あなたにとって一番辛いと思われる復讐をご用意させていただきました

asami

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第四十八話

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 電車で30分ほどのところにある小さなデザイン関係の事務所が求人を出していたので応募した。そこは完全時給制というわけではなく仕事量に応じて報酬を支払うような業務委託形式だったのだが、出勤時間は自由で遅刻や早退も問題ないと書かれていたためそこに惹かれたのである。履歴書も不要となっていたため応募してすぐに面接に行くことになった。例のごとく会社側が用意した記入シートは書かされたもののウェブ制作の経験が少しだけあることを伝えると、仕事体験のような形で後日数時間体験入社させてもらえることになった。しかしなかなか使ったことのないソフトやらでなれないことばかりやらされ自信がないと伝えるとその後連絡は来なかった。採用前提と言われたのはいったい何だったのだろうか……。

 自宅から歩いて10分ほどのところにピッキングのバイトを見つけた。
フォークリフト作業があるとのことで時給は1300円だった。9時から5時までとほぼフルタイムではあるがこの時間ならぎりぎり見たい番組も見れる、毎日ではなく週3からとのことでなんとかやれるかもしれないと応募した。さっそく向こうがメールで面接日時についての候補を聞いてきた。適当に候補を決めて返信したのだが勘違いをしており一週間以上先だと思っていたのが明日と明後日だったことを後から気付いた。それで気まずくなり結局そのままスルーすることにした。自宅からよく通る道にあるとなると働き始めてからスタッフにばったり会ったりしても気まずいしね……。

 自宅から歩いて15分以内の場所にあるリサイクル工場の求人に応募した。例によって必要なのは車の免許(MT)ぐらいでフォークリフトもあるとのことだったからである。実際に工場に面接に行くとキャビンはないがそこそこ大きめのホイールローダーも使われていた。面接ではそのホイールローダーにも乗れる車両系の資格もあると説明し、その職場は一番若い社員でも40代半ばとかなり平均年齢の高い会社ということもあってかとりあえず体験入社させてもらえることになった。リサイクル工場なので廃品回収するドライバー中心の仕事と構内で分別したりフォークリフトやホイールローダーに乗ったりする作業中の仕事で選ばせてもらえるということなので後者を選んだ。が、しかしこれがかなり大変な肉体労働であった。入ってくるトラックの荷台に乗ってゴミを下ろしそれを分別していくということをひたすらやらされるのである。フォークリフトとホイールローダーにも少し乗って作業させてもらったのだが初めての現場作業ということもあり全然うまくできなかった。そして何よりきつかったのがラインに流れてくるゴミをひたすら仕分けるというものである。よく言われているようにこういうことは時間がとてつもなく長く感じるというのだが本当に長く感じた。しかもゴミだけにとても汚く何が入ってるかわからない袋の中身をカッターナイフで切っているとそこからクモが出てきたこともありそれで相当心がおられてしまった。その後面接してくれた人に
「やっぱり一日見ててこの仕事は君には無理だと思うよ。」
と言われてそれは終わったのであった。

「無理にでも続けなさいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ビリビリビリリリリィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!
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