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第二章:アータイン魔術研究所
22 僕の人生を大きく狂わせた人たち
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しばらくの間泣き続けて疲れてしまったので、今は布団の中で目を閉じている。
身体が動かないから何もできないけれど、頭の中がグルグルとしていて、眠ることができない。
「セルテ様」
優し気な声が聞こえて目を開けると、金髪の女性――さっきの看護士さんがベッドのそばに立っていた。
ずっと同じ態勢で寝ていると良くないということで、身体の向きを変えてくれたんだ。
「今回の件に関わった、あなたの叔母様……事務員のステラ・メトロックのところに行って来ました。あなたと直接会って話をすることは拒否されましたが、話を聞くことはできました。今更何を聞いても、セルテ様の気は晴れないでしょうけど、ステラの言葉を聞いてみたいですか?」
会ったことのない叔母さん……本名だって今初めて知った。
一応血縁者ではあるけれど、赤の他人同然の人だ。
何を考えていたのか気になる。
僕が小さく頷くと、看護士さんがゆっくりと落ち着いた様子で話し始めた……
僕が生まれる前のこと。
母さんの実家は金銭的に困っていたけれど、母さんが父さんと結婚することで、母さんの実家は父さん側のお祖父さんから結構な支援を受けることが出来た。
そのおかげで叔母さんは生活に困ることがなくなり、貴族やお金持ちしか通うことが出来ない高等学校に通うことができて、国の機関である魔術研究所に勤めることができたそうだ。
母さんと実家の縁は切れてしまったけれど、叔母さんは母さんに対して恩を感じていることから、手紙のやり取りを続けていたらしい。
叔母さんは母さんから僕を引き取るように手紙で頼まれた時、最初は恩返しで僕を引き取ることを考えたそうだ。
だけど、研究所の職員である夫や子供に猛反対されてしまったそうで、諦めるしかなかったらしい。
そこで母さんを助けたいと思った叔母さんは、三十ある魔術士の枠が一つ空いているところに僕を捻じ込むことを考えた……
魔術士は「パートナー」と呼ばれる成人と二人組で活動することになっているそうだ。
親権はパートナーが持つことになるので、僕が魔術士になれば、母さんは親権を問題なく手放すことが出来る。
叔母さん曰く、ちゃんと説明はした、騙したのは母さんであって、私は悪くないとのことだ。
看護士さんの話が終わり、僕は何とも言えない感情に襲われてしまった。
多分、母さんから正直に魔術士になるように言われても、僕は絶対に応じなかったと思う。
だから父さんを生き返らせると言って騙したんだ……。
母さんは最低だ。
恋人と一緒になりたいが為だけに、子どもである僕の人生を大きく狂わせた。
たった三年……どうして我慢できなかったんだよ。
文句を言いたくても、壁の外に出ることが出来ない僕は、二度と母さんと会うことができない。
そのうち引っ越すだろうから、手紙を出したって届かないだろうし、奇跡的に届いてもきっと破り捨てられるだけだ。
身体が動かないから何もできないけれど、頭の中がグルグルとしていて、眠ることができない。
「セルテ様」
優し気な声が聞こえて目を開けると、金髪の女性――さっきの看護士さんがベッドのそばに立っていた。
ずっと同じ態勢で寝ていると良くないということで、身体の向きを変えてくれたんだ。
「今回の件に関わった、あなたの叔母様……事務員のステラ・メトロックのところに行って来ました。あなたと直接会って話をすることは拒否されましたが、話を聞くことはできました。今更何を聞いても、セルテ様の気は晴れないでしょうけど、ステラの言葉を聞いてみたいですか?」
会ったことのない叔母さん……本名だって今初めて知った。
一応血縁者ではあるけれど、赤の他人同然の人だ。
何を考えていたのか気になる。
僕が小さく頷くと、看護士さんがゆっくりと落ち着いた様子で話し始めた……
僕が生まれる前のこと。
母さんの実家は金銭的に困っていたけれど、母さんが父さんと結婚することで、母さんの実家は父さん側のお祖父さんから結構な支援を受けることが出来た。
そのおかげで叔母さんは生活に困ることがなくなり、貴族やお金持ちしか通うことが出来ない高等学校に通うことができて、国の機関である魔術研究所に勤めることができたそうだ。
母さんと実家の縁は切れてしまったけれど、叔母さんは母さんに対して恩を感じていることから、手紙のやり取りを続けていたらしい。
叔母さんは母さんから僕を引き取るように手紙で頼まれた時、最初は恩返しで僕を引き取ることを考えたそうだ。
だけど、研究所の職員である夫や子供に猛反対されてしまったそうで、諦めるしかなかったらしい。
そこで母さんを助けたいと思った叔母さんは、三十ある魔術士の枠が一つ空いているところに僕を捻じ込むことを考えた……
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親権はパートナーが持つことになるので、僕が魔術士になれば、母さんは親権を問題なく手放すことが出来る。
叔母さん曰く、ちゃんと説明はした、騙したのは母さんであって、私は悪くないとのことだ。
看護士さんの話が終わり、僕は何とも言えない感情に襲われてしまった。
多分、母さんから正直に魔術士になるように言われても、僕は絶対に応じなかったと思う。
だから父さんを生き返らせると言って騙したんだ……。
母さんは最低だ。
恋人と一緒になりたいが為だけに、子どもである僕の人生を大きく狂わせた。
たった三年……どうして我慢できなかったんだよ。
文句を言いたくても、壁の外に出ることが出来ない僕は、二度と母さんと会うことができない。
そのうち引っ越すだろうから、手紙を出したって届かないだろうし、奇跡的に届いてもきっと破り捨てられるだけだ。
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