【完結】皇太子も妹も決して許しませんので覚悟してください

５

　「おいおいマジかよ、いきなり現れるなんて聞いてないぜ……」
「確かに予想外ね、だけどやるしかなさそうよ」
「そのようだな、行くぞ！」
タカテルの言葉と同時にタカテルたちは走り出した。
「ん？あいつら何をするつもりだ？」
ローブの人物は首を傾げていたがすぐに行動に移った。
「ふん、何者であろうと私の邪魔をする者は排除するまでだ！」
そして手を前に突き出すとそこから火球を放ったのである。
「やばい、避けろ！」
タカテルの叫びに反応するようにタグリアナとセリーナは左右に飛んだ。
するとタカテルたちのいた場所に炎の柱が立ち上った。
「うおっ！あぶねえ、危うく丸焦げになる所だったな」
「タカテルさん、あの人は一体誰なんですか？」
「俺にもわからない、とにかく今は逃げることを考えないとな」
タカテルの言葉にタグリアナとセリーナもうなずいた。
「ほほう、よくかわしましたねぇ、なかなかやりますねぇ」
「あんたこそ、いきなり攻撃してくるとはいい度胸してるじゃない」
「当然ですよぉ、私はこの町を潰すためにやって来たんですからぁ」
「どういうことだ？」
「言葉通りの意味ですよぉ、この辺り一帯の生物は全て私の実験台になってもらうんですよぉ」
「ふざけるんじゃねえ！」
タカテルはそう叫ぶと斬りかかった。しかし相手はひらりと避けると姿を消した。
「ちっ、どこにいきやがった！」
「タカテル、後ろ！」
タカテルは慌てて振り返るとそこには巨大な火の玉が迫ってきていた。
「くそっ！」
タカテルは横に飛んで回避しようとしたが間に合わないと判断したのかそのまま突っ込んで行った。
そして迫りくる火球に対して剣を振り抜いた。
「うおおお！」
そして振り抜かれた斬撃は見事に火の玉を打ち砕いてみせたのである。
「うわっ！信じられません、私の攻撃をこうも簡単に打ち破るだなんてぇ」
「へっ、どんなもんだい！」
「でもまだ終わりではありませんよぉ、次はもっと凄いのをお見せしましょう！」
「なにっ！」
「さあ喰らいなさい！＜鍾熱地獄＞！！」
そしてローブの人物は両手を突き出すと魔法を発動させたのであった。
ローブの人物が放った魔法によって地面が真っ赤に染まり始めた。「まずいわ、このままだと私たちも飲み込まれるわよ」
「くそっ、どうすりゃいいんだ！」
「タカテルさん、私が何とかしますから少しの間だけ耐えてください」
「なんとかってお前いったいどうやって……」
「まあ見てて下さい」
セリーナはそういうと呪文を唱え始めた。
「我が身に宿れ、聖なる力……＜聖光装備＞」
次の瞬間、セリーナの全身が淡く発光し始めた。
「おい、大丈夫なのか？」
「はい、任せて下さい」
タカテルは心配そうな表情を浮かべていたがやがて覚悟を決めたように叫んだ。
「わかった、俺は信じるぞ！」
「はいっ！」
セリーナはそういうとタカテルたちから離れると詠唱を続けた。
「ぐふふふふ、今さら逃げようとしても無駄ですよぉ、あなたの足ではとても間に合いませんからねぇ」
「うるせえ、黙りやがれ！」
タカテルは再び剣を構えながらローブの人物に向かって走り出した。
「うふふ、あなた一人で勝てると思ってるんですかぁ？」
「ああ、もちろんだ」
タカテルはそういうとさらに加速した。
「なにぃ！？」
ローブの人物はタカテルの行動に驚きながらも手から火球を放った。
しかしタカテルはそれを最小限の動きだけでかわしていく。
「な、なんだっていうんですぅ！どうして私の攻撃が当たらないんだぁ！」
「へっ、そんな攻撃じゃ当たらねえぜ！」
タカテルはそのまま一気に距離を詰めるとローブの人物を切りつけた。
「うぎゃあああっ！」
ローブの人物は悲鳴を上げながら後ろに倒れ込んだ。
「よし、当たったぞ！」
タカテルは自分の剣が相手の体に食い込む感触を感じ取った。
「これで終わりだ！」