ヨシキとゼロ

ミミヨシ

文字の大きさ
上 下
3 / 42
世界の終わり

3

しおりを挟む
テレビにはアンドロイド達が体を張ってサーカスをやるというバラエティ番組が流されていた。
「くだらない」ヨシキはしかめっ面でその番組を見ていた。
明日はまた隆と話すか、そう考えながら寝床に着いた。

次の日またこの前に行った公園へと向かった。
公園のような自然が残っているところの方がテレパシーはよく通じる。
ベンチに腰掛けテレパシーに集中する。
「おい、俺だヨシキだ」高宮隆に話しかける。
「えっ何?また聞こえてきた」隆は学校で友達と昼食を取っているところだった。
友達の一人が「どうした?隆。なんも言ってないけど」と怪訝そうな顔で聞いてきた。
「あっなんでもない。ちょっとトイレ行ってくる」そう言って走ってトイレへと駆け込んだ。
個室に入る。「またあなたですか?幻聴が聞こえるようになっちゃったのかな俺」
「幻聴ではない。未来からテレパシーを送っている。心配するな」ヨシキが言った。
「テレパシー?マジかよ」と言って便座に腰掛けた。「それで、なんか俺に用事でもあるんですか?」
「ああ、お前に助けて欲しくて話しかけている。近い将来お前は優秀な科学者となってアンドロイド開発をする事になる。そのアンドロイドが未来暴れ出し戦争が起きる。だからお前に頼みたいことがある」
「確かにロボットの研究は今学校でしてますけど、アンドロイドなんて遠い未来の話でまだまだ科学はそこまで言ってませんよ。ホントなんですか?その話」
「本当だ。20××年のこっちでは政府もアンドロイドに乗っ取られて人間は貧しい生活をしている。俺は王として人民を助けなければならない」
「王…」隆は王という言葉がピンとこなかったが、真剣に聞く事にした。「それで頼みって何ですか?」
「世界中のアンドロイドの開発を止めて欲しい」
「えっ?アンドロイドの開発をですか?今ロボット開発は未来を変える最先端の研究ですよ?それをただの学生の俺が止められるわけ無いじゃないですか。だいたい僕は小さい頃からの夢でもあったんです。それを止めろだなんて」
「お前が将来アンドロイドの頭脳を世界で初めて開発するのだ。その研究をお前が辞めればいいだけだ」
「そんな。俺は辞めないですよ。未来の為に働きたい、その気持ちだけで今まで生きてきたんだから!」隆は立ち上がって声を荒げた。
「そう言うと思った。それでは仕方ないな。命は無いと思え」そう言い放ってヨシキはテレパシーを終えた。
「ん!?最後の言葉は脅迫か?まあいいや、どうせただのテレパシーだし。王とか言ってるけど胡散臭いし」そう独り言を言って隆はトイレを出た。変な汗かいちゃったなあ、友達にバレないようにしないと。そう思いながら汗を拭い席へ戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

西涼女侠伝

水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超  舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。  役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。  家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。  ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。  荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。  主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。  三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)  涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ラビリンス・シード

天界
SF
双子と一緒にVRMMOうさー

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【淀屋橋心中】公儀御用瓦師・おとき事件帖  豪商 VS おとき VS 幕府隠密!三つ巴の闘いを制するのは誰?

海善紙葉
歴史・時代
●青春真っ盛り・話題てんこ盛り時代小説 現在、アルファポリスのみで公開中。 *️⃣表紙イラスト︰武藤 径 さん。ありがとうございます、感謝です🤗 武藤径さん https://estar.jp/users/157026694 タイトル等は紙葉が挿入しました😊 ●おとき。17歳。「世直しおとき」の異名を持つ。 ●おときの幼馴染のお民が殺された。役人は、心中事件として処理しようとするが、おときはどうしても納得できない。 お民は、大坂の豪商・淀屋辰五郎の妾になっていたという。おときは、この淀辰が怪しいとにらんで、捜査を開始。 ●一方、幕閣の柳沢吉保も、淀屋失脚を画策。実在(史実)の淀屋辰五郎没落の謎をも巻き込みながら、おときは、モン様こと「近松門左衛門」と二人で、事の真相に迫っていく。 ✳おおさか 江戸時代は「大坂」の表記。明治以降「大阪」表記に。物語では、「大坂」で統一しています。 □主な登場人物□ おとき︰主人公 お民︰おときの幼馴染 伊左次(いさじ)︰寺島家の職人頭。おときの用心棒、元武士 寺島惣右衛門︰公儀御用瓦師・寺島家の当主。おときの父。 モン様︰近松門左衛門。おときは「モン様」と呼んでいる。 久富大志郎︰23歳。大坂西町奉行所同心 分部宗一郎︰大坂城代土岐家の家臣。城代直属の市中探索目附 淀屋辰五郎︰なにわ長者と呼ばれた淀屋の五代目。淀辰と呼ばれる。 大曽根兵庫︰分部とは因縁のある武士。 福島源蔵︰江戸からやってきた侍。伊左次を仇と付け狙う。 西海屋徳右衛門︰ 清兵衛︰墨屋の職人 ゴロさん︰近松門左衛門がよく口にする謎の人物 お駒︰淀辰の妾

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

処理中です...