ヨシキとゼロ

ミミヨシ

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世界の終わり

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町長の家は街の中央にあるでかくて立派な家だった。
ヨシキは門をくぐり、チャイムをならした。
「はーい」割烹着を着た20代後半くらいの髪の長い女がドアを開けた。「どちらさまでしょう?」
「すまん、町長に用事があってきた。俺はヨシキという。町長は俺の事を知ってるはずだ」
「ちょっと待ってくださいねー」割烹着の女は奥の階段を上って行った。
しばらくして少し前の方が禿げていて白髪の老人が階段を下りてきた。
「これはこれは、ヨシキ殿。久しぶりですの」老人は笑顔で迎えてくれた。「さあ、上がってください」老人は奥の居間へと案内した。
広々とした居間には高級そうな装飾が施されたテーブルに、これまた高級そうなソファー、馬鹿でかいテレビなどがあった。ヨシキはソファーに座った。
「何か飲みますかな?おーい、ヨシキ殿にコーヒーを」
「いや、水で構わない」
「そうですか。それじゃ水を頼むー」そう老人は台所にいる若い女に向かって言い、そしてロッキングチェアーに座った。
「久しぶりに見て元気そうで何よりじゃよ。ところで用事って何ですかな?」ヨシキの水と老人のコーヒーがテーブルに置かれた。
ヨシキは水を一口口に含み、話し始めた。「仲間を探しにきた。アンドロイドどもを倒すための」
「ほお、アンドロイドを倒すとな。また大胆なこと考えたもんですな」老人はタバコに火をつけた。「それで、どんな者をお探しで」
「強ければ何でもいい。男でも女でも子供でも構わん」
「なるほど、それでは今この街で一番強いと言われているジャックはどうじゃろ?」
「ジャック…。あああいつなら力量は十分足りる。そいつを頼む」
この街では年に一回格闘技の大会がある。ジャックは去年のチャンピオンだ。その格闘大会ではルールは一つだけ。相手が降参したら勝ち。それ以外のルールはなく、武器を使ってもいい。一対一とも限らない。
「それじゃ声を掛けておこう。今スケート場にいるかもしれん。この季節になると毎日滑っておるからの」老人はタバコを灰皿で消し、よっこいしょっと立ち上がった。
ヨシキも立ち上がり、二人はスケート場へ向かうことにした。
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