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第41話
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僕がゆっくりバスを止めると、前を走っていたマスコミ車は意表を突かれたようで急ブレーキで止まった。バスとマスコミ車の間には他に車がいなかったので、事故にはならない。そしてすぐにバスのすぐ前までバックしてきたかと思うと、カメラマンと車を運転していたであろう人が降りてきた。そしてその車を運転していたであろう人がリポーターとなって撮影じゃなくて中継が始まる。
ただ、それを警察がおとなしく見ているはずもなく、マスコミ車にほんの束の間遅れてバスを包囲した。警察車両の1台は強引にマスコミ車とバスの間にねじ込む。バスの右サイドと後方にはバスを取り囲むように数台止めて、十数人の警察官がぞくぞくと降りてきて、左サイドを重点的にバスの周囲に配置された。
「誘拐犯は投降するつもりなので乱暴なことはしないでください。繰り返します。誘拐犯は自ら投降します。なので乱暴なことはしないでください」
僕はバスの外マイクを使って呼びかけた。するとバスの前にいた一人の警察官が右手を上げたので、了解したということなのだろう。僕は再度、外マイクで話しかける。
「それでは前の扉から犯人が降りていくので待っていてください」と言ってから、僕は着ていた上着を誘拐犯に渡した。誘拐犯がその上着を頭から被って顔を隠してから、僕は扉を開けた。
「足元に注意して降りてください」と言うと、誘拐犯は何も答えなかったが、泣いていたのかもしれない。先ほど手を上げて意思表示をしてくれた警察官が、約束通り誘拐犯がバスから降りるまでじっと待ってくれている。そして安全に誘拐犯が降りると、その手を掴み何か話しかけゆっくりパトカーに連れていった。その警察官はあえてそこでは手錠をかけなかったのだろう。
安心したのも束の間、間髪を入れず誘拐犯と入れ違いに、別の警察官がバスに乗り込んでくる。僕とひなちゃんを威圧させないようにと思ってくれたのか、乗ってきたのは一人だけだ。正直言って、気配りに感謝だ。無事だったとはいえ、まだ子供のひなちゃんにはトラウマになりかねない。なのでここからだけでもあまり仰々しくほしくなかったのだ。幸い乗ってきた警察官はすごく優しそうに見える。
「小林ひなちゃんだね? よく頑張ったね。ケガはしていない?」
「うん、大丈夫」
「それでも一応、病院に行って検査をしてもらおうね」
「やだ。ひろしさんと一緒にいるもん」
「まいったなあ。というか、俳優の山田ひろしさんですよね? どういうことですか? まさかバスを盗んだんじゃないでしょうね?」
「僕のことを知ってるんですか?」
「それはもう。あのドラマのおかげで、家族の会話も増えましたよ。じゃなくて、どうしてバスを運転してるんですか?」
「このバス会社の運転士をさせてもらってるんですけど、会社には僕が俳優の『山田ひろし』というのは内緒にしてあるんですよ」
「そうなんですか。何かいまいち信じられないですけど、詳しい話は後でまた聞かせてください。なのでまずは、このバスを警察署まで乗っていってもらえますか? できますよね? いつまでもここに停めていては通行の邪魔になるので、現場検証は署に持っていってからにします」
「分かりました。パトカーの後ろを付いていけばいいですよね? それと、ひなちゃんも乗せていってもかまいませんよね?」
「致し方ないですね。無理やり降ろすと、今度は本官が誘拐犯だと思われかねないですしね」
そういう会話をしている間もマスコミ関係者からずっとカメラで撮られていたので、山田ひろしはもう1時間以上も映されていることになる。先導車のパトカーに付いていっている間も、そのマスコミ関係者は誘拐犯ではなく僕を撮ろうとしていたが、僕はすでに開き直っていたので全く気にならなかった。そのマスコミ関係者は独占スクープなので興奮が止まらなかっただろうけど。
まあ後で知ったこととはいえ、この事件を最初に警察に通報してくれたのは彼らだったので、ちょうどいいお礼になったみたいだ。ただ、独占スクープも警察署に着くまでだったけれども。
警察署には数え切れないくらいのマスコミがすでに到着していたし、ヘリコプターまでもが上空を飛び回っていた。バスを指定された場所に停め、大勢の警察官に守られて僕とひなちゃんが警察署の中に入っていくと、涙目の健二さんと大泣きしている塚谷君が待ってくれていた。東京にいるはずの二人が何故こんな所にいるかというと、テレビ局で仕事をしていた健二さんがニュースであのお手柄マスコミ関係者によって生放送されていたこの事件を知り、事務所で泣きべそをかきながら事務仕事を必死でこなしていた塚谷君にすぐにテレビ局に来るように指示して、塚谷君が来るまでの間に健二さんは取材に行くテレビ局のヘリコプターになんとかもう二人を乗せてくれるように交渉をして、この辺りまで連れてきてもらったということだ。一応補足として、塚谷君が大泣きしていたのは、事務仕事の時のではなくて僕の事を心配してのものだ。
健二さんに気づいたひなちゃんは急に泣き出し一目散に健二さんのもとへ走っていき抱きついたが、さすがに僕は子供ではないのでゆっくり進み出ると、塚谷君も同じように進み労いのハグをしてくれた。
「私は観れなかったんですけど、大々的にテレビに出てたそうじゃないですか?」
「そうなんだ? 映してるのは分かってたけど、生放送だったんだね。ということは、世間の人に僕がバス運転士だということが気づかれたのかな?」
「そうですね。ドラマの放送か本物のバス運転士かテロリストだと思ってるでしょうね」
「て、てろりすと?」
「はい。テロリストがバスを強奪して共犯者と共にひなちゃんを誘拐したと思う人もたくさんいるはずですよ。動機はひろしさんの秘密を知ったことへの復讐とかですかね」
「そんな風に言われたら信憑性があるような。じゃあ、一応記者会見を開いて、すべてを正直に話した方がいいかなあ?」
「そうですね。テロリストは冗談だとしても、今後のために記者会見は開くべきですね」
「なんだ、冗談か」
「当たり前じゃないですか。冗談でひろしさんの気分をほぐしてあげようとした私の優しい心遣いですよ。まさか真に受けたんですか?」
「ま、ま、まさか。面白くない冗談に少しだけ乗っかってあげたんだよ。あっ、そうだ、事情聴取があるから、そろそろ行かないと」
「私も付いていきます。保護者として」
ここで口答えをしたり逆らったりしても時間の無駄なので、僕はおとなしく塚谷君の同席を許した。邪魔にはならないだろうと期待を込めて信じるしかない。がしかし、警察官に僕が何かを話すたびに、驚いたり相槌を打ったり笑ったり感動したりと、傍観者に徹する意思が全く見られないので途中であっさりと強制的に追い出されてしまった。塚谷君の訴えるような上目遣いもさすがに警察官には全く通じない。肩を落としながら去っていく塚谷君に思わず同情してしまう。ただ、塚谷君は心に秘めていた心配事だけはどうしても聞きたかったようだ。
「ひろしさんをテロリストだと疑ってないですよね?」
冗談だと言っておきながら、塚谷君は気にしていたようだ。しかし警察官はそんな可能性を一切考慮に入れてなかったどころか、まさかそんな事を聞いてくるなんてと思ったのかもしれない。真顔で答えたかったのだろうけど、塚谷君の豊かな感情表現が楽しくなってきたのもあって、とうとう表情を崩してしまった。気持ちは分かる。
「疑ってないので、安心して待っていてください」となんとか即答してくれた。警察官も人の子なので、やはり塚谷君のことは好きになったのだろう。だけどそこは職務を遂行しないといけないので、優しく塚谷君を部屋の外へ促す。そして塚谷君がいなくなったことで事情聴取は円滑に進み、また後日何かあれば聞きたいと今日のところは解放された。
ただ、それを警察がおとなしく見ているはずもなく、マスコミ車にほんの束の間遅れてバスを包囲した。警察車両の1台は強引にマスコミ車とバスの間にねじ込む。バスの右サイドと後方にはバスを取り囲むように数台止めて、十数人の警察官がぞくぞくと降りてきて、左サイドを重点的にバスの周囲に配置された。
「誘拐犯は投降するつもりなので乱暴なことはしないでください。繰り返します。誘拐犯は自ら投降します。なので乱暴なことはしないでください」
僕はバスの外マイクを使って呼びかけた。するとバスの前にいた一人の警察官が右手を上げたので、了解したということなのだろう。僕は再度、外マイクで話しかける。
「それでは前の扉から犯人が降りていくので待っていてください」と言ってから、僕は着ていた上着を誘拐犯に渡した。誘拐犯がその上着を頭から被って顔を隠してから、僕は扉を開けた。
「足元に注意して降りてください」と言うと、誘拐犯は何も答えなかったが、泣いていたのかもしれない。先ほど手を上げて意思表示をしてくれた警察官が、約束通り誘拐犯がバスから降りるまでじっと待ってくれている。そして安全に誘拐犯が降りると、その手を掴み何か話しかけゆっくりパトカーに連れていった。その警察官はあえてそこでは手錠をかけなかったのだろう。
安心したのも束の間、間髪を入れず誘拐犯と入れ違いに、別の警察官がバスに乗り込んでくる。僕とひなちゃんを威圧させないようにと思ってくれたのか、乗ってきたのは一人だけだ。正直言って、気配りに感謝だ。無事だったとはいえ、まだ子供のひなちゃんにはトラウマになりかねない。なのでここからだけでもあまり仰々しくほしくなかったのだ。幸い乗ってきた警察官はすごく優しそうに見える。
「小林ひなちゃんだね? よく頑張ったね。ケガはしていない?」
「うん、大丈夫」
「それでも一応、病院に行って検査をしてもらおうね」
「やだ。ひろしさんと一緒にいるもん」
「まいったなあ。というか、俳優の山田ひろしさんですよね? どういうことですか? まさかバスを盗んだんじゃないでしょうね?」
「僕のことを知ってるんですか?」
「それはもう。あのドラマのおかげで、家族の会話も増えましたよ。じゃなくて、どうしてバスを運転してるんですか?」
「このバス会社の運転士をさせてもらってるんですけど、会社には僕が俳優の『山田ひろし』というのは内緒にしてあるんですよ」
「そうなんですか。何かいまいち信じられないですけど、詳しい話は後でまた聞かせてください。なのでまずは、このバスを警察署まで乗っていってもらえますか? できますよね? いつまでもここに停めていては通行の邪魔になるので、現場検証は署に持っていってからにします」
「分かりました。パトカーの後ろを付いていけばいいですよね? それと、ひなちゃんも乗せていってもかまいませんよね?」
「致し方ないですね。無理やり降ろすと、今度は本官が誘拐犯だと思われかねないですしね」
そういう会話をしている間もマスコミ関係者からずっとカメラで撮られていたので、山田ひろしはもう1時間以上も映されていることになる。先導車のパトカーに付いていっている間も、そのマスコミ関係者は誘拐犯ではなく僕を撮ろうとしていたが、僕はすでに開き直っていたので全く気にならなかった。そのマスコミ関係者は独占スクープなので興奮が止まらなかっただろうけど。
まあ後で知ったこととはいえ、この事件を最初に警察に通報してくれたのは彼らだったので、ちょうどいいお礼になったみたいだ。ただ、独占スクープも警察署に着くまでだったけれども。
警察署には数え切れないくらいのマスコミがすでに到着していたし、ヘリコプターまでもが上空を飛び回っていた。バスを指定された場所に停め、大勢の警察官に守られて僕とひなちゃんが警察署の中に入っていくと、涙目の健二さんと大泣きしている塚谷君が待ってくれていた。東京にいるはずの二人が何故こんな所にいるかというと、テレビ局で仕事をしていた健二さんがニュースであのお手柄マスコミ関係者によって生放送されていたこの事件を知り、事務所で泣きべそをかきながら事務仕事を必死でこなしていた塚谷君にすぐにテレビ局に来るように指示して、塚谷君が来るまでの間に健二さんは取材に行くテレビ局のヘリコプターになんとかもう二人を乗せてくれるように交渉をして、この辺りまで連れてきてもらったということだ。一応補足として、塚谷君が大泣きしていたのは、事務仕事の時のではなくて僕の事を心配してのものだ。
健二さんに気づいたひなちゃんは急に泣き出し一目散に健二さんのもとへ走っていき抱きついたが、さすがに僕は子供ではないのでゆっくり進み出ると、塚谷君も同じように進み労いのハグをしてくれた。
「私は観れなかったんですけど、大々的にテレビに出てたそうじゃないですか?」
「そうなんだ? 映してるのは分かってたけど、生放送だったんだね。ということは、世間の人に僕がバス運転士だということが気づかれたのかな?」
「そうですね。ドラマの放送か本物のバス運転士かテロリストだと思ってるでしょうね」
「て、てろりすと?」
「はい。テロリストがバスを強奪して共犯者と共にひなちゃんを誘拐したと思う人もたくさんいるはずですよ。動機はひろしさんの秘密を知ったことへの復讐とかですかね」
「そんな風に言われたら信憑性があるような。じゃあ、一応記者会見を開いて、すべてを正直に話した方がいいかなあ?」
「そうですね。テロリストは冗談だとしても、今後のために記者会見は開くべきですね」
「なんだ、冗談か」
「当たり前じゃないですか。冗談でひろしさんの気分をほぐしてあげようとした私の優しい心遣いですよ。まさか真に受けたんですか?」
「ま、ま、まさか。面白くない冗談に少しだけ乗っかってあげたんだよ。あっ、そうだ、事情聴取があるから、そろそろ行かないと」
「私も付いていきます。保護者として」
ここで口答えをしたり逆らったりしても時間の無駄なので、僕はおとなしく塚谷君の同席を許した。邪魔にはならないだろうと期待を込めて信じるしかない。がしかし、警察官に僕が何かを話すたびに、驚いたり相槌を打ったり笑ったり感動したりと、傍観者に徹する意思が全く見られないので途中であっさりと強制的に追い出されてしまった。塚谷君の訴えるような上目遣いもさすがに警察官には全く通じない。肩を落としながら去っていく塚谷君に思わず同情してしまう。ただ、塚谷君は心に秘めていた心配事だけはどうしても聞きたかったようだ。
「ひろしさんをテロリストだと疑ってないですよね?」
冗談だと言っておきながら、塚谷君は気にしていたようだ。しかし警察官はそんな可能性を一切考慮に入れてなかったどころか、まさかそんな事を聞いてくるなんてと思ったのかもしれない。真顔で答えたかったのだろうけど、塚谷君の豊かな感情表現が楽しくなってきたのもあって、とうとう表情を崩してしまった。気持ちは分かる。
「疑ってないので、安心して待っていてください」となんとか即答してくれた。警察官も人の子なので、やはり塚谷君のことは好きになったのだろう。だけどそこは職務を遂行しないといけないので、優しく塚谷君を部屋の外へ促す。そして塚谷君がいなくなったことで事情聴取は円滑に進み、また後日何かあれば聞きたいと今日のところは解放された。
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