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第一章 おれとアイツの出逢い
三日連続の痴漢男
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「歩夢、お前昨日連絡するって言ったの忘れてただろ?オレ連絡来るの待ってたんだからな」
「あーごめん、すっかり忘れてた……」
「まぁ、ネックレスも見つかったみたいだし歩夢も無事だったからいいけど」
直哉はそう言ってエプロンを身に付けた。
おれも急いでエプロンを身に付ける。
昨日は連絡どころじゃなかった。
まさかおれのネックレス持って待機してやがるとは……。
なんとか逃げ切ったのはいいけど、さすがに二回連続で能力使ったら怪しまれるよなぁ。
おれたちがバイトしているのは街中にあるカフェ「スイート・ロマン」だ。
このカフェはお客さんと店員の距離が近いカフェとして若い女性を中心に人気がある。
それもあってか来るお客さんは常連さんが多い。
おれはここで情報収集や悩み相談を受けたりしている。
もちろん男性のお客さんやお年寄りの方も来店する。
まさに交流と安らぎの場と言えるだろう。
バイトしてる間は嫌なことも忘れられる。
おれにとっても安らぎの場なのだ。
今日もいつものようにお客さんの話を聞きながら料理を出してバイトを終えるのだと思っていた。
でも今日は違った。
それは夕方頃のことだった。
お店の扉が開く。
「いらっしゃいませ」
おれは来店したスーツの男性に笑顔で挨拶をする。
そして席へ案内しようとすると静止された。
不思議に思って男性の顔を見る。
男性は澄ました顔でこう言った。
「すみません。御子柴歩夢さんはあなたですか?」
「はい、そうですが……」
「実はあなたにお話があるのです」
なぜ俺の名前を知っているのかと思ったが、その言葉を聞いて合点がいった。
どこかでおれの噂を聞きつけたんだろう。
そしておれに相談しにきた、と。
実はこういうお客さんは珍しくない。
おれの名前はカフェのホームページに載っているし、ここに訪れるお客さんがおれの話をしていてもおかしくはない。
「それでしたら奥の席でお聞きしましょう」
「いえ、ここではない場所でお話したいのです」
どうやら人にはあまり話せないような内容らしい。
でもおれ勤務中だしなぁ。
おれがどうしようかと困っていると一部始終を見ていた店長が近づいて来た。
「行っていいよ」
「いいんですか、店長?」
「あぁ、今日は後急いでやるものもないしあとの事は俺達に任せて」
店長はウインクしてみせた。
店長の許可がおりたのでお言葉に甘えて早めに上がらせてもらうことにした。
「ということで、ただ今身支度して参りますね」
おれは男性にそう声をかける。
男性は頷いた。
「はい、よろしくお願いします」
「ところでお名前お伺いしてもよろしいですか?」
「これは失礼いたしました。私、こういうものです」
男性から手渡されたのは名刺だった。
書かれている文字に目を通す。
〖龍ケ崎ホールディングス 社長秘書 日下部雅俊〗
会社名はなんとなく嫌な奴を彷彿とさせるが、男性の名前に聞き覚えはなかった。
社長秘書がおれになんの相談があるのだろうか。
ふと視線を感じて顔を上げる。
すると日下部さんは目をそらして眼鏡を上げた。
――――――――
おれは店長と他の従業員に引き継ぎを済ませ、帰り支度を終えた。
「じゃあ、後はよろしくお願いします」
おれは皆に頭を下げて日下部さんの元へ向かった。
「さぁ、行きましょうか。どこがいいですか?」
「場所はもう決めてあります」
日下部さんはそう言うとすたすたと歩いて店の外へ出た。
おれもその後に続く。
店の前には黒くて大きい車が停まっていた。
その手前には別のスーツを着た男性が立っていた。
その男性の顔を見ておれは目を丸くした。
「冬吾様、御子柴歩夢をお連れしました」
「あぁ、ご苦労」
日下部さんはその男性にお辞儀をする。
そこにいたのは紛れもなく昨日一昨日と痴漢してきた龍ケ崎冬吾だった。
え?
なに、どういうこと?
状況が理解出来ずにおれは思わず身構える。
「まぁ、ここで立ち話もなんですから」
と、日下部さんは流れるような動作で目の前にある車の中へ促した。
「あーごめん、すっかり忘れてた……」
「まぁ、ネックレスも見つかったみたいだし歩夢も無事だったからいいけど」
直哉はそう言ってエプロンを身に付けた。
おれも急いでエプロンを身に付ける。
昨日は連絡どころじゃなかった。
まさかおれのネックレス持って待機してやがるとは……。
なんとか逃げ切ったのはいいけど、さすがに二回連続で能力使ったら怪しまれるよなぁ。
おれたちがバイトしているのは街中にあるカフェ「スイート・ロマン」だ。
このカフェはお客さんと店員の距離が近いカフェとして若い女性を中心に人気がある。
それもあってか来るお客さんは常連さんが多い。
おれはここで情報収集や悩み相談を受けたりしている。
もちろん男性のお客さんやお年寄りの方も来店する。
まさに交流と安らぎの場と言えるだろう。
バイトしてる間は嫌なことも忘れられる。
おれにとっても安らぎの場なのだ。
今日もいつものようにお客さんの話を聞きながら料理を出してバイトを終えるのだと思っていた。
でも今日は違った。
それは夕方頃のことだった。
お店の扉が開く。
「いらっしゃいませ」
おれは来店したスーツの男性に笑顔で挨拶をする。
そして席へ案内しようとすると静止された。
不思議に思って男性の顔を見る。
男性は澄ました顔でこう言った。
「すみません。御子柴歩夢さんはあなたですか?」
「はい、そうですが……」
「実はあなたにお話があるのです」
なぜ俺の名前を知っているのかと思ったが、その言葉を聞いて合点がいった。
どこかでおれの噂を聞きつけたんだろう。
そしておれに相談しにきた、と。
実はこういうお客さんは珍しくない。
おれの名前はカフェのホームページに載っているし、ここに訪れるお客さんがおれの話をしていてもおかしくはない。
「それでしたら奥の席でお聞きしましょう」
「いえ、ここではない場所でお話したいのです」
どうやら人にはあまり話せないような内容らしい。
でもおれ勤務中だしなぁ。
おれがどうしようかと困っていると一部始終を見ていた店長が近づいて来た。
「行っていいよ」
「いいんですか、店長?」
「あぁ、今日は後急いでやるものもないしあとの事は俺達に任せて」
店長はウインクしてみせた。
店長の許可がおりたのでお言葉に甘えて早めに上がらせてもらうことにした。
「ということで、ただ今身支度して参りますね」
おれは男性にそう声をかける。
男性は頷いた。
「はい、よろしくお願いします」
「ところでお名前お伺いしてもよろしいですか?」
「これは失礼いたしました。私、こういうものです」
男性から手渡されたのは名刺だった。
書かれている文字に目を通す。
〖龍ケ崎ホールディングス 社長秘書 日下部雅俊〗
会社名はなんとなく嫌な奴を彷彿とさせるが、男性の名前に聞き覚えはなかった。
社長秘書がおれになんの相談があるのだろうか。
ふと視線を感じて顔を上げる。
すると日下部さんは目をそらして眼鏡を上げた。
――――――――
おれは店長と他の従業員に引き継ぎを済ませ、帰り支度を終えた。
「じゃあ、後はよろしくお願いします」
おれは皆に頭を下げて日下部さんの元へ向かった。
「さぁ、行きましょうか。どこがいいですか?」
「場所はもう決めてあります」
日下部さんはそう言うとすたすたと歩いて店の外へ出た。
おれもその後に続く。
店の前には黒くて大きい車が停まっていた。
その手前には別のスーツを着た男性が立っていた。
その男性の顔を見ておれは目を丸くした。
「冬吾様、御子柴歩夢をお連れしました」
「あぁ、ご苦労」
日下部さんはその男性にお辞儀をする。
そこにいたのは紛れもなく昨日一昨日と痴漢してきた龍ケ崎冬吾だった。
え?
なに、どういうこと?
状況が理解出来ずにおれは思わず身構える。
「まぁ、ここで立ち話もなんですから」
と、日下部さんは流れるような動作で目の前にある車の中へ促した。
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