎の助手の有栖と申します』
「あ。あのときの。こんばんは。久間です」
『ああ、久間さん。お久しぶりです。あの、アッキーはいますか?』
「え? アッキー?」
尚人がなんで「アッキー」?という顔をしてこちらを振り返った。章良はただ苦笑いをして尚人を見返した。
「いますけど……」
『あの、大変失礼だとは思いましたが、どうしてもアッキーともう一度話がしたくて、勝手に住所を調べて来てしまいました』
「はあ……」
『失礼なのは承知の上なのですが、アッキーに会わせていただけないでしょうか?』
「あの……」
『宜しくお願いします!!』
章良はソファから立ち上がると、モニターに近づいて画面を確認した。有栖が1人で深々と頭を下げている様子が映っていた。
「あり……ジュン」
ぎごちない感じで有栖の愛称を呼ぶ。呼んでくれと言われると拒否するのが申し訳なくて、結局受け入れてしまう自分の性格が出ているなと思う。有栖は、章良の声を聞くとぱっと顔を上げて嬉しそうに画面に向かって微笑んだ。
『アッキー』
「今、開けるから」
『ありがとう』
オートロックを解除した。
「いいの?」
尚人が意外だというような顔で章良を見た。
「あいつはちょっと変わってるけど、悪い奴じゃないみたいだし。話聞くぐらいいいよ、別に」
少し経って、再びチャイムが鳴った。玄関へと向かい解錠して扉を開ける。有栖がスーツ姿ではなく、普段着で立っていた。モニターでは良く見えなかったが、有栖が着ている普段着は、ピンクタイなど印象が薄れてしまうほど奇抜な格好だった。女物?の白いシンプルなチュニックドレスみたいな服を着て、その下に横縞のスパッツを履き、カラフルなパーカーを羽織って、足元はごついスニーカーだった。しかし、不思議なことに、有栖にはとても似合っていた。
「どうぞ」
「お邪魔します」
急でごめんね、と言いながら有栖が家に上がった。リビングへと案内すると、同じタイミングで尚人がもう1つコーヒーカップを運んできた。有栖の服装を見て一瞬ひるんだような表情を見せたが、持ち前の冷静さですぐに素顔に戻って、笑顔で有栖を迎えた。
「良かったら、コーヒーどうぞ」
「あ、すみません。ありがとう」
有栖が嬉しそうにコーヒーカップを手にしてコーヒーを一口飲んだ。章良もコーヒーを飲みながら、有栖が口を開くのを待った。有栖がそっとカップをテーブルに置いた。体ごと章良のほうへと向き、じっと章良の顔を見る。
「アッキー」
「……何?」
「お願いがあるんだけど」
「無理」
「いや、まだ言ってないし」
「なんか、嫌な予感がする。ろくなことじゃねぇだろ」
「そんなことないよ。ほんとに、どうしてものお願いだし」
「……聞くだけ聞くわ」
「あのね。ガッちゃんに、もう一度だけ会ってほしくて」
「無理」
「だから、早いって、結論出すの。もうちょっと聞いてよぉ」
困った顔でこちらに訴える有栖が少しだけ可哀想に思えたので、章良はそのまま有栖に話しの続きを促した。
『あ、こんばんは。夜分に失礼致します。あの、先日、警護の依頼をした黒崎の助手の有栖と申します』
「あ。あのときの。こんばんは。久間です」
『ああ、久間さん。お久しぶりです。あの、アッキーはいますか?』
「え? アッキー?」
尚人がなんで「アッキー」?という顔をしてこちらを振り返った。章良はただ苦笑いをして尚人を見返した。
「いますけど……」
『あの、大変失礼だとは思いましたが、どうしてもアッキーともう一度話がしたくて、勝手に住所を調べて来てしまいました』
「はあ……」
『失礼なのは承知の上なのですが、アッキーに会わせていただけないでしょうか?』
「あの……」
『宜しくお願いします!!』
章良はソファから立ち上がると、モニターに近づいて画面を確認した。有栖が1人で深々と頭を下げている様子が映っていた。
「あり……ジュン」
ぎごちない感じで有栖の愛称を呼ぶ。呼んでくれと言われると拒否するのが申し訳なくて、結局受け入れてしまう自分の性格が出ているなと思う。有栖は、章良の声を聞くとぱっと顔を上げて嬉しそうに画面に向かって微笑んだ。
『アッキー』
「今、開けるから」
『ありがとう』
オートロックを解除した。
「いいの?」
尚人が意外だというような顔で章良を見た。
「あいつはちょっと変わってるけど、悪い奴じゃないみたいだし。話聞くぐらいいいよ、別に」
少し経って、再びチャイムが鳴った。玄関へと向かい解錠して扉を開ける。有栖がスーツ姿ではなく、普段着で立っていた。モニターでは良く見えなかったが、有栖が着ている普段着は、ピンクタイなど印象が薄れてしまうほど奇抜な格好だった。女物?の白いシンプルなチュニックドレスみたいな服を着て、その下に横縞のスパッツを履き、カラフルなパーカーを羽織って、足元はごついスニーカーだった。しかし、不思議なことに、有栖にはとても似合っていた。
「どうぞ」
「お邪魔します」
急でごめんね、と言いながら有栖が家に上がった。リビングへと案内すると、同じタイミングで尚人がもう1つコーヒーカップを運んできた。有栖の服装を見て一瞬ひるんだような表情を見せたが、持ち前の冷静さですぐに素顔に戻って、笑顔で有栖を迎えた。
「良かったら、コーヒーどうぞ」
「あ、すみません。ありがとう」
有栖が嬉しそうにコーヒーカップを手にしてコーヒーを一口飲んだ。章良もコーヒーを飲みながら、有栖が口を開くのを待った。有栖がそっとカップをテーブルに置いた。体ごと章良のほうへと向き、じっと章良の顔を見る。
「アッキー」
「……何?」
「お願いがあるんだけど」
「無理」
「いや、まだ言ってないし」
「なんか、嫌な予感がする。ろくなことじゃねぇだろ」
「そんなことないよ。ほんとに、どうしてものお願いだし」
「……聞くだけ聞くわ」
「あのね。ガッちゃんに、もう一度だけ会ってほしくて」
「無理」
「だから、早いって、結論出すの。もうちょっと聞いてよぉ」
困った顔でこちらに訴える有栖が少しだけ可哀想に思えたので、章良はそのまま有栖に話しの続きを促した。
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