妹が聖女に選ばれたが、私は巻き込まれただけ

世渡 世緒

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7,兄弟

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「私の弟たちもみな私に対して生意気だよ」
 クロッセスは苦笑いを見せる。
「弟さんはいくつなの」
「下から15のトアセス、19のペネセス、22のアルーセスだ。トアセスはちょうど成人したばかりで騎士団を目指していて剣術の学校から滅多に帰ってこない。けど、剣の才は兄弟一さ。ペネセスは本が好きでな、国立図書館に立てこもって本を読み続けているよ。あいつは魔法が得意なんだ。すごい魔道士になるよ。アルーセスは誰よりも聞き分けが良くて私の言うことも二つ返事で聞きいれてくれる。が、反抗期らしいものがなくて、少し心配なんだ。」
 私の質問に対し100倍ほどの文量と熱量で語るクロッセスは、先程の気品はどこへやら緩んだ表情を見せている。
「トアは今ちょうど反抗期で私のことを嫌っているようだ。滅多に会えないのも私を避けているのかもしれない。アルはそんなことないと言うが。ペネは無口で何を考えているか分からないことがあるが、笑顔が可愛い。新しい魔導書を買ってやると嬉しそうに笑うんだ。」
 そんなクロッセスに私も思わず頬が緩む。
「そんな素敵な兄弟なら、私も会ってみたい」
「屋敷に行けばアルには会えるさ、ちょうど仕事をしている頃だ。さっき言ったがトアは剣術学校に行っていて今日帰ってくるかは定かじゃない。ペネはさっきの神殿の後片付けを頼んだから、もうじき帰ってくるはずだ。」
 思わぬ兄弟の話題で多少はクロッセスと打ち解けられたため、馬車内の空気が和んだ。それでも私の胸は落ち着かない。彼の話を聞けば聞くほど妹のことが気がかりになる。それもそのはず、異世界に来て2時間程しか経っていないうえ、聖女の件は何ひとつとして片付いていない。不安感が胸に込上げる。
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