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仲間のためなら
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雨が降り珍しく1年と3年の4クラスが合同で体育館で体育をすることになったのだが、4クラスも体育館に集合すれば、いつもより窮屈に感じられる。
「颯斗、祐一のクラスって強かったっけ?」
「あぁ、バスケ部のレギュラーが多いって言ってたけど」
学年別で自由にチームを作っている時に、颯斗の一言で負けたような表情をしてしまう。
遥は自分から聞いた事に後悔するが、颯斗はどうってことない顔をしていた。
「おい、お前ら早く決めろ!」
「あの、実は………」
遥は、先生に軽く事情を話せば困ったような顔をされてしまう。
「よし、1チームでも優勝したらジュース奢ってやるから早くチーム作れ!」
その言葉を聞くやいなや、颯斗以外はやる気を出し素早くチームを作り試合に挑(いど)みだした。
初めの内は燃え上がっていた1年軍は、後半に連れて3年軍に徐々に負けてしまいテンションが下がり切っていた。
「みんな、まだ希望はあるんだから元気出して」
「中村のチームと、今戦ってるチームだけじゃん勝ってんの」
励ましても颯斗と遥のチームに、今3年と戦ってるチームしか残っていないことに不服のようで、遥はどうしていいのか分からず立ち尽くしていた。
ふと、喉が渇いた遥は飲み物を飲みに行こうと体育館の入り口へ歩き出した時のことだ。
「遥、危ないっ」
「へ……えっ!?」
祐一や周りの「危ない」の声で振り向けば、勢いよくバスケのボールが遥目掛けて向かって来ていた。
びっくりしすぎたせいか、足がすくみ動けずに居る遥の顔の前に誰かの手が現れた。
伸びた手を辿れば祐一だと分かり、遥は真っ青な表情に変化し誰もが何も言えずにいた。
「……ってぇ。遥、大丈夫?」
「う、うん…ありがとう。祐一、手大丈夫?」
大丈夫かと聞かれれば、笑顔で大丈夫と言う祐一に遥は不安を覚えた。
遥はポキッと小さな音が聞こえた事が気になり聞こうとしようとすれば、祐一のクラスが歩み寄ってきたせいで、それ以上は言えなくなってしまう。
「遥は、怪我はなさそうだね」
「僕より祐一が、怪我してると思う」
ポツリと言葉をこぼせば、颯斗は理解出来ずにいた。
遥は、分かりやすく颯斗に話せば険しい表情に変わっていく。
「ちょっ、颯斗!?」
話しを聞き終わると、クルッと向きを変え何処かへと歩いていく颯斗に遥は慌てて着いていく。
「祐一、ちょっといい?」
「うん?…いったぁー!!!」
颯斗は祐一の手をギュッと握ると、泣きそうな顔をしながら痛いと言う。
「先生。さっきのボールの件で長沢先輩、多分怪我してます」
「長沢、お前の嫌いな保健室行ってこい」
体育の先生は笑いながら言った言葉に、祐一は嫌だという表情をする。
先生は遥に「保健室に付き添ってやって」と言われ、無言で祐一の隣を歩く。
ふと右手な目をやると、赤くなっていて少し晴れ上がっている。
それを見た遥は、罪悪感が募りどう謝ればいいのか分からずにいた。
「あの、手のこと…ごめんなさい!」
「あぁ、気にしなくていいよ!」
素直に謝れば笑いながら許してくれたが、保健室のドアの前に立てば泣きそうな祐一な笑いそうになる遥。
中に入ると、保健医はこちらを見て不思議そうな顔をする。
「先生、祐一が怪我したー」
「長沢くんが?」
保健医は、珍しいこともあるんだていう驚きの表情を見せた。
「さ、怪我した所見せて?」
「……んっ……」
「あ、はるくん何で怪我したか教えて」
「バスケのボールが僕の方に飛んできたときに、祐一が片手で止めてくれたの。で、ポキッという音がしたんだ」
遥の言葉により保健医は険しい顔になり、祐一の手を見る。
祐一はすでに気持ちはここにあらず状態だが、先生の言葉により更に放心状態になる。
「はるくん、授業戻っていいよ!長沢くんは病院行くって伝えといて」
「うん、わかった」
遥は急いで体育館に戻り伝えると、周りは何があったのかと遥に詰め寄る。
遥は周りに説明すれば、ビックリするばかりだった。
全ての授業も終わり部活へと向かえば、祐一の姿があった。
ただ、颯斗にベッタリと引っ付き元気が無いのが見てわかる。
「祐一、手は大丈夫なの?」
「んーん、骨折してた」
遥が聞けば、シュンとする祐一に謝れば気にしないでと言われる。
まだ、罪悪感が残る遥は床に目線を反らす。
ただ、颯斗にベッタリと引っ付き元気がないのは見てわかる。
「祐一、手は大丈夫なの?」
「んーん、骨折してた……」
遥が聞けば、しゅんとする祐一にもう一度謝れば気にしないでと言われても罪悪感がつのる。
「祐一の事は、本当に気にしなくてもいいんじゃない?」
「でも……」
「祐一は守りたいから守っただけだし、元気がない方がいいよ」
「ちょっ、颯斗ってひどっ!」
遥は、颯斗の言葉でほっとすると同時に、大智達が部室へと入ってくる。
大智は祐一の手をみるなりピタッと動きを止め、すかさずツカツカと歩み寄った。
「祐一、その怪我なに?」
「授業中に骨折した」
祐一が言葉を発した瞬間、パンッと頬を叩く音が響けば周りは驚き大智と祐一に注目する。
「お前、プロ意識ねぇな」
「プロとしてダメでも、仲間を守れないのもダメでしょ?」
キツく言われた祐一は、シレッと言葉を返せば大智は「え?」と声を漏らした。
「あの、バスケのボールが僕の顔に飛んできた時に……祐一は、守ってくれたから怪我したんだ」
遥は、だから怒らないでと大智に向かって伝える。
そんな言葉を聞けば、大智は色々と悩んでしまう。
「まぁ、入院ってわけじゃないんだし。しばらく祐一をフォローしてあげようね!」
「そうそう、後輩にギターや発声とかしっかり叩き込んでくださいな」
葵斗と悠太は、祐一が落ち込まないように励ませば1~2年は嬉しそうに祐一に駆け寄る。
「大智が、言いたいことは分かるけど、理由も聞かずに叩いちゃだめでしょ?」
「あぁ、悪かった」
大智は、葵斗にコンコンと怒られるのを横目に起きながら部活に専念する悠太達。
その後、葵斗は大智に叱ってるのを見た顧問に叱られたのは言うまでもない。
「颯斗、祐一のクラスって強かったっけ?」
「あぁ、バスケ部のレギュラーが多いって言ってたけど」
学年別で自由にチームを作っている時に、颯斗の一言で負けたような表情をしてしまう。
遥は自分から聞いた事に後悔するが、颯斗はどうってことない顔をしていた。
「おい、お前ら早く決めろ!」
「あの、実は………」
遥は、先生に軽く事情を話せば困ったような顔をされてしまう。
「よし、1チームでも優勝したらジュース奢ってやるから早くチーム作れ!」
その言葉を聞くやいなや、颯斗以外はやる気を出し素早くチームを作り試合に挑(いど)みだした。
初めの内は燃え上がっていた1年軍は、後半に連れて3年軍に徐々に負けてしまいテンションが下がり切っていた。
「みんな、まだ希望はあるんだから元気出して」
「中村のチームと、今戦ってるチームだけじゃん勝ってんの」
励ましても颯斗と遥のチームに、今3年と戦ってるチームしか残っていないことに不服のようで、遥はどうしていいのか分からず立ち尽くしていた。
ふと、喉が渇いた遥は飲み物を飲みに行こうと体育館の入り口へ歩き出した時のことだ。
「遥、危ないっ」
「へ……えっ!?」
祐一や周りの「危ない」の声で振り向けば、勢いよくバスケのボールが遥目掛けて向かって来ていた。
びっくりしすぎたせいか、足がすくみ動けずに居る遥の顔の前に誰かの手が現れた。
伸びた手を辿れば祐一だと分かり、遥は真っ青な表情に変化し誰もが何も言えずにいた。
「……ってぇ。遥、大丈夫?」
「う、うん…ありがとう。祐一、手大丈夫?」
大丈夫かと聞かれれば、笑顔で大丈夫と言う祐一に遥は不安を覚えた。
遥はポキッと小さな音が聞こえた事が気になり聞こうとしようとすれば、祐一のクラスが歩み寄ってきたせいで、それ以上は言えなくなってしまう。
「遥は、怪我はなさそうだね」
「僕より祐一が、怪我してると思う」
ポツリと言葉をこぼせば、颯斗は理解出来ずにいた。
遥は、分かりやすく颯斗に話せば険しい表情に変わっていく。
「ちょっ、颯斗!?」
話しを聞き終わると、クルッと向きを変え何処かへと歩いていく颯斗に遥は慌てて着いていく。
「祐一、ちょっといい?」
「うん?…いったぁー!!!」
颯斗は祐一の手をギュッと握ると、泣きそうな顔をしながら痛いと言う。
「先生。さっきのボールの件で長沢先輩、多分怪我してます」
「長沢、お前の嫌いな保健室行ってこい」
体育の先生は笑いながら言った言葉に、祐一は嫌だという表情をする。
先生は遥に「保健室に付き添ってやって」と言われ、無言で祐一の隣を歩く。
ふと右手な目をやると、赤くなっていて少し晴れ上がっている。
それを見た遥は、罪悪感が募りどう謝ればいいのか分からずにいた。
「あの、手のこと…ごめんなさい!」
「あぁ、気にしなくていいよ!」
素直に謝れば笑いながら許してくれたが、保健室のドアの前に立てば泣きそうな祐一な笑いそうになる遥。
中に入ると、保健医はこちらを見て不思議そうな顔をする。
「先生、祐一が怪我したー」
「長沢くんが?」
保健医は、珍しいこともあるんだていう驚きの表情を見せた。
「さ、怪我した所見せて?」
「……んっ……」
「あ、はるくん何で怪我したか教えて」
「バスケのボールが僕の方に飛んできたときに、祐一が片手で止めてくれたの。で、ポキッという音がしたんだ」
遥の言葉により保健医は険しい顔になり、祐一の手を見る。
祐一はすでに気持ちはここにあらず状態だが、先生の言葉により更に放心状態になる。
「はるくん、授業戻っていいよ!長沢くんは病院行くって伝えといて」
「うん、わかった」
遥は急いで体育館に戻り伝えると、周りは何があったのかと遥に詰め寄る。
遥は周りに説明すれば、ビックリするばかりだった。
全ての授業も終わり部活へと向かえば、祐一の姿があった。
ただ、颯斗にベッタリと引っ付き元気が無いのが見てわかる。
「祐一、手は大丈夫なの?」
「んーん、骨折してた」
遥が聞けば、シュンとする祐一に謝れば気にしないでと言われる。
まだ、罪悪感が残る遥は床に目線を反らす。
ただ、颯斗にベッタリと引っ付き元気がないのは見てわかる。
「祐一、手は大丈夫なの?」
「んーん、骨折してた……」
遥が聞けば、しゅんとする祐一にもう一度謝れば気にしないでと言われても罪悪感がつのる。
「祐一の事は、本当に気にしなくてもいいんじゃない?」
「でも……」
「祐一は守りたいから守っただけだし、元気がない方がいいよ」
「ちょっ、颯斗ってひどっ!」
遥は、颯斗の言葉でほっとすると同時に、大智達が部室へと入ってくる。
大智は祐一の手をみるなりピタッと動きを止め、すかさずツカツカと歩み寄った。
「祐一、その怪我なに?」
「授業中に骨折した」
祐一が言葉を発した瞬間、パンッと頬を叩く音が響けば周りは驚き大智と祐一に注目する。
「お前、プロ意識ねぇな」
「プロとしてダメでも、仲間を守れないのもダメでしょ?」
キツく言われた祐一は、シレッと言葉を返せば大智は「え?」と声を漏らした。
「あの、バスケのボールが僕の顔に飛んできた時に……祐一は、守ってくれたから怪我したんだ」
遥は、だから怒らないでと大智に向かって伝える。
そんな言葉を聞けば、大智は色々と悩んでしまう。
「まぁ、入院ってわけじゃないんだし。しばらく祐一をフォローしてあげようね!」
「そうそう、後輩にギターや発声とかしっかり叩き込んでくださいな」
葵斗と悠太は、祐一が落ち込まないように励ませば1~2年は嬉しそうに祐一に駆け寄る。
「大智が、言いたいことは分かるけど、理由も聞かずに叩いちゃだめでしょ?」
「あぁ、悪かった」
大智は、葵斗にコンコンと怒られるのを横目に起きながら部活に専念する悠太達。
その後、葵斗は大智に叱ってるのを見た顧問に叱られたのは言うまでもない。
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