My Tears

村上葵

文字の大きさ
上 下
3 / 19

祝い

しおりを挟む
「うわぁーい、大智と葵斗の家に来たの久しぶりだぁ!」


「祐一、うぜぇ!ちったぁ大人しくしろよ…」


「颯斗の言う通りだって、年上のくせに落ち着きがないのがなぁ…」


「う、うるさいっ!」



祐一は、いっつも騒いで颯斗や悠太にいじられ葵斗や遥に泣きついてくるのがオチ。


ただ、いつもと違う光景なのは颯斗に抱きついてなだめて貰っていること。



「颯斗、大人しく………したらいいんだよね?」


「あぁ、祐一には大人しくなんて無理だろうな!」


「うっさい!」


「お前らがイチャイチャしてんなら、葵斗、ここに来いっ!」


「誰が足の間に行くか!僕と遥で、料理作ってんだから…」


「ムスッとするなって、手伝うからさ」

-数時間後-




「ねぇ、祐一と遥って好きな人居るの?」


「「え゛っ?」」




葵斗は、他の人に聞こえない様に2人にコソッと聞いた。
祐一は分かりやすい子だから、分かってはいたが遥にも好きな人が居るんだなぁ…と思った葵斗は、二人に次の質問を問いかけた。




「で、誰が好きなの?僕の知ってる人?」


「葵斗の知ってる人、だけど、葵斗に教えない!」


「祐一は見てれば分かるから、言わなくていい……で、遥は?」


「バレてたんかい!」


「うーん…と………」



祐一の発言を無視して、遥は言葉を発したが口ごもってしまった。
だが、一点を見つめ言おうか悩んでいる様子…目線を追えばある人にたどり着く。



「遥って、悠太か颯斗の事好きなの?」


「いやっ…そのっ……」


「颯斗は俺のす「祐一、静かに聞くとか出来ないの?
で、どっちが好きなの?」遥、そーだよ……」


「えっと、悠太が好き…なんだ」


「そっか」


顔を赤らめながら言ってくれた遥の頭を、くしゃくしゃと撫でた。




「あ、そだ。王様ゲームしようぜ!」


「「はぁ?」」




大智の言葉に、5人は固まってしまった。
ただ5人は、王様ゲームって合コンでするやつだろ!!!と心の中で思ったのは言うまでもない。 

「大智、王様ゲームして何の意味があるの?」


「悠太、そりゃあ俺が楽しみたいだけだぜ!」


「あほらしい…俺、不参加だから」


「不参加の奴は、好きな奴言わなきゃ不参加は認めねぇ」


「「(強引すぎる)」」





大智の強引的な参加で、みんなに不運が回ってくることになった。





「王様だーれだっ!」


「…ん…あっ、はい!」


「ちぇっ…一発目は葵斗か…」


「んーと…1番と4番がハグする」

大智以外は、葵斗の気遣いに安心してしまった。




「1番、俺だ!」


「…4番は俺だわ…(なんかされそうだな、大智に…)」




いきなり大智にムギュッとされた颯斗は、余りにも急な行動に声を出せずに驚いた表情になっていた。
更に、お尻まで撫でまわされ泣きそうな目をしている。




「…ッッ……」


「祐一…大丈夫?こんなん見るの辛いでしょ?」


「う…うん、大丈夫!」


「無理はだめだからね!」



今回の大智の行動で、祐一と葵斗が辛い思いをしてしまうものだ。
大智と双子で付き合ってる葵斗は、自分より辛いのに、気を使わせてしまったと悔しく思ってしまう。




「さて、次いくか…お「王様だーれだっ!」」


「祐一、ノリ気だな…」


「悠太、そんな事ないって!あ、俺王様だ………んじゃぁ、5番と3番は好きな人を言う!」


「「えっ?」」





5番の颯斗と3番の悠太は、同時に声をあげ目を合わせる。
2人が黙っていると、祐一が、更に状況悪化に繋がる言葉を発した。


「王様の言うとおりにしなきゃ駄目だよ!あと、秘密は無しだから……」


「祐一、ちょっとやりすぎなんしゃ?」


「葵斗の言うとおりだぞっ!」


「うるさいっ」


「「ごめん…」」




葵斗と大智に言われた言葉により、泣き出してしまった。
颯斗は、そっと立ち上がり祐一の元により抱きついた。




「みんな、おひらきにしよう……」


「そ、そうだね。もう遅いし僕らの家に泊まりなよ、ね、大智!」


「おぅ!」


「うん、お言葉に甘えて泊まってくよ」
 
だが、抱きついたまま言葉すら発しない2人。
颯斗は、やっと周りの視線に気づき言葉を告げた。



「ごめん、祐一と2人で帰るわ」


「えっ?」


「ねぇ、2人共……電車無いから泊まりなよ!」


「ホテルで泊まりから大丈夫!ほら、祐一行くよ」


「う、うん……」




足早と去ってしまった2人を、葵斗はのんびりと見ていた。
明後日の仕事の事を告げてなかったのを思い出し、メールで予定を送り部屋に戻った。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

高嶺の花宮君

しづ未
BL
幼馴染のイケメンが昔から自分に構ってくる話。

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした

雨宮里玖
BL
《あらすじ》 昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。 その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。 その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。 早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。 乃木(18)普通の高校三年生。 波田野(17)早坂の友人。 蓑島(17)早坂の友人。 石井(18)乃木の友人。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

王様のナミダ

白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。 端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。 驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。 ※会長受けです。 駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

「恋みたい」

悠里
BL
親友の二人が、相手の事が好きすぎるまま、父の転勤で離れて。 離れても親友のまま、連絡をとりあって、一年。 恋みたい、と気付くのは……? 桜の雰囲気とともにお楽しみ頂けたら🌸

処理中です...