84 / 90
第七章:新しい魔術士とそのパートナーの歓迎会
83 僕たちは大宴会場に到着する
しおりを挟む
自宅近くにある転送機を利用して、大宴会場のすぐ近くにある転送機に到着した。
転送機が発動する際に発生する光が収まって視界に入ってきたのは、僕の身長よりも高い壁に囲われた大きな建物。
白い壁は金と精巧なレリーフで装飾され、太陽の光を受けて輝いている。
これが大宴会場……
周囲を見渡してみたけれど、誰もいない。
門は開いていたので、とりあえず中に入ってみることにした。
石が敷き詰められた道を、スタイズさんと二人で並んで歩く。
道の両側には美しい彫像が並び、周りの芝生は綺麗に整えられていて、色とりどりの花々が咲き誇っている。
そして建物の前には大きな池があり、時折水が高く噴き上がっている。
これぞ貴族の家、って感じの風景だ。
見慣れない風景にキョロキョロしながら歩いていると、前方から黒髪の男性が近付いて来るのが見えた。
催事企画部のワートさんだ。
午前中に会った時とは違い、かっちりとした感じの貴族っぽい服装をしている。
「えっと、ようこそ。いらっしゃいませ……」
彼は笑っているけれど、少し遠慮しがちで。
催事企画部の部屋で動画を見せて貰った後に、スタイズさんと微妙な雰囲気になってそのままだったし、仕方がないのかもしれない。
するとスタイズさんがワートさんに向かって頭を下げた。
「ワートさん、先程は無礼な態度を取ってしまい、申し訳なかった。直前に足を廊下の角にぶつけてしまい、少し機嫌が悪かったんだ。大人げなくて恥ずかしい限りだよ」
ええっ!???
僕は思わずスタイズさんの方を見てしまった。
もちろん彼は、足をぶつけたりはしていない。
あの時の態度を、嘘で誤魔化そうとしているのだろうけど、ちょっとそれは無理があるような???
ワートさん的にはどうなんだろう、と思いつつ彼の方に視線を向けると、彼は困惑した様子を見せながら、ゆっくりと頭を下げた。
「しかし、俺の兄が私怨で貴方に酷いことをして、その結果バッフェム家から除籍されることになったわけで……」
するとスタイズさんがワートさんに近付いて、彼の右肩にポンと手を乗せた。
「言っただろう。ストなんとかという名前には覚えは無いと。あなたの兄とは何の関係も無いのに、勘違いでそんなことを言われても困るよ」
その言葉でワートさんは顔を上げたけれど、眉を顰めて口を開いたまま何も言えないでいる。
僕たちの間に沈黙が走る。
スタイズさんは無関係の別人だと言い張るつもりなのかな?
どうなるんだろう……
二人の様子を見ていると、ワートさんがまた頭を下げた。
「承知いたしました。俺の勘違いで変なことを言ってしまって、申し訳ありません」
「よし。この話はこれで終わりにしよう。この後の歓迎会ではよろしく頼むよ!」
「は、はい。任せて下さい!!」
スタイズさんが笑顔でワートさんの肩をバンバンと叩くと、ワートさんの顔に笑みが戻った。
きっと彼はストライズ・バッフェムという人が除籍されたのは知っていても、改名後の名前は知らないのだろう。
何か良い感じに終わったっぽいので、僕はほっと胸を撫でおろした。
ワートさんに先導されて建物に入ったけれど、やはりというか屋内も装飾過多の豪華なものだ。
フカフカのカーペットの上を歩いていると、ある部屋の前で足が止まった。
「ここが控室です」
彼がそう言ってノックをした後、ドアが開かれた。
部屋の中には四人の若い男性がいたのだけれど、僕たちの方を見てすぐに床に片膝をついて頭を下げた。
皆スラっとしていて、控えめな装飾のついた服を着ている、お洒落な感じの人たちだ。
そのうちの一人、綺麗な黒髪を後ろに流している男性が顔を上げて、爽やかな笑顔を見せてくれた。
「セルテ様、スタイズ様、初めまして。美容部部長のパルミロと申します。本日はお二方のお着替えを担当させていただきますので、よろしくお願いいたします」
「は、初めまして、セルテです。今日は、よろしくお願いします……」
「初めまして、スタイズです。よろしく」
装飾過多な部屋の中央にはテーブルとソファーがあり、その横には人型の模型に服が着せられたものが二つある。
一つは小さく、緑を基調としていて、金色の刺繍が沢山された凄く豪華なもの……こっちが僕のものだ。
もう一つは大きく、紺色を基調としてもので、僕のよりも少し控えめな感じで銀色の刺繍がされたもの……これはスタイズさんの方だろう。
スタイズさんとの面談が終わった後に、美容部の人が医務室に来て衣装について聞いてきたことがあった。
参考までにとパーティー用衣装の見本写真をいくつか見せられたんだけど、どれが良いのか決めきれなかったので、お任せすることにしたんだった。
一応、完成した服装の写真は事前に見せて貰っていたのだけれど、着るのは初めてだ。
僕は美容部の人たちの手を借りながら用意された衣装に着替えて、その後、髪の毛と顔を整えて貰った。
大きな鏡に映る姿は、まるでどこかの国の王子様かと思ってしまうような、高貴な雰囲気を纏っている。
こ、これが自分なのか?
鏡に映る自分の姿を見ていると、自分の後ろに紺色が映るのが見えた。
振り返ると、着替え終わったスタイズさんが立っている。
転送機が発動する際に発生する光が収まって視界に入ってきたのは、僕の身長よりも高い壁に囲われた大きな建物。
白い壁は金と精巧なレリーフで装飾され、太陽の光を受けて輝いている。
これが大宴会場……
周囲を見渡してみたけれど、誰もいない。
門は開いていたので、とりあえず中に入ってみることにした。
石が敷き詰められた道を、スタイズさんと二人で並んで歩く。
道の両側には美しい彫像が並び、周りの芝生は綺麗に整えられていて、色とりどりの花々が咲き誇っている。
そして建物の前には大きな池があり、時折水が高く噴き上がっている。
これぞ貴族の家、って感じの風景だ。
見慣れない風景にキョロキョロしながら歩いていると、前方から黒髪の男性が近付いて来るのが見えた。
催事企画部のワートさんだ。
午前中に会った時とは違い、かっちりとした感じの貴族っぽい服装をしている。
「えっと、ようこそ。いらっしゃいませ……」
彼は笑っているけれど、少し遠慮しがちで。
催事企画部の部屋で動画を見せて貰った後に、スタイズさんと微妙な雰囲気になってそのままだったし、仕方がないのかもしれない。
するとスタイズさんがワートさんに向かって頭を下げた。
「ワートさん、先程は無礼な態度を取ってしまい、申し訳なかった。直前に足を廊下の角にぶつけてしまい、少し機嫌が悪かったんだ。大人げなくて恥ずかしい限りだよ」
ええっ!???
僕は思わずスタイズさんの方を見てしまった。
もちろん彼は、足をぶつけたりはしていない。
あの時の態度を、嘘で誤魔化そうとしているのだろうけど、ちょっとそれは無理があるような???
ワートさん的にはどうなんだろう、と思いつつ彼の方に視線を向けると、彼は困惑した様子を見せながら、ゆっくりと頭を下げた。
「しかし、俺の兄が私怨で貴方に酷いことをして、その結果バッフェム家から除籍されることになったわけで……」
するとスタイズさんがワートさんに近付いて、彼の右肩にポンと手を乗せた。
「言っただろう。ストなんとかという名前には覚えは無いと。あなたの兄とは何の関係も無いのに、勘違いでそんなことを言われても困るよ」
その言葉でワートさんは顔を上げたけれど、眉を顰めて口を開いたまま何も言えないでいる。
僕たちの間に沈黙が走る。
スタイズさんは無関係の別人だと言い張るつもりなのかな?
どうなるんだろう……
二人の様子を見ていると、ワートさんがまた頭を下げた。
「承知いたしました。俺の勘違いで変なことを言ってしまって、申し訳ありません」
「よし。この話はこれで終わりにしよう。この後の歓迎会ではよろしく頼むよ!」
「は、はい。任せて下さい!!」
スタイズさんが笑顔でワートさんの肩をバンバンと叩くと、ワートさんの顔に笑みが戻った。
きっと彼はストライズ・バッフェムという人が除籍されたのは知っていても、改名後の名前は知らないのだろう。
何か良い感じに終わったっぽいので、僕はほっと胸を撫でおろした。
ワートさんに先導されて建物に入ったけれど、やはりというか屋内も装飾過多の豪華なものだ。
フカフカのカーペットの上を歩いていると、ある部屋の前で足が止まった。
「ここが控室です」
彼がそう言ってノックをした後、ドアが開かれた。
部屋の中には四人の若い男性がいたのだけれど、僕たちの方を見てすぐに床に片膝をついて頭を下げた。
皆スラっとしていて、控えめな装飾のついた服を着ている、お洒落な感じの人たちだ。
そのうちの一人、綺麗な黒髪を後ろに流している男性が顔を上げて、爽やかな笑顔を見せてくれた。
「セルテ様、スタイズ様、初めまして。美容部部長のパルミロと申します。本日はお二方のお着替えを担当させていただきますので、よろしくお願いいたします」
「は、初めまして、セルテです。今日は、よろしくお願いします……」
「初めまして、スタイズです。よろしく」
装飾過多な部屋の中央にはテーブルとソファーがあり、その横には人型の模型に服が着せられたものが二つある。
一つは小さく、緑を基調としていて、金色の刺繍が沢山された凄く豪華なもの……こっちが僕のものだ。
もう一つは大きく、紺色を基調としてもので、僕のよりも少し控えめな感じで銀色の刺繍がされたもの……これはスタイズさんの方だろう。
スタイズさんとの面談が終わった後に、美容部の人が医務室に来て衣装について聞いてきたことがあった。
参考までにとパーティー用衣装の見本写真をいくつか見せられたんだけど、どれが良いのか決めきれなかったので、お任せすることにしたんだった。
一応、完成した服装の写真は事前に見せて貰っていたのだけれど、着るのは初めてだ。
僕は美容部の人たちの手を借りながら用意された衣装に着替えて、その後、髪の毛と顔を整えて貰った。
大きな鏡に映る姿は、まるでどこかの国の王子様かと思ってしまうような、高貴な雰囲気を纏っている。
こ、これが自分なのか?
鏡に映る自分の姿を見ていると、自分の後ろに紺色が映るのが見えた。
振り返ると、着替え終わったスタイズさんが立っている。
4
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる