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第四章:新生活の始まり
39 僕はスタイズさんと再会する
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それから一時間ほどして散髪は終わった。
切った髪の毛を払ってもらった後、整髪料で髪に動きを付けてもらい、ついでに眉も綺麗に整えてもらう。
鏡に映る僕……爽やかで、大人っぽくて、我ながら格好良い感じに仕上がったんじゃないかな。
まるで自分じゃないみたいだ……って、白髪だから余計にそう思ってしまうのだろうけれど。
スタイズさんはもう手続きを済ませて、医務室に来ているのだろうか?
早く彼に会いたい。
アレンさんとイズリーさんが面談室を出て行ったあと、僕は急いで魔術士の制服に着替えて部屋を出た。
駆け足で医務室に入ると、青い服を着た茶髪の大柄な男性が複数の看護士さんに囲まれて、穏やかな雰囲気で話をしていた。
スタイズさんだ! そう思った瞬間、彼が僕に気付いたようで、満面の笑みで手を振って僕の元に駆け寄ってきたんだ。
「セルテ君、こんにちは! 元気そうでなによりだ」
スタイズさんは膝を曲げて目線を僕に合わせてくれた。
澄んだ草色の瞳で見つめられて、彼に頭をポンポンとされると、それだけで心が明るくなって、ふわふわとした気分になる。
「はい。スタイズさんも、お元気そうで、良かったです」
「散髪してたんだってな。以前会った時は優しげな印象だったが、今のは何と言うか元気な感じで、これはこれで格好良くて素敵だと思うぞ!」
「そ、そうですか? えへへ……」
力強く褒めてもらえるのは嬉しい反面、直接的過ぎて少し恥ずかしくもある。
僕は熱くなった顔を見られないように、下を向いてしまった。
その時、一人の女性看護士さんの声が聞こえてきたんだ。
「うわー、『仲良し親子』って感じで、とっても良いですね!」
え??? 仲良し親子???
そういえば「親子」で思い出したけれど、僕の親権はスタイズさんが持つことになるんだっけ。
……ということは、この国の法律的には、僕とスタイズさんは親子のような関係になるのか。
元々スタイズさんは孤児を引き取ることを考えていて、それで僕のパートナーになる話を引き受けることにしたと言っていた。
年齢差は十八もあるし、彼が「親子」という関係を望んでいるんだとしたら、僕は彼のことを「父さん」と呼んだ方が良いのだろうか?
「と、と……さん」
試しに彼の方を向いて小声で口にしてみたけれど、その直後に「違う!」と思ってしまった。
僕にとっての「父親」は、亡くなった父さん――歴史学者のカーレム・ラファレトであって、スタイズさんじゃない。
この人を「父さん」と呼ぶなんて、僕にはできない。
僕は両目をぎゅっと瞑り、彼に背を向けてしまった。
「ん? 何だって? すまない、良く聞こえなかったのだが……」
スタイズさんの困った感じの声が聞こえてきた。
聞かれてなかったことに安堵した直後……
「もしかして『父さん』って言ったんじゃないですか? 照れているセルテ様、可愛いですね!」
女性看護士さんの明るい声が聞こえてきた。
せっかく聞こえてなかったのに、余計なこと言うなよ!!
切った髪の毛を払ってもらった後、整髪料で髪に動きを付けてもらい、ついでに眉も綺麗に整えてもらう。
鏡に映る僕……爽やかで、大人っぽくて、我ながら格好良い感じに仕上がったんじゃないかな。
まるで自分じゃないみたいだ……って、白髪だから余計にそう思ってしまうのだろうけれど。
スタイズさんはもう手続きを済ませて、医務室に来ているのだろうか?
早く彼に会いたい。
アレンさんとイズリーさんが面談室を出て行ったあと、僕は急いで魔術士の制服に着替えて部屋を出た。
駆け足で医務室に入ると、青い服を着た茶髪の大柄な男性が複数の看護士さんに囲まれて、穏やかな雰囲気で話をしていた。
スタイズさんだ! そう思った瞬間、彼が僕に気付いたようで、満面の笑みで手を振って僕の元に駆け寄ってきたんだ。
「セルテ君、こんにちは! 元気そうでなによりだ」
スタイズさんは膝を曲げて目線を僕に合わせてくれた。
澄んだ草色の瞳で見つめられて、彼に頭をポンポンとされると、それだけで心が明るくなって、ふわふわとした気分になる。
「はい。スタイズさんも、お元気そうで、良かったです」
「散髪してたんだってな。以前会った時は優しげな印象だったが、今のは何と言うか元気な感じで、これはこれで格好良くて素敵だと思うぞ!」
「そ、そうですか? えへへ……」
力強く褒めてもらえるのは嬉しい反面、直接的過ぎて少し恥ずかしくもある。
僕は熱くなった顔を見られないように、下を向いてしまった。
その時、一人の女性看護士さんの声が聞こえてきたんだ。
「うわー、『仲良し親子』って感じで、とっても良いですね!」
え??? 仲良し親子???
そういえば「親子」で思い出したけれど、僕の親権はスタイズさんが持つことになるんだっけ。
……ということは、この国の法律的には、僕とスタイズさんは親子のような関係になるのか。
元々スタイズさんは孤児を引き取ることを考えていて、それで僕のパートナーになる話を引き受けることにしたと言っていた。
年齢差は十八もあるし、彼が「親子」という関係を望んでいるんだとしたら、僕は彼のことを「父さん」と呼んだ方が良いのだろうか?
「と、と……さん」
試しに彼の方を向いて小声で口にしてみたけれど、その直後に「違う!」と思ってしまった。
僕にとっての「父親」は、亡くなった父さん――歴史学者のカーレム・ラファレトであって、スタイズさんじゃない。
この人を「父さん」と呼ぶなんて、僕にはできない。
僕は両目をぎゅっと瞑り、彼に背を向けてしまった。
「ん? 何だって? すまない、良く聞こえなかったのだが……」
スタイズさんの困った感じの声が聞こえてきた。
聞かれてなかったことに安堵した直後……
「もしかして『父さん』って言ったんじゃないですか? 照れているセルテ様、可愛いですね!」
女性看護士さんの明るい声が聞こえてきた。
せっかく聞こえてなかったのに、余計なこと言うなよ!!
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