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 その時、アルスレイヤルが話し始めた。
「私ならもう平気です……」
「本当なのか?」
「はい、自分の意思で話す事ができます……」
「よかった……」
アルスレイヤルは自分の足で歩きながら言った。
「皆さん、助けてくれてありがとうございます……」
「礼を言うのはまだ早いぜ……」
「どういう意味ですか?」
「まだ村を襲ってきた魔物を倒していないんだ……」
「そういえば……」
アルスレイヤルは辺りを見回した。
「あれは……」
そこには氷付けにされた魔物の姿があった。
「こいつが最後の敵だ……」
「こんな奴もいたんですね……」
「ああ、だが安心してくれ……」
サークはアルスレイヤルの方を見た。
「俺が必ず守ってみせる……」
「はい、お願いします……」
アルスレイヤルは頬を赤く染めていた。
「よし、行こうか……」
3人は魔物の元へ向かった。そこには巨大なゴーレムがいた。
「こいつだ……」
「確かに大きいですね……」
モサーク達は警戒しながら近付いた。
「うぉっ!?」
突然、ゴーレムが攻撃してきた。
「危なかった……」
モサークはすぐに反応して避けた。
「気を付けろ!」
「わかりました!」
「ああ!」
2人は武器を構えた。
「はあっ!」
「せやぁっ!」
サークは剣を振り、ラビオリオも魔法を唱えた。
「ウォーターポレット!」
水の弾丸が命中したがビクともしなかった。
「なんて硬い身体だ……」
「このままじゃ倒せないぞ……」
その時、アルスレイヤルが叫んだ。
「私が魔法を唱えます!」
「よし!頼む!」
「行きます!」
アルスレイヤルは杖を構え魔法を唱えた。
「サンダニング!」
雷光が放たれたが、ゴーレムは怯まなかった。
「駄目だ……効かない……」
「くっ……何か弱点はないのか?」
「そういえば……この前、読んだ本には心臓の位置に核があると書いてあったような気がする……」
「どこにあるんだ?」「わからないけど、そこしかなさそうだ……」
「なら、探すしかないな……」
「よし、やってみるか!」
ラビオリオは走り出した。
「おらぁっ!」
ラビオリオは剣を振りかざすが、全くダメージを与えられていなかった。
「くそっ……全然だめだ……」
ラビオリオは再び走り出し、モサークと交代した。
「ラビオリオさん、俺に任せてください……」
「わかった……頼んだぞ!」
モサークは短剣を取り出して構えた。
「行くぜ……!」
モサークは素早く移動し、ゴーレムの周りを走り始めた。
「速いな……」
「ああ、まるで忍者みたいだ……」
モサークは走り回りながら、核を探し続けた。そして、ついに見つけた。
「ここかっ!」
モサークは短剣を突き刺そうとしたが、ゴーレムが腕を動かした為、攻撃を避けてしまった。
「ちぃっ!」
「大丈夫か!?」
「平気だ!次で決める!」
モサークはもう一度、走り出した。
「これで終わりだ!」
モサークはジャンプをして、核に向かって短剣を突き刺し、そのまま切り裂いた。
「やったぞ!」
するとゴーレムの身体が崩れ落ち、バラバラになった。
「倒したようだ……」
「凄いな……流石だ……」
モサークは2人の元へ戻ってきた。
「ふぅ~終わった……」
「よく頑張ったな……」
「いえ、そんな事はありません……」
モサークは謙遜していた。
「それよりも村に戻りましょう……」
「そうだな……」
3人は村に戻ろうとした時だった。
「待ってください!」
アルスレイヤルが呼び止めた。
「どうした?」
「あのゴーレムから不思議な力を感じます……」
「どういう事だ?」
「私にもわかりませんが、おそらく魔導具かもしれません……」
「そうなると、危険だな……」
「はい……」
アルスレイヤルの言う通り、もし魔導具なら破壊する必要がある。
「でも、どうやって壊せばいいんだ?」
「そうですね……」
アルスレイヤルは考え込んだ。その時、ラビオリオが言った。
「モサーク……お前の力で何とかならないのか?」
「俺の力?……あ!」
モサークは何かに気付いたようだった。
「もしかして、聖獣を召喚できるんじゃないのか?」
「確かに……やって見る価値はあるかもしれない……」
「なら、早くやってくれ!」
「待ってください!」
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