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第五章:初めての魔法の訓練
59 僕は時間が巻き戻ったのかと思ってしまった
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三年後に魔王という存在が誕生し、人類はモンスターと呼ばれる怪物の脅威に怯えて生きるようになるらしい。
そして魔法でしか倒せないということで、魔術士である僕はそいつらと戦わないといけなくなる。
エイシア様曰く、今の魔術士にできることは、その時に向けて戦闘訓練をしたり、魔道武器の開発を進めることだそうだ。
魔王と言えば、冒険ものの娯楽小説に悪役としてよく登場する存在だ。
勇者が仲間と旅をして最終的に魔王を倒す……好きな部類の話ではあるけれど、あくまでそれは架空の物語だから好きなだけで。
実際に自分が同じようなことをしたいかと言うと、そんなことはない。
未来の記憶を持った人たちの知識を活用して、魔王の復活自体を阻止することができるといいのだけど……
エイシア様がスタイズさんの方に鋭い視線を向けた。
「スタイズよ、お前に教えておくことがある」
「はい」
「セルテの方に右手の掌を向けて『プーニ・ヴァン』と叫ぶのだ」
魔法の呪文っぽいけれど、魔術士じゃないスタイズさんがそれを言って何になるんだろう?
スタイズさんが困惑した様子で一瞬僕の方を見た後、エイシア様の方を見る。
「呪文ですか? セルテ君ではなく……私が?」
「そうだ。さっさとしろ、ぶっ飛ばすぞ」
苛ついた様子のエイシア様に言われたスタイズさんは、眉を顰めながら掌を僕の方に向けて「プーニ・ヴァン」と叫んだ。
次の瞬間、目の前が真っ白になると同時に僕の身体に強い衝撃が走った。
そして光が収まると、視界の全てが空……地面に仰向けで倒れている!??
「セルテ君!!」
視界の端にスタイズさんが見える。
あれ? 彼の方に視線を向けたいのに、眼球を動かすことができない。
「しっかりしろ!! 返事をしてくれ!!!」
彼が僕の両肩を掴み、僕を見て、必死に呼びかけてくれている。
僕は返事をしたいのに声を出すことができないし、指先すら動かすことができない。
……どういうことだ!?
辛うじて呼吸はできるけれど、身体を動かすことが全くできず、次第に視界が暗くなって、何も聞こえなくなって、手足が燃えるように熱くなってきて……
えっ、ちょっと、あああ熱い熱い熱い熱い!
見えないけど何が起こっているんだ!?
何なんだよこれ!!
どうして身体が動かないんだよ!!!
熱い熱い熱い!!
どんどん広がってる!?
早く何とかしないと!!
二人とも、僕の身体が燃えてるなら早く消してよ!!
痛い痛い痛い痛い!!!
このままじゃ死ぬって!!
お願いだから早く助けてよ!!
うああああ嫌だああ!
まだ死にたくない!!
助けてスタイズさん!!!
……場面が変わり、僕は柔らかいものに包まれていて……ベッドに横たわっていた。
起き上がろうとしても、身体が動かない。
何とか頭を動かして辺りの様子を伺う。
真っ白な壁に、シンプルで白い家具……ここは医務室か?
さっきまでの激痛がまるで嘘のように、消えてしまっている。
「あっ! セルテ様、目覚められたのですね!」
声がする方に視線を向けると、少し離れたところに女性が立っていた。
肩ぐらいの長さの金髪に、青色の瞳で、白い服を着ていて……この人は看護士のイズリーさんだ。
あれ? この状況……
覚えがあるような気がして思い返すと、僕が魔術士になる為の儀式をした直後の状況に似ていることに気が付いた。
もしかしてさっきので僕は死んでしまって、記憶を持ったまま時間が巻き戻った?
でも「世界の管理者」とかいう人には会っていないし……
イズリーさんが穏やかな表情で、仰向けになっていた僕を横向きに変えてくれた。
「しんどいと思いますが、あと三時間程で解消されるはずです。セルテ様のお身体の状態は常に魔道具で測定していますし、時々こうして様子を見に来ますので、ご安心ください」
彼女はそう言って部屋を出ていってしまった。
うーん、儀式が終わった直後にこんな言葉を言われた記憶はないから、巻き戻りではないのか?
あ、でも、時間が巻き戻ったからと言って、全く同じ展開になるとは限らないのかも……?
隣にあるベッドを見ると、僕に背を向ける形で茶髪の男性が眠っているのに気が付いた。
そして魔法でしか倒せないということで、魔術士である僕はそいつらと戦わないといけなくなる。
エイシア様曰く、今の魔術士にできることは、その時に向けて戦闘訓練をしたり、魔道武器の開発を進めることだそうだ。
魔王と言えば、冒険ものの娯楽小説に悪役としてよく登場する存在だ。
勇者が仲間と旅をして最終的に魔王を倒す……好きな部類の話ではあるけれど、あくまでそれは架空の物語だから好きなだけで。
実際に自分が同じようなことをしたいかと言うと、そんなことはない。
未来の記憶を持った人たちの知識を活用して、魔王の復活自体を阻止することができるといいのだけど……
エイシア様がスタイズさんの方に鋭い視線を向けた。
「スタイズよ、お前に教えておくことがある」
「はい」
「セルテの方に右手の掌を向けて『プーニ・ヴァン』と叫ぶのだ」
魔法の呪文っぽいけれど、魔術士じゃないスタイズさんがそれを言って何になるんだろう?
スタイズさんが困惑した様子で一瞬僕の方を見た後、エイシア様の方を見る。
「呪文ですか? セルテ君ではなく……私が?」
「そうだ。さっさとしろ、ぶっ飛ばすぞ」
苛ついた様子のエイシア様に言われたスタイズさんは、眉を顰めながら掌を僕の方に向けて「プーニ・ヴァン」と叫んだ。
次の瞬間、目の前が真っ白になると同時に僕の身体に強い衝撃が走った。
そして光が収まると、視界の全てが空……地面に仰向けで倒れている!??
「セルテ君!!」
視界の端にスタイズさんが見える。
あれ? 彼の方に視線を向けたいのに、眼球を動かすことができない。
「しっかりしろ!! 返事をしてくれ!!!」
彼が僕の両肩を掴み、僕を見て、必死に呼びかけてくれている。
僕は返事をしたいのに声を出すことができないし、指先すら動かすことができない。
……どういうことだ!?
辛うじて呼吸はできるけれど、身体を動かすことが全くできず、次第に視界が暗くなって、何も聞こえなくなって、手足が燃えるように熱くなってきて……
えっ、ちょっと、あああ熱い熱い熱い熱い!
見えないけど何が起こっているんだ!?
何なんだよこれ!!
どうして身体が動かないんだよ!!!
熱い熱い熱い!!
どんどん広がってる!?
早く何とかしないと!!
二人とも、僕の身体が燃えてるなら早く消してよ!!
痛い痛い痛い痛い!!!
このままじゃ死ぬって!!
お願いだから早く助けてよ!!
うああああ嫌だああ!
まだ死にたくない!!
助けてスタイズさん!!!
……場面が変わり、僕は柔らかいものに包まれていて……ベッドに横たわっていた。
起き上がろうとしても、身体が動かない。
何とか頭を動かして辺りの様子を伺う。
真っ白な壁に、シンプルで白い家具……ここは医務室か?
さっきまでの激痛がまるで嘘のように、消えてしまっている。
「あっ! セルテ様、目覚められたのですね!」
声がする方に視線を向けると、少し離れたところに女性が立っていた。
肩ぐらいの長さの金髪に、青色の瞳で、白い服を着ていて……この人は看護士のイズリーさんだ。
あれ? この状況……
覚えがあるような気がして思い返すと、僕が魔術士になる為の儀式をした直後の状況に似ていることに気が付いた。
もしかしてさっきので僕は死んでしまって、記憶を持ったまま時間が巻き戻った?
でも「世界の管理者」とかいう人には会っていないし……
イズリーさんが穏やかな表情で、仰向けになっていた僕を横向きに変えてくれた。
「しんどいと思いますが、あと三時間程で解消されるはずです。セルテ様のお身体の状態は常に魔道具で測定していますし、時々こうして様子を見に来ますので、ご安心ください」
彼女はそう言って部屋を出ていってしまった。
うーん、儀式が終わった直後にこんな言葉を言われた記憶はないから、巻き戻りではないのか?
あ、でも、時間が巻き戻ったからと言って、全く同じ展開になるとは限らないのかも……?
隣にあるベッドを見ると、僕に背を向ける形で茶髪の男性が眠っているのに気が付いた。
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