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第十九話
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目が覚めると見慣れない天井が広がっていたのを見て一瞬混乱したがすぐに思い出したのだ。
(そういえば異世界に来ていたんだったな)
起き上がると軽く伸びをして部屋を出た。するとそこには見知らぬ女の子がいたのである。
その子はこちらに気づくと満面の笑みを浮かべながら駆け寄ってきた。
「やっと起きたんだね!!随分遅かったから心配していたんだよ?」
「あ、ああおはよう。君は一体誰だい?」
「えへへ、わたしの名前はサチっていうの!よろしくね、お・に・いちゃん!」
その瞬間背筋に悪寒を感じてしまい後退りしてしまった。しかしさらに詰め寄り両手を広げてくる姿を見ると恐怖を覚えてしまったので急いでその場を離れたのだ。
「ねえどこ行くの?」
「とりあえず落ち着こうか!まずはその物騒なものをしまってくれないかな?」
「嫌だ、離さないもん!!」
そう言いながら必死にしがみ付いてくるのを振り払い廊下に出たのであるがそこでようやく状況を理解したのである。
「はは、どうやら完全に夢の世界に閉じ込められているみたいですね……」
苦笑いをしながらそう呟くのと同時にため息が出ていたのであった。
それからしばらく屋敷内を歩き回っていると外に出る為の扉を見つけたのだがそこで立ち止まってしまった。なぜなら外に得体の知れない化け物がうようよしている光景が見えてしまっていたからである。
(あれはまずいな……いくらなんでもあんなのを相手にするのは無理があるよ。ならここは慎重に行動しないと……)
そんな事を考えながらゆっくりとドアノブに手をかけるとその先に広がっていた景色に絶句したのである。するとそこにいる人達が一斉に振り向いたがその中の一人が声をかけてきた。
「あら、おはようございます。ずいぶん遅いお目覚めでしたのでずっと待っていたんですよ?」
「ええ、それはすみませんでした。それで他の皆さんの姿が見えないのですが何をしているんですかね?」
「今は朝の鍛錬の時間なのでそれぞれ好きな場所で行っているはずですよ」
「なるほど……ちなみに貴女は何をしていたんですか?」
「私ですか?私は朝早くから起きているのに慣れていないものですのでここで休憩していたところです」
「そっか……あのさ一つ聞いても良いかな?」
「はい、何でしょう?」
「どうして俺の腕を掴んでいるんですか?」
そう言いながら目の前にいる女性をよく観察してみるとなぜか腕を絡めてきていて離れようとしなかったのである。
「いえ特に理由はありませんよ。ただこうしたかっただけですのでお気になさらずに」
「いや、そういうわけにもいかないだろう。それに皆が見ていますよ?」
「それがどうかされましたか?」
「はぁ……これは何を言っても無駄そうだな……まあいいか。それよりも俺は少し散歩に行ってきますね?」
「ダメ……と言ったとしても聞き入れてくれませんよね?」
「もちろん。俺だってたまには一人でゆっくりしたい時だってあるんだよ?」
「ふぅ……仕方がないわね。それじゃあ私が付き添いますね?」
「いらないんだけど……というより離れてくれないかい?正直動きにくいんだよ……」
「それでは行きましょう。さあ早く!!」
「はいはい……全く人の話を聞いていないな……まあ良いけどさ。さてどこに行こうかな?」
こうして半ば強引に連れていかれる形で外に出る事になったのであった。
街の中心部に向かうにつれて次第に人通りも多くなってきた。そんな中でも相変わらず彼女はぴったりとくっついてきているのである。しかも時々周りを見回して誰かを探している様子を見せていた。
(もしかすると彼女も迷子になっているのかもしれない。だとしたら放っておく事は出来ないよな?)
そう考えながら歩いていると不意に袖を引っ張られたので振り返ると彼女が上目遣いで話しかけてきてくれた。
「ねぇお兄ちゃん……お願いがあるの……」
「うん分かった。何でも言ってくれ!」
「ありがとう!!実はね……お母さんとはぐれちゃったみたいなの……だから探して欲しいんだ……」
「そうだったのか……よし任せろ!一緒に探しに行くぞ!」
「本当!?ありがとう、やっぱり優しいね♪大好きだよ!」
「ああ、ありがとう……」
彼女の純粋な笑顔を見て思わずドキッとして顔を逸らしてしまった。
「どうしたのお顔真っ赤だよ?熱でもあるの?大丈夫?あっちの方で休んでいく?それともそれとも……」
「ちょちょっと待てってば!!」
慌てて制止しようとしたのだが既に遅くどんどん近づいてきて額を当てようとしていたのだ。そしてついにお互いの顔がくっつく寸前まできたところで急に抱きつかれたのである。そして耳元で囁くように告げた。
「やっと捕まえられました。もう逃がしませんからね?」
その言葉を聞いた瞬間ゾクッと背筋に悪寒を感じたのであった。
その後しばらく抱きしめられていたので何とか抜け出そうとしたが何故か力が強すぎてびくりともしない。むしろ余計に力を込められているような気さえする。
「えっと……いい加減離してくれないかな?」
「嫌です。絶対に離したくない!!」
「なんでそこまで執着してくるんだよ!!」
「それはあなたが好きになってしまったからです!!」
「えっとそれはどういう意味なのかな?」
「そのままの意味ですよ?好きになった男性と一緒に居たいと思うのは当然の事じゃないですか!!」
「いや、確かにそうなのかもしれ無いけど普通はもっと段階を踏まないと駄目だと思うんだ」
(そういえば異世界に来ていたんだったな)
起き上がると軽く伸びをして部屋を出た。するとそこには見知らぬ女の子がいたのである。
その子はこちらに気づくと満面の笑みを浮かべながら駆け寄ってきた。
「やっと起きたんだね!!随分遅かったから心配していたんだよ?」
「あ、ああおはよう。君は一体誰だい?」
「えへへ、わたしの名前はサチっていうの!よろしくね、お・に・いちゃん!」
その瞬間背筋に悪寒を感じてしまい後退りしてしまった。しかしさらに詰め寄り両手を広げてくる姿を見ると恐怖を覚えてしまったので急いでその場を離れたのだ。
「ねえどこ行くの?」
「とりあえず落ち着こうか!まずはその物騒なものをしまってくれないかな?」
「嫌だ、離さないもん!!」
そう言いながら必死にしがみ付いてくるのを振り払い廊下に出たのであるがそこでようやく状況を理解したのである。
「はは、どうやら完全に夢の世界に閉じ込められているみたいですね……」
苦笑いをしながらそう呟くのと同時にため息が出ていたのであった。
それからしばらく屋敷内を歩き回っていると外に出る為の扉を見つけたのだがそこで立ち止まってしまった。なぜなら外に得体の知れない化け物がうようよしている光景が見えてしまっていたからである。
(あれはまずいな……いくらなんでもあんなのを相手にするのは無理があるよ。ならここは慎重に行動しないと……)
そんな事を考えながらゆっくりとドアノブに手をかけるとその先に広がっていた景色に絶句したのである。するとそこにいる人達が一斉に振り向いたがその中の一人が声をかけてきた。
「あら、おはようございます。ずいぶん遅いお目覚めでしたのでずっと待っていたんですよ?」
「ええ、それはすみませんでした。それで他の皆さんの姿が見えないのですが何をしているんですかね?」
「今は朝の鍛錬の時間なのでそれぞれ好きな場所で行っているはずですよ」
「なるほど……ちなみに貴女は何をしていたんですか?」
「私ですか?私は朝早くから起きているのに慣れていないものですのでここで休憩していたところです」
「そっか……あのさ一つ聞いても良いかな?」
「はい、何でしょう?」
「どうして俺の腕を掴んでいるんですか?」
そう言いながら目の前にいる女性をよく観察してみるとなぜか腕を絡めてきていて離れようとしなかったのである。
「いえ特に理由はありませんよ。ただこうしたかっただけですのでお気になさらずに」
「いや、そういうわけにもいかないだろう。それに皆が見ていますよ?」
「それがどうかされましたか?」
「はぁ……これは何を言っても無駄そうだな……まあいいか。それよりも俺は少し散歩に行ってきますね?」
「ダメ……と言ったとしても聞き入れてくれませんよね?」
「もちろん。俺だってたまには一人でゆっくりしたい時だってあるんだよ?」
「ふぅ……仕方がないわね。それじゃあ私が付き添いますね?」
「いらないんだけど……というより離れてくれないかい?正直動きにくいんだよ……」
「それでは行きましょう。さあ早く!!」
「はいはい……全く人の話を聞いていないな……まあ良いけどさ。さてどこに行こうかな?」
こうして半ば強引に連れていかれる形で外に出る事になったのであった。
街の中心部に向かうにつれて次第に人通りも多くなってきた。そんな中でも相変わらず彼女はぴったりとくっついてきているのである。しかも時々周りを見回して誰かを探している様子を見せていた。
(もしかすると彼女も迷子になっているのかもしれない。だとしたら放っておく事は出来ないよな?)
そう考えながら歩いていると不意に袖を引っ張られたので振り返ると彼女が上目遣いで話しかけてきてくれた。
「ねぇお兄ちゃん……お願いがあるの……」
「うん分かった。何でも言ってくれ!」
「ありがとう!!実はね……お母さんとはぐれちゃったみたいなの……だから探して欲しいんだ……」
「そうだったのか……よし任せろ!一緒に探しに行くぞ!」
「本当!?ありがとう、やっぱり優しいね♪大好きだよ!」
「ああ、ありがとう……」
彼女の純粋な笑顔を見て思わずドキッとして顔を逸らしてしまった。
「どうしたのお顔真っ赤だよ?熱でもあるの?大丈夫?あっちの方で休んでいく?それともそれとも……」
「ちょちょっと待てってば!!」
慌てて制止しようとしたのだが既に遅くどんどん近づいてきて額を当てようとしていたのだ。そしてついにお互いの顔がくっつく寸前まできたところで急に抱きつかれたのである。そして耳元で囁くように告げた。
「やっと捕まえられました。もう逃がしませんからね?」
その言葉を聞いた瞬間ゾクッと背筋に悪寒を感じたのであった。
その後しばらく抱きしめられていたので何とか抜け出そうとしたが何故か力が強すぎてびくりともしない。むしろ余計に力を込められているような気さえする。
「えっと……いい加減離してくれないかな?」
「嫌です。絶対に離したくない!!」
「なんでそこまで執着してくるんだよ!!」
「それはあなたが好きになってしまったからです!!」
「えっとそれはどういう意味なのかな?」
「そのままの意味ですよ?好きになった男性と一緒に居たいと思うのは当然の事じゃないですか!!」
「いや、確かにそうなのかもしれ無いけど普通はもっと段階を踏まないと駄目だと思うんだ」
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