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真実の扉 ~歴史の裏側~
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しおりを挟む言ってしまった、ついに。
フレンさんには『胡蝶の夢』?だったかを飲んでもらったけど。
でもあれは『タロットワーク』の始祖に関することだったから仕方ないか。
今回、シオンさん…いや、シオンに言ったことは『私が異世界から来た』という事だけだ。その為にタロットワークへ身を寄せ、ある程度の加護があるが故に国の庇護を受けている、という所まで。
タロットワークに関することはなんとな~くボヤかしておいている。さすがに始祖やアナスタシアのくだりは言えないことだ。
帰還方法を探すためにタロットワークの貯蔵書を調べている事は言ったけれど。
ほとんどの事を話したけれど、シオンは私を受け入れてくれた。仲を深める事で傷付くのはお互いなのに。婚約者を失った過去のあるシオンに、さらに傷を付けるのは…と思ったけれど、『それは君も同じだろ?でも俺は君もいる方を選ぶよ』とはっきり言われてしまえばもう何も言えない。
…帰るまで恋人になってほしいな、なんて都合のいい事を考えたのは私なのだから。
なのに自分は元の世界に帰るつもり、なんだから私ってかなりひどい女よね。捨てること前提で仲良くしましょう、なんて言ってるんだから…
しかし、シオンはさすがに大人の男性である。
キスが上手いよ本当に…なにそのスキル…
これまでお付き合いしてきた男性の中でもトップですわ…
「誰と比べてるのかな?」
「へっ!?」
「そんな顔をしていたけど?」
「しっ、してませんけど!」
「ふぅん?」
「その考えを読もうとするのやめて、シオン」
「・・・いいね、君の唇から俺の名前が出てくるのは」
勝てる気がしなくなってきた…
キスは気持ちいいから嫌がるのも変だし…
と、首や胸元にキスが落ちていく。手がゆっくりと体を撫でる。
「ん、シオン」
「さすがに、これ以上は不味いかな。日を改めて俺の邸に招いた時に続きをしようか」
「・・・ええと?」
「抱かれるのは嫌?」
「ず、随分はっきりと」
「君が見た目通りの若いお嬢さん、ならもっと我慢して時間をかけようと思っているけど。そうじゃないだろ?なら、もっと早く君を求めてもいいのかな、って」
求められるのは女として嬉しいのだが。
これ以上彼に溺れていいのだろうか。
頭ではそう思っているけど、胸を撫でる彼の手だとか、肌を滑る唇の感触だとかが気持ち良くて止める気になれない。
好きな男に求められる、という行為が女にとって幸せであるのは異世界だろうと変わりはしないのだ。
「ちなみに、そろそろ止めてくれないと俺が危ないんだけど、コーネリア?止める気がないのかな」
「えっ、あ、ごめんなさい、久しぶりだったからつい」
「・・・久しぶり?」
「はっ!?」
しまったまたいらん事言ったよ!!!
キスだけでなく、そういう行為自体がご無沙汰だったもんで、ついつい委ねてしまった!
ちょっと怖くてシオンと目を合わせられません。
すると、耳元で低い声が。
「・・・そこの所、もっと詳しく聞き出すべきなのかな?俺は」
「いえいえ滅相もございません!」
「そうやって敬語になる時は、だいたい隠し事をする時なんだよね、君は」
「それ以上責めないで!この体になってからはそんな事ないから!」
「・・・じゃあその前は?」
「あああああまた失言してるー!!!」
慌てる私に対し、シオンは苦笑。
頭をぽん、と叩いて身を起こす。私の乱れた胸元も直してくれた。…いつの間に外してたの?
「これ以上は俺が我慢できなくなるから、また今度」
「はい」
「いい返事だね。たくさんいい事してあげるから、ちゃんと心して来るんだよ?・・・隠してる事も全部、吐いてもらうから」
「発言が怖い!」
「冗談だよ」
帰り際、シオンは自分の使ってる香袋だよ、と私に手渡してくれた。星夜祭の時に約束した香袋。
すると、ライラがいつ用意したのか私の使っているものを渡していた。…用意のいいことで。
「ではまた、お誘いに参ります」
「はい、お待ちしています」
手を取り、甲にキスをくれる。
いつもより少し長く、見つめる瞳は甘く優しくてくすぐったかった。
周りも私達が心を交わしあった、と察したのだろう。
その事については何も聞かれずに、ただセバスが『ようございました』とだけ言ってくれた。
********************
翌朝。ゼクスさんが爆弾を投下した。
「さて、コーネリア?カイナス伯爵と婚約を進めるがよいか?」
「ぶっ!」
「何を慌てているんじゃい。セバスから心を通じ合ったようだと報告を貰っとったからいいんだろうと思ったんじゃが?」
「ななな、婚約!?ですか!?」
「そうしておけば、会うにも困らんと思うが?
カイナス伯爵には既に打診して合意を得ておる。後はコーネリアの気持ち次第としておるが・・・」
「打診して、って・・・シオンそんな事一言も」
「通常、本人にではなくその家の長に打診するものでの。星夜祭のエスコートを報告に来た際にな。・・・話したのだろう?自分が異世界から来たということを。それをカイナス伯爵は受け入れた」
「・・・はい」
「ならば問題はなかろう。今後、どのような関係を築いていくかはそなた達本人同士の話。ただ、婚約もしていない男女をいつまでも2人きりにしておくにも外聞が悪くての。
結果としてどうなるかはわからんが、婚約者同士であれば共にいてもそう下手な話題にはならん」
「わかりました、進めてください」
まあ確かに一理ある。
婚約者ならば会いに行くにも理由付けは特に要らないし。
互いにそういった申し込みがなくなる、というのは利点ではある。
ゼクスさんはセバスに目配せをし、私の前に1冊の本を出した。
「これ・・・」
「そなたが持ってきた、ネイサム・タロットワークの手記だ。こちらである程度解読をさせてもらった」
「どうでしたか?」
「残念ながら、帰還方法についてはなかった。
ただ、所々『古語』で書いてある部分がある。コーネリア、そなたにしか読めないかもしれん」
「えっ・・・」
『古語』ということは、日本語で書かれたもの。
大抵の言語は古くても魔術研究所でなんとか解読するはずだ。ゼクスさんの研究室の彼等が…
「こちらで解読した内容はこれじゃな。とはいえ、コーネリアならばこれがなくとも読めるだろうが。
これは抜粋となるからの、参考資料として読むといい」
「ありがとうございます。これって、魔術研究所で読まなくていいんですか?」
「構わんよ、ここで読むといい。今日は儂も自分の書斎で仕事しとるから、何かわかったら教えにきておくれ。
それとも、一緒に書斎に来るか?どちらでも良いぞ」
「あ、じゃあゼクスさんのお部屋にします。あそこならわからなくなっても参考になる本があるし」
「そうか、ならばセバス」
「はい、お部屋を整えますので、ゆっくりお越しください」
ゆっくり…向かってもいいんですか?
着くまでに綺麗になってるんですか?
ちょっと不安に思いながらも、ゼクスさんとのんびり話しながら向かう。時間にして数分。途中お庭を眺めたりして時間を稼いだけど、それでも数分しかたっていないはず。
ゼクスさんが扉を開くと、書斎の中にはどうやったのか私が座って本を読めるよう、一人用のロッキングチェアがある。
お茶が置けるように、ミニテーブルまでも。
「ご用意整いました」
「うむ、御苦労」
「・・・は、早い」
「これくらいの事、タロットワークの執事には容易い事でございますよ、コーネリア様」
久しぶりに聞いた、セバスの自慢。
いやほんとに貴方がたに出来ないことってあるのかしら?
座り心地のいいチェアに座り、読書を開始する私…
さて、何が書いてあるのかしら?
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