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第一章 おれとアイツの出逢い
連れてこられたのは……
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それがあまりにも自然な動作だったので思わず車に乗ってしまった。
慌てて降りようとするもドアを閉められてしまう。
次いで龍ケ崎はおれの右隣に日下部さんは運転席に乗り込んだ。
「では行きましょうか」
日下部さんはそう言いながら車を発進させた。
おれどこ連れていかれるんだ?
ってか!
「なんでおれの居場所分かったんだよ?二日間顔を合わせただけだろ?」
おれがそう問いかけると龍ケ崎はこちらを振り返って不敵に笑った。
「俺の情報網を甘く見るなよ」
そんなん知るかって思ったけどさっきの名刺と二人の関係から察するにコイツ偉い人なんだよな、多分。
社長かはたまたその息子辺りが妥当か。
社長にしては若い気もするが。
けど偉い人だからってそんな簡単に顔合わせただけのおれの居場所を突き止められるわけがない。
不良に怯えられるくらいだ。危ないヤツとのつてがあってもおかしくはない。
深く突っ込まないでおこう。
「それでわざわざおれの居場所調べてまでして何の用なんだよ?てかどこ連れてくつもりだ!」
「着いたら教えてやる」
龍ケ崎はそれ以上何も答えてくれなかった。
いざとなったら能力使って逃げるしかないか。
二日も追いかけてきたコイツから逃げられるかは別として。
あんまり立て続けに力使いたくないんだけどなぁ。
おれは静かなった車内で流れる景色をただぼんやりと眺めていた。
おれ、これからどうなるんだ?
――――――――――――
「おい、そろそろ着くぞ」
龍ケ崎の声にハッとして気が付くと目の前には大きなビルが見えた。
おれ達を乗せた車はそのビルの駐車場で停まった。
おれは車を降りると二人の後ろを着いていく。
廃ビルとか倉庫とかいかにもヤバそうなとこ連れてかれたらどうしようかと思ったけど全然そんなことなかったな。
どうやらここは普通の会社のビルらしい。
すれ違う人達が龍ケ崎に挨拶しているのを見ると龍ケ崎はまともな人で偉い人なんだとわかる。
痴漢男だけど。
二人がエレベーターに乗り込んだところで、今逃げるチャンスなんじゃ?とふと思い立ちおれは立ち止まった。
が、龍ケ崎に腕を引っ張られエレベーターに乗せられてしまった。
「油断も隙もあったもんじゃないな」
龍ケ崎はおれの腕を掴んだまま楽しそうに笑った。
なんでコイツはそんなに楽しそうなんだ。
エレベーターを降りて半ば引きずられるようにして入った部屋には二人の男がソファに座っていた。
一人は優しげな顔でにこやかな表情をしている。
もう一人は鋭い目つきに釣り上がった眉で怖い雰囲気を醸し出していた。
「遅かったね」
「呼び出しておいて遅刻はねぇんじゃねぇか?」
二人は龍ケ崎を見るなりそう言った。
龍ケ崎に敬語を使っていないところを見るとこの二人もそれなりの立場なんだろうか。
「待たせて悪かった。全員揃ったところで本題に入るか」
「ふ~ん、じゃあその子が例の子なんだ?」
ソファに座っている優しげな顔をした男がおれをまじまじと見つめる。
なんだか値踏みをされているようで気分が悪い。
龍ケ崎はソファに座り全員の顔を見回す。
龍ケ崎の後ろに日下部さんが立っていた。
そもそも龍ケ崎の言う全員におれも含まれているんだろうか?
うん、これは含まれているな。
龍ケ崎が隣に座れと言わんばかりにおれを見ながらソファをポンポンと叩く。
おれが座らないと話が進まないらしく、しぶしぶ龍ケ崎の隣に座った。
「皆に紹介する。彼は今日から俺達の仲間になってもらう御子柴歩夢だ」
「……はい!?」
龍ケ崎の突拍子もない発言におれは開いた口が塞がらない。
おれが?龍ケ崎の仲間?
いやいや意味がわからない。
周りを見ると龍ケ崎の発言に驚いてるのはおれと目つきの悪い男の二人だけだった。
「おれ、そんなこと一言も聞いてねぇ!」
「オレもんな話聞いてねぇぞ?こんなガキ仲間にするなんて何考えてやがる」
なんの説明も一切せず無理矢理連れてきて俺達の仲間にしますってアホか!
第一、何してる人達なのかもわからないしどこから突っ込めばいいのかわからない。
頭痛くなってきた……。
「あの、せめておれが理解できるように説明してくれませんか?」
助けを求めるように日下部さんをちらりと見ると日下部さんはため息をついた。
「冬吾様、だから言ったんですよ。説明くらいして差し上げたら、と」
慌てて降りようとするもドアを閉められてしまう。
次いで龍ケ崎はおれの右隣に日下部さんは運転席に乗り込んだ。
「では行きましょうか」
日下部さんはそう言いながら車を発進させた。
おれどこ連れていかれるんだ?
ってか!
「なんでおれの居場所分かったんだよ?二日間顔を合わせただけだろ?」
おれがそう問いかけると龍ケ崎はこちらを振り返って不敵に笑った。
「俺の情報網を甘く見るなよ」
そんなん知るかって思ったけどさっきの名刺と二人の関係から察するにコイツ偉い人なんだよな、多分。
社長かはたまたその息子辺りが妥当か。
社長にしては若い気もするが。
けど偉い人だからってそんな簡単に顔合わせただけのおれの居場所を突き止められるわけがない。
不良に怯えられるくらいだ。危ないヤツとのつてがあってもおかしくはない。
深く突っ込まないでおこう。
「それでわざわざおれの居場所調べてまでして何の用なんだよ?てかどこ連れてくつもりだ!」
「着いたら教えてやる」
龍ケ崎はそれ以上何も答えてくれなかった。
いざとなったら能力使って逃げるしかないか。
二日も追いかけてきたコイツから逃げられるかは別として。
あんまり立て続けに力使いたくないんだけどなぁ。
おれは静かなった車内で流れる景色をただぼんやりと眺めていた。
おれ、これからどうなるんだ?
――――――――――――
「おい、そろそろ着くぞ」
龍ケ崎の声にハッとして気が付くと目の前には大きなビルが見えた。
おれ達を乗せた車はそのビルの駐車場で停まった。
おれは車を降りると二人の後ろを着いていく。
廃ビルとか倉庫とかいかにもヤバそうなとこ連れてかれたらどうしようかと思ったけど全然そんなことなかったな。
どうやらここは普通の会社のビルらしい。
すれ違う人達が龍ケ崎に挨拶しているのを見ると龍ケ崎はまともな人で偉い人なんだとわかる。
痴漢男だけど。
二人がエレベーターに乗り込んだところで、今逃げるチャンスなんじゃ?とふと思い立ちおれは立ち止まった。
が、龍ケ崎に腕を引っ張られエレベーターに乗せられてしまった。
「油断も隙もあったもんじゃないな」
龍ケ崎はおれの腕を掴んだまま楽しそうに笑った。
なんでコイツはそんなに楽しそうなんだ。
エレベーターを降りて半ば引きずられるようにして入った部屋には二人の男がソファに座っていた。
一人は優しげな顔でにこやかな表情をしている。
もう一人は鋭い目つきに釣り上がった眉で怖い雰囲気を醸し出していた。
「遅かったね」
「呼び出しておいて遅刻はねぇんじゃねぇか?」
二人は龍ケ崎を見るなりそう言った。
龍ケ崎に敬語を使っていないところを見るとこの二人もそれなりの立場なんだろうか。
「待たせて悪かった。全員揃ったところで本題に入るか」
「ふ~ん、じゃあその子が例の子なんだ?」
ソファに座っている優しげな顔をした男がおれをまじまじと見つめる。
なんだか値踏みをされているようで気分が悪い。
龍ケ崎はソファに座り全員の顔を見回す。
龍ケ崎の後ろに日下部さんが立っていた。
そもそも龍ケ崎の言う全員におれも含まれているんだろうか?
うん、これは含まれているな。
龍ケ崎が隣に座れと言わんばかりにおれを見ながらソファをポンポンと叩く。
おれが座らないと話が進まないらしく、しぶしぶ龍ケ崎の隣に座った。
「皆に紹介する。彼は今日から俺達の仲間になってもらう御子柴歩夢だ」
「……はい!?」
龍ケ崎の突拍子もない発言におれは開いた口が塞がらない。
おれが?龍ケ崎の仲間?
いやいや意味がわからない。
周りを見ると龍ケ崎の発言に驚いてるのはおれと目つきの悪い男の二人だけだった。
「おれ、そんなこと一言も聞いてねぇ!」
「オレもんな話聞いてねぇぞ?こんなガキ仲間にするなんて何考えてやがる」
なんの説明も一切せず無理矢理連れてきて俺達の仲間にしますってアホか!
第一、何してる人達なのかもわからないしどこから突っ込めばいいのかわからない。
頭痛くなってきた……。
「あの、せめておれが理解できるように説明してくれませんか?」
助けを求めるように日下部さんをちらりと見ると日下部さんはため息をついた。
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