12 / 85
第十一話
しおりを挟む
私は以前勤めていた会社の社長の息子と結婚しました。結婚後まもなく妊娠したので、私は会社を退職して出産のために実家に戻りました。
ところが一ヵ月ほど経ったある日のこと、私はお腹に痛みを感じ始めました。今まで経験したことの無い激しい痛みでした。私はすぐに産婦人科に行きました。診察の結果、陣痛だということがわかりました。
そしてその日の夜遅く、私は分娩室に入っていきました。しかし、なかなか産まれません。予定日よりも一週間以上早かったせいかもしれません。
私は必死になって赤ちゃんを産み出そうとしました。するとその時、看護婦さんの叫び声が聞こえてきました。
「だめよ! あなたは死んでいるのよ!」
「え?」
驚いて顔をあげるとそこには白い服を着た女の顔がありました。その女の顔を見た瞬間、私は悲鳴をあげてしまいました。
「キャーッ!!」
しかしその女の顔をよく見ると、それは死んだはずの母だったのです。妻は私を見つめながら微笑んでいました。
「どうして……」
私は言葉を失ってしまいました。するとまた母の口元が動きました。
「ありがとう」
そう言ったように見えた瞬間、母の姿は消えていきました。
こうして私は無事女の子を出産することができました。名前は『美優』と名付けました。今はとても可愛い娘です。でもなぜか生まれたばかりの頃の写真を見ると、どこか生気がないというか、生きている人間とは思えない表情をしているのです。不思議ですね……。
ちなみにこの子が生まれた後、私はしばらくの間入院生活を続けなければなりませんでした。そして退院した後もしばらくは体調がよくなかったのです。でもそれが一体なぜなのかは今もわかっていません。
ところが一ヵ月ほど経ったある日のこと、私はお腹に痛みを感じ始めました。今まで経験したことの無い激しい痛みでした。私はすぐに産婦人科に行きました。診察の結果、陣痛だということがわかりました。
そしてその日の夜遅く、私は分娩室に入っていきました。しかし、なかなか産まれません。予定日よりも一週間以上早かったせいかもしれません。
私は必死になって赤ちゃんを産み出そうとしました。するとその時、看護婦さんの叫び声が聞こえてきました。
「だめよ! あなたは死んでいるのよ!」
「え?」
驚いて顔をあげるとそこには白い服を着た女の顔がありました。その女の顔を見た瞬間、私は悲鳴をあげてしまいました。
「キャーッ!!」
しかしその女の顔をよく見ると、それは死んだはずの母だったのです。妻は私を見つめながら微笑んでいました。
「どうして……」
私は言葉を失ってしまいました。するとまた母の口元が動きました。
「ありがとう」
そう言ったように見えた瞬間、母の姿は消えていきました。
こうして私は無事女の子を出産することができました。名前は『美優』と名付けました。今はとても可愛い娘です。でもなぜか生まれたばかりの頃の写真を見ると、どこか生気がないというか、生きている人間とは思えない表情をしているのです。不思議ですね……。
ちなみにこの子が生まれた後、私はしばらくの間入院生活を続けなければなりませんでした。そして退院した後もしばらくは体調がよくなかったのです。でもそれが一体なぜなのかは今もわかっていません。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
3歳児にも劣る淑女(笑)
章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。
男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。
その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。
カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^)
ほんの思い付きの1場面的な小噺。
王女以外の固有名詞を無くしました。
元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
(完結)私は家政婦だったのですか?(全5話)
青空一夏
恋愛
夫の母親を5年介護していた私に子供はいない。お義母様が亡くなってすぐに夫に告げられた言葉は「わたしには6歳になる子供がいるんだよ。だから離婚してくれ」だった。
ありがちなテーマをさくっと書きたくて、短いお話しにしてみました。
さくっと因果応報物語です。ショートショートの全5話。1話ごとの字数には偏りがあります。3話目が多分1番長いかも。
青空異世界のゆるふわ設定ご都合主義です。現代的表現や現代的感覚、現代的機器など出てくる場合あります。貴族がいるヨーロッパ風の社会ですが、作者独自の世界です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる