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第一章 <婚約阻止>
プロローグ <転生したら悪役令嬢でした>
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流れるような艶やかで美しい金髪、素晴らしく澄んだ淡い翡翠の瞳、真っ白な肌、整った顔立ち。
この少女の周りのもの全てが色褪せて見えるような美しい少女、ローズ・ネーションは自分の好みで統一されたふわふわのフリルだらけの部屋で新作のクッキーをつまみ、紅茶を飲んでいた。
その時ふわり、と頭の中に浮かんできた光景。
それが何かを考える間もなく、ローズの頭は記憶の洪水に溺れていった。
「? ローズ様!?」
薄れる視界の中にいる、珍しく必死な侍女のリリーを見た時、ローズの思考は途切れてしまった。
☆.。.:*・゜*:.。..。.:+・゜:.。.:*・゜+
「んん……」
ぼんやりする目を擦って、次の瞬間がばっと起きた。公爵家の令嬢としては落第だが、それを言っている暇はない。
そうだ。ここは、前世で何度も何度もやった魔法あり、恋あり、ストーリーも面白く、隠し要素なども満載の超人気乙女ゲーム、〝フラワー・キス〟の世界なのだ!
フラワー・キスのヒロインは、舞台であるブロッサム学園で、攻略対象を攻略し、恋愛、結婚する。しかし、元平民、男爵の養子であり、その身分の低さから様々な困難が降りかかる。
その攻略対象は、たしか。
王道の、ヘルビアナ国の王太子様であるアシュガ様。……ただし、若干ヤンデレだ。ちなみに私の推しはアシュガ様。アシュガ様ルートは、何回も何回もプレイした。
魔法騎士を目指しているリーゴはツンデレオレ様系。ちょっと苦手なタイプだったから一回しかプレイしていない。
シユリ公爵家の二男、レンデュラ……レン様はほんわか優しい系。アシュガ様の次に好きなキャラだ。レン様ルートも何回もプレイした。
残るは、フォル・フルレンス。彼はナルシストだったはずだ。彼のルートもあまり好きではなかった。
……そして、もうひとり。隠しキャラがいる。どうしても見つけられず、攻略サイトを見るのも嫌で、自分で見つけようとしたのだが……見つける前に死んでしまったようだ。
しかしこのゲームは、かなり難しかった。それも人気の理由のひとつなのだろうが。
好感度80以上が3人以上いないと断罪イベントは開始せず、恋人との結婚もできず、ノーマルエンドになる。
また、好感度150以上が二人以上いると断罪イベント終了後に刺されてバッドエンド。
好感度150以上が一人だとハッピーエンド、それがアシュガ様だった場合ベストエンド。
その中でヒロインは悪役令嬢にいじめられ、卒業パーティーで攻略対象と共に悪役令嬢を断罪する。
……うん?まてよ。私は、まさか。
「悪役令嬢……」
間違いない。悪役令嬢。入ったルートの攻略対象と婚約し、学園に入ってヒロインを虐め、卒業パーティーで婚約破棄されて後に処刑されるローズ・ネーション。
前世でもぜんっぜん生きられなかったみたいなのに、今世でも処刑って……。
ぜっっっっったいに、嫌だ。
今世こそ! 私は! 人生を謳歌して穏やかに逝きたいんだー!!
「婚約しなければ、いいのかしら……」
ふっと口にしたその案。問題があるなら根本から変えてしまえばいい。まだ私は婚約をしていないようだし。……攻略対象と婚約できないのはとてつもなく残念だが、背に腹はかえられない。よし、そうしましょう!
「ローズ様、目覚めたのですね」
リリーがホッとしたように声をかける。
「えぇ。でも、もう一度寝るわ……」
「ですがローズ様、もうお昼ですよ」
「おやすみリリー。」
リリーはこんなこんな私に本心を偽らずに接してくれる数少ない存在だからありがたいな、と初めて思う。でも、もう……眠い。
この少女の周りのもの全てが色褪せて見えるような美しい少女、ローズ・ネーションは自分の好みで統一されたふわふわのフリルだらけの部屋で新作のクッキーをつまみ、紅茶を飲んでいた。
その時ふわり、と頭の中に浮かんできた光景。
それが何かを考える間もなく、ローズの頭は記憶の洪水に溺れていった。
「? ローズ様!?」
薄れる視界の中にいる、珍しく必死な侍女のリリーを見た時、ローズの思考は途切れてしまった。
☆.。.:*・゜*:.。..。.:+・゜:.。.:*・゜+
「んん……」
ぼんやりする目を擦って、次の瞬間がばっと起きた。公爵家の令嬢としては落第だが、それを言っている暇はない。
そうだ。ここは、前世で何度も何度もやった魔法あり、恋あり、ストーリーも面白く、隠し要素なども満載の超人気乙女ゲーム、〝フラワー・キス〟の世界なのだ!
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その攻略対象は、たしか。
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魔法騎士を目指しているリーゴはツンデレオレ様系。ちょっと苦手なタイプだったから一回しかプレイしていない。
シユリ公爵家の二男、レンデュラ……レン様はほんわか優しい系。アシュガ様の次に好きなキャラだ。レン様ルートも何回もプレイした。
残るは、フォル・フルレンス。彼はナルシストだったはずだ。彼のルートもあまり好きではなかった。
……そして、もうひとり。隠しキャラがいる。どうしても見つけられず、攻略サイトを見るのも嫌で、自分で見つけようとしたのだが……見つける前に死んでしまったようだ。
しかしこのゲームは、かなり難しかった。それも人気の理由のひとつなのだろうが。
好感度80以上が3人以上いないと断罪イベントは開始せず、恋人との結婚もできず、ノーマルエンドになる。
また、好感度150以上が二人以上いると断罪イベント終了後に刺されてバッドエンド。
好感度150以上が一人だとハッピーエンド、それがアシュガ様だった場合ベストエンド。
その中でヒロインは悪役令嬢にいじめられ、卒業パーティーで攻略対象と共に悪役令嬢を断罪する。
……うん?まてよ。私は、まさか。
「悪役令嬢……」
間違いない。悪役令嬢。入ったルートの攻略対象と婚約し、学園に入ってヒロインを虐め、卒業パーティーで婚約破棄されて後に処刑されるローズ・ネーション。
前世でもぜんっぜん生きられなかったみたいなのに、今世でも処刑って……。
ぜっっっっったいに、嫌だ。
今世こそ! 私は! 人生を謳歌して穏やかに逝きたいんだー!!
「婚約しなければ、いいのかしら……」
ふっと口にしたその案。問題があるなら根本から変えてしまえばいい。まだ私は婚約をしていないようだし。……攻略対象と婚約できないのはとてつもなく残念だが、背に腹はかえられない。よし、そうしましょう!
「ローズ様、目覚めたのですね」
リリーがホッとしたように声をかける。
「えぇ。でも、もう一度寝るわ……」
「ですがローズ様、もうお昼ですよ」
「おやすみリリー。」
リリーはこんなこんな私に本心を偽らずに接してくれる数少ない存在だからありがたいな、と初めて思う。でも、もう……眠い。
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