【完結】皇太子も妹も決して許しませんので覚悟してください

asami

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 タカテルは目の前に現れた人物を見て驚いて固まってしまった。
なぜならそこに現れた女性は人間ではなかったからだ。
頭にはヤギのような巻き角、背中にはコウモリを思わせる翼、そして臀部には悪魔のように太い尻尾が生えておりまるで悪魔のようであった。
「ば、化け物!」
「ふん、失礼な奴だねぇ」
「うわあああっ!」
「ふふふ、これで終わりだよぉ!」
ローブの女性はそういうとタカテルに向かって手をかざした。しかし次の瞬間、タカテルの前に何者かが立ちふさがり手を振り払った。
「なにぃ!?」
ローブの女性は驚愕の声を上げると後方に吹き飛ばされていった。
「まったく無茶しやがって」
「タカテルさん、大丈夫ですか?」
「ああ、なんとかな……」
タカテルは自分の前に立つセリーナの顔を見ると頬を赤らめた。
「えっと、助けてくれてありがとな」
「いえ、気にしないで下さい」
セリーナはそう言いながらローブの人物に目を向けた。
「どうやらまだやる気のようですね」
「くそっ、よくも邪魔してくれたねぇ!」
ローブの人物は立ち上がると再びタカテル達に襲い掛かってきた。
「ちっ、しつこい女だな!」
「タカテルさん、ここは私に任せてもらえますか?」
「わかった、頼む」
「はい、任せてください」
セリーナはそう言うとローブの人物に向かって駆け出して行った。
「バカめ!そんな攻撃あたるもんかい!」
セリーナの攻撃をかわすとローブの人物は火球を放った。しかしセリーナはそれを剣の一振りではじき返した。「なにぃ!?」
「今度こそ終わりです!」
セリーナはそのままローブの人物に切りかかった。しかし相手はギリギリのところでそれをかわし距離を取った。
「ふふ、なかなかやるじゃないか」
ローブの人物はそう言うと不敵な笑みを浮かべた。「でもあんたらじゃ私を倒すことはできないよ」
「やってみないとわからないですよ」
「そうかもしれないねぇ、なら試してみるかねぇ!」
ローブの人物は再び火球を放つと今度は連続で放っていった。
「さすがにこれは避けきれないだろう」
ローブの人物はニヤリと笑うとセリーナに向けてさらに火球を放ち続けた。
「くっ!さすがに手数が多すぎますね……」
セリーナは何とか防ごうとしたが徐々に追い詰められていきついには足止めされてしまった。
「これで終わりだ!」
ローブの人物はそう叫ぶと一気に距離を詰めてきた。
「さあ、死になぁ!」
ローブの人物は手に持った短刀でセリーナを切りつけた。しかしその刃が届くことはなかった。
「なんだ?体が動かないだと……」
セリーナは相手の攻撃を受け止めるとその腕を掴み動きを止めていたのだ。
「ふぅ……、危ないところだったぜ」
タカテルはホッと息をつくとローブの人物の背後から近づき剣を構えた。
「悪いがこっちも仕事なんでな」
タカテルはそう言うと剣を一閃させた。するとローブの人物の首は宙を舞い地面に落ちた。
「ふう、なんとかなったな」
「タカテルさん、怪我はありませんか?」
「俺は平気だけど、そっちは大丈夫なのか?」
「はい、問題ないです」
「そうか、それは良かった」
タカテルは安心すると剣を鞘に収めた。
「あの、タカテルさん、ありがとうございました」
「ん?何のことだ?」
「その……さっき私のこと庇ってくれたことです」
「ああ、あれか。別に大したことじゃないよ」
「それでも嬉しかったんです。だからお礼を言いたくて」
「そっか、まあ無事でよかったよ」
タカテルは照れくさそうに頭を掻いた。「それよりも早く二人を追いかけよう」
「はい、急ぎましょう」
二人はそういうと急いで広場を抜けて町の中心部へと向かった。
「くそっ、どこに行ったんだ?」
タカテルは辺りを見回しながら必死に探していた。しかしその姿を見つけることはできなかった。
「おかしいですね、この辺にいると思ったのですが」
セリーナも首を傾げながら辺りを探していた。
「やっぱり町の外に出たのか」
「その可能性が高いかもしれませんね」
「そうだな、仕方がない。俺達も町の外へ出るぞ」
「わかりました」
タカテル達は来た道を戻ろうとしたその時、突然地面が揺れ始めた。
「な、なんだ!?地震か!?」
「いえ、違います!何かが近づいてきています!」
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