12 / 50
第12話
しおりを挟む
塚谷君はというと、健二さんと僕の会話を珍しく大人しく黙って聞いていたので、事の重大さを僕と同等いやそれ以上に考えてくれていたのかもしれない。ただ、なぜか少し顔を赤らめていた。まあ、分からなくもないけれど。
「健二さんに、かわいいと言われて照れてるんでしょ?」
「そんなんじゃないです。ひろしさんは私のことを全然分かってない。そんな事よりも良かったですね。健二さんがあの事を誰にも話してなくて」
「そうだね。やっぱり健二さんだよ。だけど、あの事で塚谷君にはいろいろ動いてもらったり心配かけてしまったね。本当にありがとう」
「そんな風に言われると照れるじゃないですか。なんだかんだで私は楽しかったので、結果良ければすべて良しですよ。健二さんも言ってたことだけど、これで安心して今日も素晴らしい芝居をお願いしますね」
「うん、まかしといて。二足の草鞋だからって、中途半端なことは絶対にしないよ。だからこれに懲りずに、これからも僕のマネージャーを続けてくれるよね?」
「何くだらない事を言ってるんですか。当たり前じゃないですか。怒りますよ。私はずっとひろしさんのそばにいますよ」
「よかった。僕は塚谷君がいなかったら本当に何もできないし、俳優の仕事だけでごはんが食べれるようになったのも塚谷君が僕に付いてくれてからだもんね」
「私はマネージャーとしての仕事をしているだけなので気を使わないでくださいというか、ひろしさんには気を使われたくないです」
「そっか。じゃあ、これからも今まで通りの塚谷君と僕の仲良しの関係でいようね」
「そうですね。今まで通りでなくてもいいので、仲良しの関係でいましょう」
「え? どういうこと?」
「どういうことでしょう?」
仕事帰りに暗い夜道を一人で家路についていた妹が無差別連続殺人犯の餌食になりかけた時に、迎えに来ていた兄がぎりぎり助けたはいいが、過剰防衛によりその犯人を誤って殺してしまった。この無差別連続殺人犯は事件を起こす前には必ず犯行声明を警察に送りつけていたので、当初はこの兄によって殺された人物も犠牲者の中の一人だと思われたが、調べていくうちに無差別連続殺人犯だと特定された。動機は非常に身勝手で、自分の人生に絶望をしていてその原因は不条理だと思い込んでいた世の中にあるとして、捕まるまでは犯行を繰り返すつもりだったらしい。そんな訳で、この無差別連続殺人犯を殺した犯人は誤って死に至らしめたことも明らかだったので、世間ではヒーロー扱いされていた。だけど、その犯人はヒーローなんかではなくて、唯一の身内は妹だけで、その妹を心から大事に思っているただの警察官だったのだ。
妹をその無差別連続殺人犯から救った時は、襲いかかる犯人を止めるために咄嗟にパンチを一発だけお見舞いして倒したが、妹を助けることしか考えていなくてすぐにその場を立ち去ってしまったので、その無差別連続殺人犯が死んだ事を知ったのは次の日に出勤した時だった。警察官としてあるまじき行為をいくらかやってしまったが、彼は警察官である前に一人の人間であり他に身寄りのいない妹を大事に思っている兄だ。
自首しようかどうか葛藤している間に、どんどん月日は流れ、もう機会を逸してしまったと考えるに至っていた。そこからは、後悔の毎日を送るだけだ。あの時、倒れた無差別連続殺人犯をすぐに介抱していれば。あの時、すぐに警察に電話していれば。あの時、殴らないでただ押さえつければ。今は冷静に考えられるが、その時は妹を守ることしか頭になかったと言っても言い訳にしかならない。
百歩譲って自分が天涯孤独だったならすぐに自首もしただろうけど、天涯孤独だったならこのような事件を犯すことはなかった。しかし仮の話をしていても意味がない。兄は警察が犯人を特定しないように祈るだけだった。しかし警察は無能ではないので概ね容疑者を特定していたのだ。
兄はこのまま沈黙を続けるのだろうか、それとも新たな手に出るのだろうか……。
という現実では起こらないであろう事件を、さも現実であるかのように見せなければならない難しいがやりがいのある兄役を僕が演じ、この兄を巧みな推理と根気でじわじわと追い詰めていく刑事役が健二さんだ。そして妹役は、言うまでもなく、小野リカさんだ。
小野さんはかわいいだけではなくて、もちろん芝居も上手なので妹のいない僕が本当の妹なんじゃないかと錯覚してしまうほどだ。だからか僕自身も自然と本当の兄役を演じられるのかもしれない。本当に共演者には感謝だ。
まずは、健二さんと僕の二人だけのシーンの撮影から始まった。お互いに結構な長セリフが続くというか長セリフのほとんどは健二さんだけれど、こういう時は逆にセリフの短い方が緊張したりするものだ。万が一、僕がNGを出したならというプレッシャーは生半可なものではないのだから。とまあ始まるまではいろいろ考えてネガティブになったりすることもあるけど、いざ撮影がスタートすると僕は完全に劇中の人だし健二さんもそんな感じなので、当たり前のようにセリフが出てくるしもちろん感情もこもっている。監督が止めて、やっと僕たちは別世界から帰って来られるのだ。
そして予定通りの文句のつけようのない二人の芝居が終わってから、少し遅めの昼ごはんを塚谷君と食べに行くことにした。僕がお腹ペコペコなのだから、塚谷君のお腹は想像するまでもない。
「ひろしさん、お疲れさまです。今日もいつもと同じように素晴らしかったですよ」
「ありがとう。塚谷君が言うんだから間違いないね。それじゃひとまず芝居は忘れて昼ごはんを食べに行こうか?」
「はいっ! お好み焼き屋へ、しゅっぱつしんこー」
僕の大好物をあえて選んでくれたのか、ただ単に塚谷君が食べたかったのかはどうでもいい。お好み焼きと聞いて、塚谷君に負けず劣らずのご機嫌さんになった僕は危うく塚谷君を置いていきそうになるくらいに張り切って歩き出した。
「ひろしさん、待ってくださいよ」
「あれ? 塚谷君は行かないの?」
「行くに決まってるでしょ。もう少しゆっくり歩いてくださいよ」
「ああ、そうだね。ついついお好み焼きが待っていると思って焦っちゃったよ。焦って急いでも大して早く着くわけでもないのに、僕はだめだよねえ。こういう時こそ落ち着いて行動するべきだったね」
「まだまだひろしさんは未熟者ですねえ」
「本当にそうだよ。分かっていながらも、お好み焼きが待っていると思ったら、今にも走り出しそうになるんだよね」
「もうしょうがないなあ。ほら、こうやって手を繋いでいれば、私が重しになって急げなくなりますよ」
「なるほどー……って、ここまでしなくても落ち着いて行動できるよ。走り出しそうって言ったのは、ただの冗談なんだから。まるで僕が駄々っ子みたいじゃない」
「はいはい。お好み焼きが待ってるんだから行きますよー」
「健二さんに、かわいいと言われて照れてるんでしょ?」
「そんなんじゃないです。ひろしさんは私のことを全然分かってない。そんな事よりも良かったですね。健二さんがあの事を誰にも話してなくて」
「そうだね。やっぱり健二さんだよ。だけど、あの事で塚谷君にはいろいろ動いてもらったり心配かけてしまったね。本当にありがとう」
「そんな風に言われると照れるじゃないですか。なんだかんだで私は楽しかったので、結果良ければすべて良しですよ。健二さんも言ってたことだけど、これで安心して今日も素晴らしい芝居をお願いしますね」
「うん、まかしといて。二足の草鞋だからって、中途半端なことは絶対にしないよ。だからこれに懲りずに、これからも僕のマネージャーを続けてくれるよね?」
「何くだらない事を言ってるんですか。当たり前じゃないですか。怒りますよ。私はずっとひろしさんのそばにいますよ」
「よかった。僕は塚谷君がいなかったら本当に何もできないし、俳優の仕事だけでごはんが食べれるようになったのも塚谷君が僕に付いてくれてからだもんね」
「私はマネージャーとしての仕事をしているだけなので気を使わないでくださいというか、ひろしさんには気を使われたくないです」
「そっか。じゃあ、これからも今まで通りの塚谷君と僕の仲良しの関係でいようね」
「そうですね。今まで通りでなくてもいいので、仲良しの関係でいましょう」
「え? どういうこと?」
「どういうことでしょう?」
仕事帰りに暗い夜道を一人で家路についていた妹が無差別連続殺人犯の餌食になりかけた時に、迎えに来ていた兄がぎりぎり助けたはいいが、過剰防衛によりその犯人を誤って殺してしまった。この無差別連続殺人犯は事件を起こす前には必ず犯行声明を警察に送りつけていたので、当初はこの兄によって殺された人物も犠牲者の中の一人だと思われたが、調べていくうちに無差別連続殺人犯だと特定された。動機は非常に身勝手で、自分の人生に絶望をしていてその原因は不条理だと思い込んでいた世の中にあるとして、捕まるまでは犯行を繰り返すつもりだったらしい。そんな訳で、この無差別連続殺人犯を殺した犯人は誤って死に至らしめたことも明らかだったので、世間ではヒーロー扱いされていた。だけど、その犯人はヒーローなんかではなくて、唯一の身内は妹だけで、その妹を心から大事に思っているただの警察官だったのだ。
妹をその無差別連続殺人犯から救った時は、襲いかかる犯人を止めるために咄嗟にパンチを一発だけお見舞いして倒したが、妹を助けることしか考えていなくてすぐにその場を立ち去ってしまったので、その無差別連続殺人犯が死んだ事を知ったのは次の日に出勤した時だった。警察官としてあるまじき行為をいくらかやってしまったが、彼は警察官である前に一人の人間であり他に身寄りのいない妹を大事に思っている兄だ。
自首しようかどうか葛藤している間に、どんどん月日は流れ、もう機会を逸してしまったと考えるに至っていた。そこからは、後悔の毎日を送るだけだ。あの時、倒れた無差別連続殺人犯をすぐに介抱していれば。あの時、すぐに警察に電話していれば。あの時、殴らないでただ押さえつければ。今は冷静に考えられるが、その時は妹を守ることしか頭になかったと言っても言い訳にしかならない。
百歩譲って自分が天涯孤独だったならすぐに自首もしただろうけど、天涯孤独だったならこのような事件を犯すことはなかった。しかし仮の話をしていても意味がない。兄は警察が犯人を特定しないように祈るだけだった。しかし警察は無能ではないので概ね容疑者を特定していたのだ。
兄はこのまま沈黙を続けるのだろうか、それとも新たな手に出るのだろうか……。
という現実では起こらないであろう事件を、さも現実であるかのように見せなければならない難しいがやりがいのある兄役を僕が演じ、この兄を巧みな推理と根気でじわじわと追い詰めていく刑事役が健二さんだ。そして妹役は、言うまでもなく、小野リカさんだ。
小野さんはかわいいだけではなくて、もちろん芝居も上手なので妹のいない僕が本当の妹なんじゃないかと錯覚してしまうほどだ。だからか僕自身も自然と本当の兄役を演じられるのかもしれない。本当に共演者には感謝だ。
まずは、健二さんと僕の二人だけのシーンの撮影から始まった。お互いに結構な長セリフが続くというか長セリフのほとんどは健二さんだけれど、こういう時は逆にセリフの短い方が緊張したりするものだ。万が一、僕がNGを出したならというプレッシャーは生半可なものではないのだから。とまあ始まるまではいろいろ考えてネガティブになったりすることもあるけど、いざ撮影がスタートすると僕は完全に劇中の人だし健二さんもそんな感じなので、当たり前のようにセリフが出てくるしもちろん感情もこもっている。監督が止めて、やっと僕たちは別世界から帰って来られるのだ。
そして予定通りの文句のつけようのない二人の芝居が終わってから、少し遅めの昼ごはんを塚谷君と食べに行くことにした。僕がお腹ペコペコなのだから、塚谷君のお腹は想像するまでもない。
「ひろしさん、お疲れさまです。今日もいつもと同じように素晴らしかったですよ」
「ありがとう。塚谷君が言うんだから間違いないね。それじゃひとまず芝居は忘れて昼ごはんを食べに行こうか?」
「はいっ! お好み焼き屋へ、しゅっぱつしんこー」
僕の大好物をあえて選んでくれたのか、ただ単に塚谷君が食べたかったのかはどうでもいい。お好み焼きと聞いて、塚谷君に負けず劣らずのご機嫌さんになった僕は危うく塚谷君を置いていきそうになるくらいに張り切って歩き出した。
「ひろしさん、待ってくださいよ」
「あれ? 塚谷君は行かないの?」
「行くに決まってるでしょ。もう少しゆっくり歩いてくださいよ」
「ああ、そうだね。ついついお好み焼きが待っていると思って焦っちゃったよ。焦って急いでも大して早く着くわけでもないのに、僕はだめだよねえ。こういう時こそ落ち着いて行動するべきだったね」
「まだまだひろしさんは未熟者ですねえ」
「本当にそうだよ。分かっていながらも、お好み焼きが待っていると思ったら、今にも走り出しそうになるんだよね」
「もうしょうがないなあ。ほら、こうやって手を繋いでいれば、私が重しになって急げなくなりますよ」
「なるほどー……って、ここまでしなくても落ち着いて行動できるよ。走り出しそうって言ったのは、ただの冗談なんだから。まるで僕が駄々っ子みたいじゃない」
「はいはい。お好み焼きが待ってるんだから行きますよー」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

優等生の裏の顔クラスの優等生がヤンデレオタク女子だった件
石原唯人
ライト文芸
「秘密にしてくれるならいい思い、させてあげるよ?」
隣の席の優等生・出宮紗英が“オタク女子”だと偶然知ってしまった岡田康平は、彼女に口封じをされる形で推し活に付き合うことになる。
紗英と過ごす秘密の放課後。初めは推し活に付き合うだけだったのに、気づけば二人は一緒に帰るようになり、休日も一緒に出掛けるようになっていた。
「ねえ、もっと凄いことしようよ」
そうして積み重ねた時間が徐々に紗英の裏側を知るきっかけとなり、不純な秘密を守るための関係が、いつしか淡く甘い恋へと発展する。
表と裏。二つのカオを持つ彼女との刺激的な秘密のラブコメディ。
よこはま物語 壱、ヒメたちとのエピソード
セキトネリ
ライト文芸
ぼくの中学高校の友人で仲里というヤツがいる。中学高校から学校から徒歩20分くらいのところに住んでいた。学校帰り、ぼくはよく彼の家に行っては暇つぶしをしていた。彼には妹がいた。仲里美姫といって、ぼくらの学校の一駅手前の女子校に通っている。ぼくが中学に入学した時、美姫は小学校6年生だった。妹みたいなものだ。それから6年。今、ぼくは高校3年生で彼女は2年生。
ぼくが中学1年の時からずっと彼女のことをミキちゃん、ミキちゃんと呼んでいた。去年のこと。急に美姫が「そのミキちゃんって呼び方、止めよう!なんかさ、ぶっとい杉の木の幹(みき)みたいに自分が感じる!明彦、これからは私をヒメと呼んで!」と言われた。
「わかった、ヒメ。みんなにもキミのことをヒメと呼ぶと言っておくよ」
「みんなはいいのよ。明彦は私をそう呼んで」
「ぼくだけ?」
「そういうこと」
「・・・まあ、了解だ」みんなはミキちゃんと呼んで、ぼくだけヒメって変だろ?ま、いいか。
「うん、ありがと」
ヒメはショートボブの髪型で、軽く茶髪に染めている。1975年だから、髪を染めている女子高生というだけで不良扱いされた時代。彼女の中学高校一貫教育のカトリック系進学校では教師に目をつけられるギリギリの染め方だ。彼女は不良じゃないが、ちょっとだけ反抗してみてます、という感じがぼくは好きだ。
黒のブランドロゴがデザインされたTシャツ、デニムの膝上15センチくらいのミニスカートに生足。玄関に立った彼女の目線とぼくの目線が同じくらい。
ポチャっとしていて、本人は脚がちょっと太いかなあ、と気にしている。でも、脚はキレイだよ、無駄毛の処理もちゃんとしてるんだよ、見てみて、触って。スベスベだよ、なんて言う。小学生の時だったらいいが、ぼくも高校3年生、色気づいていいる。女子高生に脚を触ってみて、なんて言われても困る。彼女は6年前と変わらず、と思っていた。
「よこはま物語」四部作
「よこはま物語 壱½、ヒメたちとのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/343943156
「よこはま物語 弐、ヒメたちのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/245940913
「よこはま物語 参、ヒメたちのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/59941151
「よこはま物語 壱、ヒメたちとのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/461940836
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる