11 / 58
クローバー
DVD ①
しおりを挟む
由美の家で4時間ほど過ごしてから帰宅した。由美が手料理を振る舞ってくれると言ったので、その言葉に甘えて夕飯もご馳走になりのんびりと過ごした。結局家に着いたのは10時過ぎぐらいだった。
「あれ」
真っ直ぐに自分の部屋へ向かってドアを開けると。亜貴が俺のベッドの上に寝転がって俺の漫画を読んでいた。
「何してんの?」
そう尋ねるが、亜貴は俺の問いには答えずに、持っていた漫画本の影から若干膨れた顔を見せた。軽くこちらを睨んで口を開く。
「遅い」
「……そうか?」
「おん。ずーっと待ってたんやで」
「やけど、俺、言うたやろ? 今日、由美と帰るって」
「……一緒に帰るんは知っとったけど、こんな遅なるって知らへんかった」
「遅い言うてもまだ10時やん」
「やけど、もうゆっくり映画観れへんやん」
「映画?」
「おん。今日帰りにレンタル屋行ったら、洋介の好きそうなんがあったから借りてきてんけど」
亜貴が、視線をベッドの上に放りっぱなしになっていたレンタル屋の袋に移した。
「どんなやつ?」
「ホラー。めっちゃ怖そうなやつ」
「俺は好きやけど、お前ダメやんか」
「やけど、面白そうやったし、洋介と一緒やったら楽しく観れるんちゃうかと思うてん」
お菓子も用意しとったのに。と子供みたいに相変わらず頬を膨らませて拗ねている亜貴を見て、なんだか待たせたのが申し訳なくなってきた。いや、俺、全然悪くないんやけど。なんやかんやで俺は亜貴には甘い。
「そしたら観ようや、今から」
「……やけど、遅なるやろ? 明日学校あるし」
「今からやったら全然いけるやろ」
ほら、見よ。そう言って俺はベッドの上の袋からDVDを取り出すと、自室に設置されているプレーヤーへとセットした。
「あれ」
真っ直ぐに自分の部屋へ向かってドアを開けると。亜貴が俺のベッドの上に寝転がって俺の漫画を読んでいた。
「何してんの?」
そう尋ねるが、亜貴は俺の問いには答えずに、持っていた漫画本の影から若干膨れた顔を見せた。軽くこちらを睨んで口を開く。
「遅い」
「……そうか?」
「おん。ずーっと待ってたんやで」
「やけど、俺、言うたやろ? 今日、由美と帰るって」
「……一緒に帰るんは知っとったけど、こんな遅なるって知らへんかった」
「遅い言うてもまだ10時やん」
「やけど、もうゆっくり映画観れへんやん」
「映画?」
「おん。今日帰りにレンタル屋行ったら、洋介の好きそうなんがあったから借りてきてんけど」
亜貴が、視線をベッドの上に放りっぱなしになっていたレンタル屋の袋に移した。
「どんなやつ?」
「ホラー。めっちゃ怖そうなやつ」
「俺は好きやけど、お前ダメやんか」
「やけど、面白そうやったし、洋介と一緒やったら楽しく観れるんちゃうかと思うてん」
お菓子も用意しとったのに。と子供みたいに相変わらず頬を膨らませて拗ねている亜貴を見て、なんだか待たせたのが申し訳なくなってきた。いや、俺、全然悪くないんやけど。なんやかんやで俺は亜貴には甘い。
「そしたら観ようや、今から」
「……やけど、遅なるやろ? 明日学校あるし」
「今からやったら全然いけるやろ」
ほら、見よ。そう言って俺はベッドの上の袋からDVDを取り出すと、自室に設置されているプレーヤーへとセットした。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
平凡腐男子なのに美形幼馴染に告白された
うた
BL
平凡受けが地雷な平凡腐男子が美形幼馴染に告白され、地雷と解釈違いに苦悩する話。
※作中で平凡受けが地雷だと散々書いていますが、作者本人は美形×平凡をこよなく愛しています。ご安心ください。
※pixivにも投稿しています
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
どうも俺の新生活が始まるらしい
氷魚彰人
BL
恋人と別れ、酔い潰れた俺。
翌朝目を覚ますと知らない部屋に居て……。
え? 誰この美中年!?
金持ち美中年×社会人青年
某サイトのコンテスト用に書いた話です
文字数縛りがあったので、エロはないです
ごめんなさい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる