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第4話
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「おはよー、明智君。ああ、リーダーもいたんですか?」
わずか2,3日で冗談を言えるくらいに打ち解けた私と阿部君とついでに明智君は最強の怪盗団になれるのだろう。マイナス要素なんて一つも思い浮かばない。考えたらだめだ。
「おはよう、阿部君。昨日言われた通りに、盗み先の候補をいくつか考えてあるよ。元警察官というのは伊達ではないからね」
「ああ、それは忘れてください。私がちゃんと決めてきたので」
このやり場のない怒りを明智君にぶつけると、何倍になって返ってくるか頭の良い私は瞬時に計算した。どうやら私は八方塞がりのようだ。ここは恥も外聞も捨てて、阿部君の犬になることを選ぶしかない。あくまでも一時的だ。阿部君が怪盗として、私に全く歯が立たないことを理解するまでの辛抱だ。
そしてそれはすぐにやって来ると確信している。ただ、バカ犬の方は私の凄さを理解する頭があるのかどうか微妙なところだろう。犬を相手にムキになるほど大人気なくはないので、私の秘書の肩書きはそのままにしておいてあげるが。1ヶ月に1回は、顔にマジックで眉毛を描いて笑うかもしれないだけだ。
よし、素晴らしい未来を想像したら、ささやかな怒りなんてあっさり消し飛んだぞ。私に待っているのは、素晴らしい未来だけだ。そして私は会心の作り笑顔になって、当たり前のように阿部君に質問した。
「どこに何を盗みに入るの?」
「当ててみてくださいよ、リーダー」
この野郎……我慢我慢。
「ルーブル美術館にある名画かな?」
「おおー! まーったく違いますね。いくら考えてもリーダーに正解を出すのは無理だし、時間が惜しいので、『かわいいレッド、教えてください』と言えば教えてあげてもいいんですけどね」
ちくしょー、なめやがって。誰がそんな事を……。
「かわいいレッド、教えてください」
明智君の白い目なんて今は気にしていられない。そもそも、明智君は阿部君派になったくせに。
そうは言っても、心の底では私を尊敬しているはずだ。なので安心させてあげようと、アイコンタクトで私と阿部君の立場はすぐに逆転すると教えてあげた。さすが10年来の仲良しだけあって実際には5年だけれど、明智君は私の心の声がはっきりと聞こえたようだ。おもむろに近づいて来ると、私におもいっきりくしゃみを浴びせてきた。
前向きな私は……今は明智君の気持ちを考えないようにしておくか。
「リーダーの良い所はプライドを捨てられるところですね」
天邪鬼の阿部君なりの最上級の褒め言葉なのか、それとも今どきの若い人の定番の褒め方なのだろう。なので私はバカになんてされていないに決まっている。ジェネレーションギャップだけは埋めようがないのだ。
「ありがとうございます。それで、どこに何を盗みに?」
「ローカル暴力団の白イノシシ会の組長宅に現金を盗みに入りますよ。はい、出発でーす」
言いたい事は両手でも足りないほどあるが、もちろん秒で返事した。
私の自宅から歩いて1時間ほどの場所に白イノシシ会の組長宅はある。阿部君のわがままで、途中で明智君も一緒に入れるカフェで朝昼兼用の食事をした。明智君の分は仕方がないにしても、私がなぜか当たり前に全額を払う。リーダーって何か良い所があるのだろうか。
それから顔は笑って心で泣きながら、阿部君と明智君に合わせてのんびりダラダラと目的地を目指した。そして到着したのは、白イノシシ会の組長が寝静まるどころか、太陽が沈むまでにもまだ5,6時間はあるだろう時間だ。
「阿部君……」
「もうミッションは始まってるんだから、何と呼ぶか分かりますよね? いつまでも素人気分では困りますよ」
え? いつどこで始まったんだ? いや、疑問を持ってはだめだ。まして口答えなんて……。私の堪忍袋が少なくとも今日一日は破れませんように。
「レッド、まだまだこんなに明るいのに、忍び込むのか?」
「そうですね。ブルーとイエローも私のように透明人間になれるならですけど」
大げさに愛想笑いでごまをする明智君を真似て、私も自然に愛想笑いをしてしまった。だめだだめだ。
「私のハイセンスなジョークをいつまでも笑ってないで、まずは周囲を偵察しますよ」
「なるほど。え? それは、あべ……じゃなくて、レッドが既に調べたんじゃないの?」
「何を言ってるんですか。昨日の今日で調べられるわけがないでしょ。リーダーと明智君がぼーっとしてるだけでよかったのかもしれないですけど、私は標的を絞るのに忙しかったんですよ。食後のデザートも危うくパパに取られそうになったんだから」
今ここで議論するのは得策ではないのだろう。私は怪盗修行僧だ。よし、自己暗示成功。
阿部君と明智君がじゃれ合いながら歩く後ろを、私が優しく見守るような笑顔でついていき、まずは組長宅の周囲を一周してきた。初めてのミッションにしてはリラックスしているというよりは、はっきり言って、父親と娘と犬が普通に散歩しているだけのようだった。
まあ1周目はこんな感じでもいいのかもしれない。ただ、あんまり何周も何周も周って怪しまれるので、大事なのはこれからだ。2周目は最低限、監視カメラや忍び込むのに適した場所や逃走ルートなどをきちんと確認しながら歩いた方がいいな。
さあ、偵察本番だ。
「さあ、コスチュームを買いに行きますよ」
「え? ええー! て、偵察は?」
「もう十分です。そんな事よりも、服選びは時間がいくらあっても足りないんだから、お店に急ぎますよ。あっ、その前に腹ごしらえしていきましょうね。だいぶ歩いたからお腹がすいたね、イエロー?」
「ワン!」
「さっき食べたばかり……せめて、割り勘なんてどうかな?」
「ブルー、ごちそうさまでーす。イエローも扶養家族だからってお礼は言わないとね」
「ワワンワーン」
腹が減っては戦はできぬと言うからな。でもあんまり高いものは食べないでおくれ。特にバカ犬の方だぞ。ただでさえ、ドッグカフェは割高に設定されてるんだからな。そしてまさかだとは思うが、コスチューム代も私が払うのだろうか?
「あべ……レッド、コスチュームはもちろん自腹だよね?」
「ああー、忘れてました。私のうっかりさん。ごめんなさい、リーダー」
「いいよいいよ。聞くまでもない事を聞いた私が悪いんだよ」
「そうですよ。もうー。コスチュームは自分のコードネームに関係のある出で立ちにしてくださいね。イエローのは私が選んであげるからね。ああそうそう、一般的に制服代は会社が全額負担らしいですね。まあ貸与という形ですけど」
なるほど。白イノシシ会の組長宅にたくさんお金がありますように。
気がついたら、真夜中でも目立つ派手なコスチュームに身を包んだレッドとイエロー、そして機能性重視の暗がりでは青とは見分けづらい地味な服を着た私の2人と1頭は、白イノシシ会の組長宅の裏の塀の前に立っていた。
警察官だった私は、ここが組長宅というのは知っていたが、それ以上の情報がないので不安しかない。ここまではリーダーのプライドを捨てて……じゃなくて、私の広い心で阿部君の言う通りに行動していた。しかしこのまま阿部君を信じて付いていっても問題ないのだろうか。
今からでもリーダーの威厳を示さないと、とんでもない事になりそうな気がしてきたぞ。阿部君も明智君も、本心では私に引っ張ってもらいたいはずだ。
「阿部君、いや、レッド、そろそろ本日の作戦を教えてくれないか?」
私は仁王立ちで胸を張り、リーダーらしく圧をかけながら、猫なで声で聞いてやった。すると阿部君は私の問いに答えず、明智君に意味ありげに目配せしている。
私と明智君ならアイコンタクトであらゆる意思疎通をできるだろうけど、何を血迷ったのか阿部君になんてできるわけないじゃないか。まして、阿部君と明智君の二人とも赤と黄色で色は違うが形はおそろいのライオンのような覆面をしていて、表情がほとんど読み取れないのに。
ここで初めて、なんでライオンの覆面なんだという疑問が湧いた。明智君は犬なんだから顔が出ていても問題ないだろ。と思ってすぐに、私は二人とは全く違う有名なロボットアニメのバッタもんのようなお面を付けさせられていることに、今ごろ疎外感で悲しくなってきた。それにそのライオンの覆面はプロレスラーが試合時に付けるものに似ているので、目と口が出ていて視界は良さそうだし息苦しくもなさそうだ。比べて私のは、本当に夜店で売られているようなお面なのだ。ロボットの目と口にあたる部分が網目状に小さな穴が10数個あいているだけで、周囲を完全に把握するのは難しいし万が一の時に体力の消耗が激しそうだ。
と、考え巡らせていると、いつの間にか明智君がつぶらな瞳を潤ませ私の目の前、いや完全に私に鼻っ面を押し付けていた。
わずか2,3日で冗談を言えるくらいに打ち解けた私と阿部君とついでに明智君は最強の怪盗団になれるのだろう。マイナス要素なんて一つも思い浮かばない。考えたらだめだ。
「おはよう、阿部君。昨日言われた通りに、盗み先の候補をいくつか考えてあるよ。元警察官というのは伊達ではないからね」
「ああ、それは忘れてください。私がちゃんと決めてきたので」
このやり場のない怒りを明智君にぶつけると、何倍になって返ってくるか頭の良い私は瞬時に計算した。どうやら私は八方塞がりのようだ。ここは恥も外聞も捨てて、阿部君の犬になることを選ぶしかない。あくまでも一時的だ。阿部君が怪盗として、私に全く歯が立たないことを理解するまでの辛抱だ。
そしてそれはすぐにやって来ると確信している。ただ、バカ犬の方は私の凄さを理解する頭があるのかどうか微妙なところだろう。犬を相手にムキになるほど大人気なくはないので、私の秘書の肩書きはそのままにしておいてあげるが。1ヶ月に1回は、顔にマジックで眉毛を描いて笑うかもしれないだけだ。
よし、素晴らしい未来を想像したら、ささやかな怒りなんてあっさり消し飛んだぞ。私に待っているのは、素晴らしい未来だけだ。そして私は会心の作り笑顔になって、当たり前のように阿部君に質問した。
「どこに何を盗みに入るの?」
「当ててみてくださいよ、リーダー」
この野郎……我慢我慢。
「ルーブル美術館にある名画かな?」
「おおー! まーったく違いますね。いくら考えてもリーダーに正解を出すのは無理だし、時間が惜しいので、『かわいいレッド、教えてください』と言えば教えてあげてもいいんですけどね」
ちくしょー、なめやがって。誰がそんな事を……。
「かわいいレッド、教えてください」
明智君の白い目なんて今は気にしていられない。そもそも、明智君は阿部君派になったくせに。
そうは言っても、心の底では私を尊敬しているはずだ。なので安心させてあげようと、アイコンタクトで私と阿部君の立場はすぐに逆転すると教えてあげた。さすが10年来の仲良しだけあって実際には5年だけれど、明智君は私の心の声がはっきりと聞こえたようだ。おもむろに近づいて来ると、私におもいっきりくしゃみを浴びせてきた。
前向きな私は……今は明智君の気持ちを考えないようにしておくか。
「リーダーの良い所はプライドを捨てられるところですね」
天邪鬼の阿部君なりの最上級の褒め言葉なのか、それとも今どきの若い人の定番の褒め方なのだろう。なので私はバカになんてされていないに決まっている。ジェネレーションギャップだけは埋めようがないのだ。
「ありがとうございます。それで、どこに何を盗みに?」
「ローカル暴力団の白イノシシ会の組長宅に現金を盗みに入りますよ。はい、出発でーす」
言いたい事は両手でも足りないほどあるが、もちろん秒で返事した。
私の自宅から歩いて1時間ほどの場所に白イノシシ会の組長宅はある。阿部君のわがままで、途中で明智君も一緒に入れるカフェで朝昼兼用の食事をした。明智君の分は仕方がないにしても、私がなぜか当たり前に全額を払う。リーダーって何か良い所があるのだろうか。
それから顔は笑って心で泣きながら、阿部君と明智君に合わせてのんびりダラダラと目的地を目指した。そして到着したのは、白イノシシ会の組長が寝静まるどころか、太陽が沈むまでにもまだ5,6時間はあるだろう時間だ。
「阿部君……」
「もうミッションは始まってるんだから、何と呼ぶか分かりますよね? いつまでも素人気分では困りますよ」
え? いつどこで始まったんだ? いや、疑問を持ってはだめだ。まして口答えなんて……。私の堪忍袋が少なくとも今日一日は破れませんように。
「レッド、まだまだこんなに明るいのに、忍び込むのか?」
「そうですね。ブルーとイエローも私のように透明人間になれるならですけど」
大げさに愛想笑いでごまをする明智君を真似て、私も自然に愛想笑いをしてしまった。だめだだめだ。
「私のハイセンスなジョークをいつまでも笑ってないで、まずは周囲を偵察しますよ」
「なるほど。え? それは、あべ……じゃなくて、レッドが既に調べたんじゃないの?」
「何を言ってるんですか。昨日の今日で調べられるわけがないでしょ。リーダーと明智君がぼーっとしてるだけでよかったのかもしれないですけど、私は標的を絞るのに忙しかったんですよ。食後のデザートも危うくパパに取られそうになったんだから」
今ここで議論するのは得策ではないのだろう。私は怪盗修行僧だ。よし、自己暗示成功。
阿部君と明智君がじゃれ合いながら歩く後ろを、私が優しく見守るような笑顔でついていき、まずは組長宅の周囲を一周してきた。初めてのミッションにしてはリラックスしているというよりは、はっきり言って、父親と娘と犬が普通に散歩しているだけのようだった。
まあ1周目はこんな感じでもいいのかもしれない。ただ、あんまり何周も何周も周って怪しまれるので、大事なのはこれからだ。2周目は最低限、監視カメラや忍び込むのに適した場所や逃走ルートなどをきちんと確認しながら歩いた方がいいな。
さあ、偵察本番だ。
「さあ、コスチュームを買いに行きますよ」
「え? ええー! て、偵察は?」
「もう十分です。そんな事よりも、服選びは時間がいくらあっても足りないんだから、お店に急ぎますよ。あっ、その前に腹ごしらえしていきましょうね。だいぶ歩いたからお腹がすいたね、イエロー?」
「ワン!」
「さっき食べたばかり……せめて、割り勘なんてどうかな?」
「ブルー、ごちそうさまでーす。イエローも扶養家族だからってお礼は言わないとね」
「ワワンワーン」
腹が減っては戦はできぬと言うからな。でもあんまり高いものは食べないでおくれ。特にバカ犬の方だぞ。ただでさえ、ドッグカフェは割高に設定されてるんだからな。そしてまさかだとは思うが、コスチューム代も私が払うのだろうか?
「あべ……レッド、コスチュームはもちろん自腹だよね?」
「ああー、忘れてました。私のうっかりさん。ごめんなさい、リーダー」
「いいよいいよ。聞くまでもない事を聞いた私が悪いんだよ」
「そうですよ。もうー。コスチュームは自分のコードネームに関係のある出で立ちにしてくださいね。イエローのは私が選んであげるからね。ああそうそう、一般的に制服代は会社が全額負担らしいですね。まあ貸与という形ですけど」
なるほど。白イノシシ会の組長宅にたくさんお金がありますように。
気がついたら、真夜中でも目立つ派手なコスチュームに身を包んだレッドとイエロー、そして機能性重視の暗がりでは青とは見分けづらい地味な服を着た私の2人と1頭は、白イノシシ会の組長宅の裏の塀の前に立っていた。
警察官だった私は、ここが組長宅というのは知っていたが、それ以上の情報がないので不安しかない。ここまではリーダーのプライドを捨てて……じゃなくて、私の広い心で阿部君の言う通りに行動していた。しかしこのまま阿部君を信じて付いていっても問題ないのだろうか。
今からでもリーダーの威厳を示さないと、とんでもない事になりそうな気がしてきたぞ。阿部君も明智君も、本心では私に引っ張ってもらいたいはずだ。
「阿部君、いや、レッド、そろそろ本日の作戦を教えてくれないか?」
私は仁王立ちで胸を張り、リーダーらしく圧をかけながら、猫なで声で聞いてやった。すると阿部君は私の問いに答えず、明智君に意味ありげに目配せしている。
私と明智君ならアイコンタクトであらゆる意思疎通をできるだろうけど、何を血迷ったのか阿部君になんてできるわけないじゃないか。まして、阿部君と明智君の二人とも赤と黄色で色は違うが形はおそろいのライオンのような覆面をしていて、表情がほとんど読み取れないのに。
ここで初めて、なんでライオンの覆面なんだという疑問が湧いた。明智君は犬なんだから顔が出ていても問題ないだろ。と思ってすぐに、私は二人とは全く違う有名なロボットアニメのバッタもんのようなお面を付けさせられていることに、今ごろ疎外感で悲しくなってきた。それにそのライオンの覆面はプロレスラーが試合時に付けるものに似ているので、目と口が出ていて視界は良さそうだし息苦しくもなさそうだ。比べて私のは、本当に夜店で売られているようなお面なのだ。ロボットの目と口にあたる部分が網目状に小さな穴が10数個あいているだけで、周囲を完全に把握するのは難しいし万が一の時に体力の消耗が激しそうだ。
と、考え巡らせていると、いつの間にか明智君がつぶらな瞳を潤ませ私の目の前、いや完全に私に鼻っ面を押し付けていた。
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