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第五十八話

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 春先になってすこし暖かくなってきたころ、母から手紙がありました。
なんだろうと思ってあけてみると、最近私の家の近くにコンビニが2件できたと書いてありました。
ちょうど私の実家の酒屋の坂の上と下に、店を挟むようしてコンビニが開店したため、店の売り上げは半分近くに減ってしまったそうです。
今までは、なんとか貯金を食いつぶして仕送りをしてきたけれど、とてももう続けられないと言うことでした。
私はもっとはやく言ってくれれば無駄使いしなかったのにと思いました。
いろいろと考えてみましたが、やはりアルバイトをするしかないと思いました。
学生課の掲示板でワープロの仕事をいろいろ探してみました。
ワープロの仕事はありまなかったのですが、何社か募集がありました。
どこにしようかと思いましたが、大学に近い方が便利だと思い一番近そうな所の電話をメモしました。
大学の公衆電話で電話してみると担当者の男性らしい声で、履歴書をもって面接に来て下さいと言われました。
翌日大学の授業が終わってから指定された場所にいくと新しいビルの五階でした。
担当の男性がでてきて履歴書を一通り見た後、「ところで彼氏なんかいるのかな」と聞かれました。
彼氏なんかどうでもいいのに、きっとセクハラなんだ採用する気なんかないんだと思い黙ってました。
じゃあ後日連絡しますと言われたので、てっきり駄目だと思って諦めて帰りました。
不安な気持ちで電話が来るのを待っていると、数日経ってやっと電話があり明日から来て下さいと言われました。
私の席だからと、机の所に連れていかれました。
じゃあ今日はこれ読んでくださいとワープロのマニュアルを渡されました。
大学の情報処理演習で習っているのと同じソフトだったのでこれならすぐできると思いました。
しかしすぐに仕事を始めるよりはワープロのマニュアルを読んでいた方が時間が稼げるからと思いしばらくマニュアルを読むことにしました。
当日はマニュアルを読むだけで終わったので、これでお金がもらえるのだから得をしたと思いました。
翌日からは手書きの草稿を入力する仕事が始まりました。
分量はそれほど多くなかったので私はわざとゆっくり入力することにしました。
ばれたら怒られるかと思いましたが誰も私の仕事ぶりを見ている人などいませんでした。



 マニュアルも読み終り時間だから帰ろうとすると係長さんによびとめられました。
歓迎会とかでこれからみんなで飲みにいこうと言われました。
私の歓迎会に私がでないわけにもいかないと思い私はしかたなくついて行きました。
近くの飲み屋に連れて行かれると、次は二次会に誘われました。
なんとか帰ろうとしたのですが、引き留められて帰ることができませんでした。
タクシーに乗せられて今度は六本木のカラオケスナックとか言われました。
係長さんに抱き抱えられるようにしてカラオケの相手をさせられ、帰りはタクシーになりました。



 車は私のアパートに帰る途中の道だからと、係長さんのマンションにひとまず寄りました。
ずいぶん立派なマンションなので私はすっかり驚いてしまいました。
少し休んで行かないかと係長さんに言われて私は部屋に入りました。
係長さんは戸棚の奥からお酒の瓶をだしてきてグラスにつぐと私に勧めました。
なんでもずいぶん高級なお酒らしくて飲まないわけには行かない雰囲気でした。
私はお酒は全然飲めないのですが仕方なく少し口につけました。
一口飲んだだけで体中が燃えるように熱くなってきました。
面白いビデオがあるから見ないかと誘われて私は奥の部屋に入りました。
部屋には大きなベッドがおいてあり私はびっくりしてしまいました。
部屋には見たこともないくらい大きなテレビが置いてありました。
係長さんはカセットを取り出すとビデオをつけました。
テレビには、部屋のベッドルームで並んで座っている男女が映っていました。
なにが面白いのか私にはわかりませんでした。
やがてテレビに映っている二人は抱き合いキスを始めました。
私はようやくアダルトビデオらしいことに気が付きました。
女性は服を脱がされて裸にされていました。
しかし、私はなんだかそのビデオが変なことに気が付きました。
映っている部屋はどうやら私のいるこの部屋で、映っている男性は係長さんその人でした。
やがて係長さんはどうだ面白いだろうといいながらビデオを早送りしました。
するとベッドに押し倒された女性がの上で係長さんが腰を動かしているのが早い動作でテレビに映りました。
それから係長さんがリモコンのスイッチを入れるとそこには私と係長さんが並んで映っていました。
よく注意して見るとテレビのすぐ上にビデオのカメラがあるのが見えました。
私はようやくどうゆうことなのか分かってきました。
係長さんじゃあ始めようかと言いながら私の肩に手をかけて来ました。
私は体が腰の奥からがたがた震えてきました。
私は寝室から奥のベッドルームに連れていかれました。
係長さんは私の首筋に舌を動かしながら私をベッドに押し倒してきました。
熱く煮えたぎった欲望を前にして、私の心は逆らう気力を失いました。
しだいに激しさを増す欲望には抵抗する気力もなくなるほどの荒々しさがありました。
激しい渦の流れに私の体は飲み込まれ、体ごと深く沈み込んで浮き上がる望みもなくなりました。
私の体は意志のない人形のようにもてあそばれて引き裂かれました。
意志を失った人形の体を女の宿命が支配し続けました。
このままずっと続くのなら、私は支配者に従うしかないと覚悟を決めました。
係長さんの欲望は私の体を責め続けると、ようやく最後の一撃で私を貫きました。
係長さんはテレビの上からビデオカメラをもって来ると私の上にまたがるようにして立ちました。
そして、たった今係長さんに行かされたばかりの私の顔をビデオカメラで撮影していました。
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