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第三十一話

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 先日去年の秋ごろに面接を受けて落とされたスクラップ業者から突然メールが来た。面接したいので空いている日時を教えてくれというものであった。しかし去年のそのとき以来こっちは一度も応募した覚えがない、もしかしたらあのとき落ちたけれど実はギリギリのところまで残っていて欠員がでたとかでもう一度来てほしいとかなのかと期待して返信した。しかし返ってきたのは
「間違えて送ってしまいました、本当に申し訳ございません」
というものだった。まあ当たり前か、一度落とした奴にわざわざもう一回来てくれなんてまともな神経してたら言えるはずないだろうし……。

 以前応募したところと同じところにまた求人が出ていたため応募することにした。歩いて20分、いや15分もかからないところでのパソコンや電話対応などの事務作業である。一度応募して落ちたところは面接をする前からスルーされることも多かったのだが今回は無事対応してくれ面接することになった。面接をしてくれた人というかその会社にいた顔ぶれは1年半近く前に行った時とはほぼ完全に違っていたみたいで自分が過去に面接をしたということを知っている人はいないようであった。面接では会社の説明などをされながら週に何回入れるかとか時間などを聞かれた。当然毎日フルタイムで入れると答えた。そしてこれは前と少し違ったのだがパソコンを使う作業があるということで簡単なワードソフトに文章を入力するという作業をやらされた。さすがにこれくらいは問題なくできたのだが一週間以上経っても採用の連絡は来ずその後メールで不採用を告げられた。またも履歴書は返してこないようだったが取りに行くのも面倒なので今回はそのままあきらめた。

 完全在宅でできるデータ入力のバイトを探していたら建築関係のデータを扱う仕事が出てきたため応募した。業務委託で一つ50円ぐらいでどう頑張っても普通にバイトした場合の最低時給にはいかないだろうが少しでも稼げるのならと思ったからである。専用の入力フォームのようなものもなかったが必要事項を記入し送信した。履歴書のような詳しい情報は何も記載していなかったのだが数日後連絡が来た。不採用だった、やはり良い年した男がこういった仕事をするというのは難しいようである。

「相手が間違えたのならそこにつけこんで採用してもらおうってぐらいの気概を見せなさいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ビリリリリリィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

んな無茶な……。
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