上 下
23 / 31

20-3

しおりを挟む
 「後輩くん、今日は何の日か知っているかい?」
ある日のこと。先輩が唐突に質問してきた。
「さあ、なんでしょう?」
「フフン、正解はバレンタインデーだよ」
「あ、そういえばもうすぐでしたね」
「そこでだ後輩くん。チョコは欲しいかな?」
「そりゃもちろん欲しいですよ。でも僕たち男同士だし無理しなくてもいいんですよ?」
「何を言っているんだい後輩くん。私が君の為に手作りしたものを贈らないわけないだろう?」
「本当ですか!?」
「ああ、そうだとも」
「嬉しいです先輩! 是非食べさせてください!」
「わかった。それじゃあ早速作ってくるよ」
「はい! 楽しみにしてます!」
(先輩の手料理が食べられるなんて夢みたいだな。これは期待せざるを得ないぞ!)
それから数時間後。
「お待たせ後輩くん。これが私の作ったチョコレートケーキだよ」
「おお……綺麗ですね」
先輩の言う通り見た目は完璧だった。とても美味しそうである。
「さあ、召し上がれ」
「いただきまーす!」
パクッ!
「どうだい?」
「…………」
「おや? 黙ってしまったけど口に合わなかったかな?」
「……あの、先輩」
「ん? なんだい?」
「先輩って女の子になれたりします?」
「え?」
「だってこのケーキ、めちゃくちゃ甘ったるいんですもん」
「あ、あはは……。バレてしまったか」
「やっぱりわざとだったんですね」
「うん、実はそうなんだ。甘いもの好きなんだけど、どうしても太ってしまうからね」
「なるほど」
「という訳で、その……味見を頼めるかい?」
「仕方ないですね。今回だけ特別ですよ」
「ありがとう」
こうして僕は先輩と大人の階段を登ることになった。【おまけ】
先輩のエッチな下着 ある日のこと。先輩がパンツ一丁になってベッドの上に座っていた。
「先輩、どうかしましたか?」
「いや、ちょっとね」
「まさかとは思いますが、風邪引いたとかじゃないですよね?」
「違うよ。ただ最近少し冷えてきたから、暖かくしようと思ってね」
「確かにそうかもしれません」
「だろう? というわけだから、今から一緒に寝ようじゃないか」
「えっ?」
「ほら、早くこっちに来るといい」
「あ、はい」
ポフッ(←先輩の隣に腰掛ける音)
「よし。これで準備完了だ」
「な、何の準備ですか?」
「決まっているじゃないか。今晩は二人きりで過ごすんだよ」
「あ、そういう意味ですか」
「他にどういう意味があると思ったんだい?」
「いえ別に……」
(まあ普通に考えてそうだよな。先輩が僕を襲うなんてありえないし)
「それで、いつまでそこにいるつもりだい?」
「え? ああすいません。すぐに出ますね」
スッ 立ち上がって部屋を出て行こうとする僕だったが— ギュッ!
「ちょっ、先輩!?」
突然後ろから抱きつかれた。背中に柔らかい感触を感じる。
「ふむ、やはり暖かいね」
スリスリ
(うわぁっ! 先輩の胸が直接僕の体に密着してるぅっ!!)
「先輩……離してください……」
ドキドキ
(このままだとヤバイ! 理性が崩壊してしまうぅっ!)
「嫌だ」
「えぇっ!?」「せっかく後輩くんを手に入れたのに、そう簡単に手放すと思うかい?」
「で、でも……」
(これ以上はまずいですよ!)
「大丈夫だよ。今日は誰も来ないように言ってあるから」
「うぅ……」
(一体どこが大丈夫なんだろうか?)
「それに君は、こういうのが好きなんだろう?」
「そ、それは……」
(嫌いではないですけど……)
「安心したまえ。私も好きだからね」
「え?」
(好きって、そういう意味で言ったんじゃないんですけどぉ~!)
「さあ、観念したまえ」
「はぁ……。わかりましたよ」
「フフン、最初からそう言えばいいんだ」
「はいはい。それで、これからどうするんですか?」
「もちろん、まずはキスからだ」
「いきなりですか!?」
「ああそうだ。それが終わらないと先に進めないからね」
「あー、なるほど」
(さすが先輩。ちゃんと考えているんだな)
「それじゃあ行くよ」
「はい!」
(ついにこの時が来た! 僕は先輩と結ばれることができるのか!)
「んっ……ちゅっ……れろっ……ぷはっ!」
「せ、先輩。激しすぎますよ」
「ごめんね。久しぶりだったものだからつい夢中になってしまった」
「あー、確かにそうですね」
(先輩って意外と激しいところがあるからな)
「さて、次は何をしようか?」
「次? まだ何かやるんですか?」
「当然だよ。だって君はまだ満足していないだろう?」
「えっと、それってつまり……」
「ああ、最後までシよう」
「えっ!? ほ、本当ですか!?」
「当たり前じゃないか。私は嘘などつかないよ」
「いや、だって今までは……」
「あれはあくまで練習だったからね。本番はこれから始まるんだよ」
「お、おお……!」
(こ、これはマジで期待できるぞ!)
「という訳だから後輩くん。覚悟は良いかい?」
「はい!」
(もうこの際なんでもこい! どんなことでも受けきってみせる!)
「ふむ、いい返事だね。では早速始めようか」
「お願いします」
「任せたまえ。最高の夜にしてあげるよ」
こうして夜は更けていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

ダメですお義父さん! 妻が起きてしまいます……

周防
BL
居候は肩身が狭い

お尻たたき収容所レポート

鞭尻
大衆娯楽
最低でも月に一度はお尻を叩かれないといけない「お尻たたき収容所」。 「お尻たたきのある生活」を望んで収容生となった紗良は、収容生活をレポートする記者としてお尻たたき願望と不安に揺れ動く日々を送る。 ぎりぎりあるかもしれない(?)日常系スパンキング小説です。

溺愛前提のちょっといじわるなタイプの短編集

あかさたな!
BL
全話独立したお話です。 溺愛前提のラブラブ感と ちょっぴりいじわるをしちゃうスパイスを加えた短編集になっております。 いきなりオトナな内容に入るので、ご注意を! 【片思いしていた相手の数年越しに知った裏の顔】【モテ男に徐々に心を開いていく恋愛初心者】【久しぶりの夜は燃える】【伝説の狼男と恋に落ちる】【ヤンキーを喰う生徒会長】【犬の躾に抜かりがないご主人様】【取引先の年下に屈服するリーマン】【優秀な弟子に可愛がられる師匠】【ケンカの後の夜は甘い】【好きな子を守りたい故に】【マンネリを打ち明けると進み出す】【キスだけじゃあ我慢できない】【マッサージという名目だけど】【尿道攻めというやつ】【ミニスカといえば】【ステージで新人に喰われる】 ------------------ 【2021/10/29を持って、こちらの短編集を完結致します。 同シリーズの[完結済み・年上が溺愛される短編集] 等もあるので、詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。 ありがとうございました。 引き続き応援いただけると幸いです。】

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

処理中です...