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人間と死神2
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不機嫌そうに僕の後ろをついてくる紅葉。
こっそりと家を出て学校の裏山へと向かった。
「あのさ……」
「しっ! 黙ってたほうがいいよ」
「え?」
周りには犬の散歩をしているおじいさん以外誰もいなかった。
そのおじいさんが遠ざかり声が聞こえないような位置まで行った。
「なんで話しかけちゃだめなんだよ」
僕は口をとがらせて言った。
「太陽が見えているときは私の姿は冬芽にしか見えてないの。時間でいうとだいたい夜の八時から朝の6時くらいまでなら他の人にも見えるよ。だから今、私としゃべると一人でしゃべってる変な人って思われちゃうよ」
あのおじいさんにそう思われてしまったかもしれないと思うと恥ずかしくなった。
「そういう大事なことは会った日に言ってよ。困るだろ?」
僕が小声でいうと紅葉は「今、思い出したの」と言い舌をベーと出した。
多分まだ紅葉が僕に言っていないことがたくさんある。
大事なことは早く聞いておかないといけないな。
捨て猫がいる場所にだいたい十分くらいでついた。
紅葉がその猫を見た。
「かわいいー!」
そう言いながら猫に近づいた。
なんだか意外だった。
もともとは人間だったとしてもやっぱり死神だから動物のことはあまり好きではないというイメージが僕の中に勝手にあった。
でもやっぱり女の子だなと思うところはいくつかある。
例えば座るときとかは結構スカートを気にしていたり、鏡を見て見た目を気にしていたり。
やっぱりそういうところは死神になっても残っているものなんだな。
「ぼーっとしてどうしたの? 早く帰ろう」
「うん……」
そのまま二人で並んで帰った。
一言も話さずに。
こっそりと家を出て学校の裏山へと向かった。
「あのさ……」
「しっ! 黙ってたほうがいいよ」
「え?」
周りには犬の散歩をしているおじいさん以外誰もいなかった。
そのおじいさんが遠ざかり声が聞こえないような位置まで行った。
「なんで話しかけちゃだめなんだよ」
僕は口をとがらせて言った。
「太陽が見えているときは私の姿は冬芽にしか見えてないの。時間でいうとだいたい夜の八時から朝の6時くらいまでなら他の人にも見えるよ。だから今、私としゃべると一人でしゃべってる変な人って思われちゃうよ」
あのおじいさんにそう思われてしまったかもしれないと思うと恥ずかしくなった。
「そういう大事なことは会った日に言ってよ。困るだろ?」
僕が小声でいうと紅葉は「今、思い出したの」と言い舌をベーと出した。
多分まだ紅葉が僕に言っていないことがたくさんある。
大事なことは早く聞いておかないといけないな。
捨て猫がいる場所にだいたい十分くらいでついた。
紅葉がその猫を見た。
「かわいいー!」
そう言いながら猫に近づいた。
なんだか意外だった。
もともとは人間だったとしてもやっぱり死神だから動物のことはあまり好きではないというイメージが僕の中に勝手にあった。
でもやっぱり女の子だなと思うところはいくつかある。
例えば座るときとかは結構スカートを気にしていたり、鏡を見て見た目を気にしていたり。
やっぱりそういうところは死神になっても残っているものなんだな。
「ぼーっとしてどうしたの? 早く帰ろう」
「うん……」
そのまま二人で並んで帰った。
一言も話さずに。
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