My Tears

村上葵

文字の大きさ
上 下
2 / 19

デビュー

しおりを挟む
2011年1月、俺らMy Taersは全国デビューした。
そう、俺らのデビューしてからの物語だ。




「ゆーたっ!俺ら、やっとデビューだなっ!!」


「いでっ!祐一、いちいち叩いてはしゃぐなよ……」


「いーじゃん、なっ…颯斗?」


「……記者会見前なのに、よくはしゃげるよな…」


「むっ、むう………」


「祐一、はしゃいでいいけどデビュー曲ぐらいはちゃんとしてね?」


「ふざけっと、蹴るからな!!」


「うぅ……」


こうして1人はしゃぐ中、記者会見がスタートした。


『My Tearsの皆さんにデビュー曲「Taers」披露後、記者会見と致します。
それでは、Tearsをどうぞ!』


___________
Tears(歌詞を一部記載)


白と黒の世界 俺らの場所は常に黒の世界
まばゆい白い世界に なかなか行けやしない
何度も何度も涙を流しても


光を一気に掴むより 1つずつゆっくり手にすれば
白の世界にいけるだろう 愛と同じ様な世界に居る
俺らは…


どんなに暴れても 心は白になれず
何度も涙をながしただろうか 何度夢見て
現実(リアル)を恨んだだろうか……

______________

 
 
「ふぅー、やっと終わった……」


「葵斗、まだ油断するなよ…会社でるまでが仕事っていうことを!」


「悠太ってさ、時々どや顔しながら先生みたいな事いうよね!」


「当たり前に、葵斗の先生やから言ったんだい!」


「なにそれ…」




くすくす笑う葵斗、それを茶化す悠太の会話を聞きながら楽屋に入った。


まだ、高校生の彼らは華やかな世界に入った訳であり、芸能界の厳しさも分からぬだろう。



半年後に人気が出たとしても……。



「大智っ!皆でデビュー祝いしたいんだけど……?」




と、葵斗がおずおずと聞く。
しかし、大智の答えは………



「どこでするか考えてんの?」


「まだ……です……」


「大智、それなら荻野ブラザーの家ですればいいんじゃね?」


「悠太…葵斗を甘やかしすぎだ…仕方ねぇ、帰りに何か買って帰るか!」

皆は、帰る準備や着替えをしていた…ただし、祐一は1人でキャッキャ騒ぎながらだが。


しかし、葵斗と大智の双子以外はドギマギしているのは確実である。


メンバー同士、いや、男同士の恋愛に困惑しているのは確かである。




「My Tearsのみんな!よく頑張ったね……明後日には、生放送の歌番に出るんだから明日はゆーっくり休むんだよ?」


「「しゃっ、社長っ!!!」」


「あらぁーっ、そんなにびびらなくても……」




くすくす笑っているのは、My Taersのプロデューサーもしてくれている青山社長。


路上ライブをしていたインディーズ時代に、社長の目に入りスカウトされた……という事の始まり。 



「急に入って来るからじゃないですか…」


「いいじゃない!まっ、それだけだから…あと葵斗くん、これ、次のスケジュールね!
じゃね……」


「あ、はぁ…」



さっと、スケジュールの書かれた紙を渡して出て行った社長。




「俺、思うんだけど社長、機嫌よすぎじゃない?」


「颯斗も思ったんだ!」


「遥もか!」





メンバー全員、社長の機嫌よさが分からずじまいに終わった。
だけど、これから起こることを全て理解している様な表情だった。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

高嶺の花宮君

しづ未
BL
幼馴染のイケメンが昔から自分に構ってくる話。

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした

雨宮里玖
BL
《あらすじ》 昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。 その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。 その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。 早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。 乃木(18)普通の高校三年生。 波田野(17)早坂の友人。 蓑島(17)早坂の友人。 石井(18)乃木の友人。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

王様のナミダ

白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。 端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。 驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。 ※会長受けです。 駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

森光くんのおっぱい

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
「下手な女子より大きくない?」 そう囁かれていたのは、柔道部・森光の胸だった。 僕はそれが気になりながらも、一度も同じクラスになることなく中学校を卒業し、高校も違う学校に進学。結局、義務教育では彼の胸を手に入れることはできなかった。 しかし大学生になってから彼と意外な接点ができ、意欲が再燃。攻略を神に誓う。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

処理中です...